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リンドブルム☆アイズ  作者: 粟吹一夢
Episodeー02 ヴァルキュリアの嘆き
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Scene:07 惑星ヘグニ上空再び(2)

 第三師団の旗艦コスモス級戦艦タウロス内の会議室に、ヘグニ包囲網を敷いている戦線司令本部の佐官さかん以上の士官が集まっていた。キャミルの緊急報告を受けて招集されたものであった。

 会議は、ヘグニ戦線の総司令官である第三師団長ロゼル中将の司会により進行されていた。会議室は扇型をしており、そのかなめの位置にある議長席に向かって、段差を付けて低くなっており、会議室の一番低い位置にある議長席に座ったロゼル中将は、オールバックにしたディース族特有の銀髪を、手で撫で付けながら、前に座った士官達に話し掛けた。

「映像を見る限りは、ヘグニ族のようだ。しかし、キャミル少佐が言ったように、ニズヘッグⅦに基地を建設しているとしても、その目的が分からん。まあ、お互いに考えていることが分からないから戦争になっている訳であるが……」

「とりあえず、そのニズヘッグⅦに何隻か艦船を派遣して確認をすれば済むのではないですか?」

 ロゼル中将から見て、左側中段の位置に座っていた大佐の階級章を付けた男性が立ち上がって発言をした。

「うむ。それも考えてもみたが、今の包囲網を維持するためには、配備されている艦隊をできるだけきたくないのが実情だ。それに、そのまま地下基地に隠れていれば隠れおおせたと思われるのに、わざわざ出て来て、その探検家に姿を見せたことも不可解だ」

 ロゼル中将の発言に対して、今度は中央部分に座っていた中佐の階級章を付けた男性が立ち上がり発言をした。

「深読みすればわなかもしれないと……。つまり、艦隊を二つに割って、こちらの包囲網が手薄くなったのを見計みはからって、一斉攻撃を仕掛けてくるかもしれないということですか?」

「うむ。そのおそれも十分あるな」

 包囲されているとはいえ、思い出したかのように出撃して来ては、連邦艦隊に相当の被害を与えるヘグニ艦隊に対して、ヘグニ戦線の司令官達も慎重にならざるを得なかったようだ。

「発言をお許しいただけるでしょうか?」

 最も外側の席に座っていたキャミルが、手を挙げながら遠慮がちに発言を求めた。超エリート軍人と評判のキャミルだが、佐官さかん会議では末席の少佐にすぎなかった。

 司会のロゼル中将が無言でうなづいたことを確認してから、キャミルは立ち上がり話し出した。

「ぜひ我が艦を派遣していただきたい。仮に、ニズヘッグⅦにある程度の戦力が隠されていたとしても、ギャラクシー級戦艦である我が艦であれば、ある程度は応戦も可能です。また、戦艦一隻くらいの穴は、艦船の配置を工夫することで何とかカバーできるのではないかと思われます。それに……」

 発言をためらったキャミルは、言葉に詰まってしまったが、ロゼル中将が促した。

「それに?」

「前回の不始末を少しでもお返ししたいという思いもあります。ぜひ、私にニズヘッグⅦの偵察をお命じください!」

「他の者の意見はどうかな?」

 他の者からは何も発言はなかった。

 ロゼル中将は、しばらく考えた後、キャミルに命じた。

「キャミル少佐! 戦艦アルスヴィッドによるニズヘッグⅦの偵察を命じる!」

「はっ!」

 キャミルは敬礼をした後、ロゼル中将に訊いた。

「もし、敵艦隊と遭遇した時には、私の一存で攻撃を加えてよろしいでしょうか?」

「それはかまわん。しかし、前回のこともある。無茶はせんようにな」

「はっ!」


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