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リンドブルム☆アイズ  作者: 粟吹一夢
Appendix
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Appendix-04 エピソードサマリー

Episode−01:惑星ヨトゥーンのラグナロク

 新進気鋭の若き惑星探検家シャミルが船長を務める探査船アルヴァック号は、銀河連邦の首都惑星アスガルドに本店があるボルディン商会から依頼された惑星ヨトゥーンの探査を終え、その結果報告のため、アスガルドに向かう途中に海賊に襲われるが、それを助けてくれたのは、連邦宇宙軍の若き女性士官キャミル率いる戦艦アルスヴィッドだった。

 初めて出会ったシャミルとキャミルであったが、以前にどこかで会ったことがあるという感覚を拭いきれなかった。

 その夜、再会した二人は、同じ父親ジョセフの異母姉妹であると分かり、シャミルは、父が探し求めていた、謎の「リンドブルムアイズ」を、引き継いで探していることをキャミルに告げる。

 その二人の再会の場には、キャミルの幼馴染みの商人ハシムも同席していた。そして、シャミルは、ハシムから惑星ヨトゥーンの探査依頼を受ける。

 惑星ヨトゥーンには、シャミルがボルディン商会から受けた依頼により行った惑星探査で、銀河協約第3項該当の保護対象種族であるヨトゥーン族の存在が確認され、進入禁止とされていたが、ボルディン商会による陰謀の匂いを嗅ぎつけたハシムが、法律違反を承知の上で、再度の惑星探査を依頼したのだった。

 ハシムの依頼を受けたシャミルと二人の副官は、事故を装って惑星ヨトゥーンに侵入して、中世ヨーロッパ程度の文明を持つヨトゥーン族の街に潜入する。

 また、連邦軍も関与している可能性があるというハシムの指摘を受けて、キャミルも戦艦アルスヴィッドを率いてヨトゥーン空域に乗り込む。

 中世ヨーロッパ風の世界で「神」を名乗る敵に対して、シャミルとキャミルが正義の戦いを挑む!




Episode−02:ヴァルキュリアの嘆き

 久しぶりの休日に、キャミルの家を初めて訪れたシャミルであったが、キャミルは緊急招集を受けて出掛けてしまう。

 キャミルが急遽派遣されたのは、非ヒューマノイド種族で銀河協約第2項により銀河連邦と全面戦争中であるヘグニ族の本拠地惑星ヘグニの制圧戦線であったが、ヘグニ艦隊の奇襲により、キャミルは任官以来の大敗北を期してしまう。

 自信を喪失したキャミルに対し、師団司令官は喫茶店でウエイトレスとして働かせるという任務を言い渡す。

 たまたまその店にやって来たシャミルにウエイトレス姿を見られて照れるキャミルであったが、客として来店した戦艦アルスヴィッド乗組員の遺族達の話を聞いたキャミルの心に、再び闘志が湧きあがり、ヘグニ戦線への復帰を果たす。

 一方、シャミルは、ハシムの依頼を受けて探査に来ていた非居住惑星ニズヘッグⅦで、ヘグ二族と遭遇して襲われるが、何とか逃亡に成功する。

 シャミルからその報告を受け、シャミルとともに戦艦アルスヴィッドで惑星ニズヘッグⅦに乗り込んだキャミル達にヘグニ族が襲い掛かって来る。

 非ヒューマノイド種族との戦争を通じて、悩みや嘆きを経験した戦乙女キャミルは、乗組員達の復讐を誓い、一人、ヘグニ族に立ち向かう!




Episode−03:命を賭して守るべきもの

 (シャミルの回想シーン)

 連邦アカデミーを卒業して、探検家になりたいと告げたシャミルに、母親は、父親が残してくれていた探査船アルヴァック号とコト・クレールを授ける。

 惑星探検家として歩み出したシャミルは、アスガルドの探検家ギルドで出会ったカーラとサーニャと一緒に、他の探検家が受けない危険な依頼である惑星グリンブルズⅥの探査依頼を受ける。

 惑星グリンブルズⅥに乗り込んだシャミル達を待ち構えていたのは、突然、現れる時空の割れ目であったが、シャミルの機転で何とか危機を乗り越える。

 惑星グリンブルズⅥ探査を終え、依頼主たる商人に結果を報告していたシャミルは、探検家を使用人であるかのように扱う商人の態度にキレて、依頼そのものを破棄してしまう。そのため、約束していた惑星探査の報酬を得られなかったカーラとサーニャであるが、その報酬を貸しにすると言って、シャミルの副官になるのであった。

(回想シーンはここまで)

 シャミルは、昔、父ジョセフと一緒に航海をしていたという海賊メルザとアスガルドで出会う。

 そして、惑星探査の依頼により訪れたフレキⅣの衛星で、突然現れたメルザと再会したシャミルは、メルザに拉致されて、メルザ率いる海賊船に乗せられてしまう。

 海賊船の中で、シャミルの目を見つめたメルザは、間違いなく、シャミルがジョセフの娘であり、シャミルがリンドブルムアイズを探し出す鍵であると話す。そして、シャミルは、メルザもリンドブルムアイズを探し求めていることや、リンドブルムアイズとは強大な力をもたらすものだということを知る。

 フレキⅣの衛星に再び戻ったメルザの元に、シャミルを助けるため、キャミルがやって来るが、キャミルに戦いを挑んだメルザは、キャミルの目を見て、キャミルもジョセフの娘であると言い当てる。

 しかし、シャミルとキャミルの二人が揃っても、特段の変化が見られなかったことを確認したメルザは、包囲網の中をまんまと逃げおおせてしまう。

 メルザが去った後、お互いの目と目を見つめ合ったシャミルとキャミルは、不思議な光景を目の当たりにして、リンドブルムアイズについて、そして自分達の父親への疑問を更に深めるのであった。 




Episode−04:帝国の正義を決める者

 銀河連邦の隣国アルダウ帝国は、皇帝派と反体制派との内戦状態に陥っていたが、銀河連邦の仲介で和平交渉が進められることとなり、その交渉期間中、銀河連邦軍がアルダウ帝国の治安を維持することとなり、キャミルを含む銀河連邦軍が治安維持のため派遣された。

 銀河連邦軍に対する歓迎レセプションの席上、アルダウ帝国のセルマ皇女に見初められたキャミルは、護衛兼話し相手として宮殿に召し出される。そして、セルマに迫って来た刺客達を退治したキャミルは、ますます、セルマのお気に入りとなり、皇帝にも謁見が許される。その皇帝の傍らには、キャミルと同じく派遣されて来ていた連邦惑星軍情報部の士官レンドル大佐が皇帝の知遇を得て控えていた。

 一方、シャミルは、アスガルドで刺客に追われていた反体制派のリーダーの息子アシッドを助けると、その依頼を受けて、アシッドを乗せて、アルダウ帝国にやって来る。

 アルダウ帝国で再会したシャミルとキャミルと一緒にいたセルマとアシッドも、久しぶりの再会を果たす。実は、二人は学校の同級生であったが、今は、皇族と反体制派の若きリーダーという、相容れない立場となっていた。

 二人には、帝国の平和の実現という共通の願いがあったが、素直になれない二人は、そのことをじっくりと話し合う時間を持てなかった。

 皇帝が崩御され、皇帝となることが決まったセルマは、シャミルとキャミルの導きで、反体制派の臨時代表代行に就任していたアシッドと密かに会う。

 その夜、再び、セルマに襲い掛かってきた賊を相手に、キャミルとシャミルが戦うが、隙を突かれてセルマに迫った刺客に対して、体を張ってセルマを守ったのは、アシッドであった。

 そしてセルマの戴冠式の日。

 セルマは皇帝として、最初で最後の勅命を宣告する。




Episode-05 機械人形の国のアリス

 辺境の惑星ハーナルの惑星探査をするため、その隣の空域にある開拓惑星ピクルに降り立ったシャミル一行。

 久しぶりに出会ったハシムと昼食をともにした後、シャミルの前に現れたのは、海賊メルザと二人の副官だった。メルザは、誰もいないはずの未探査惑星ハーナルに向けて輸送船が往来していること、そしてその輸送船を襲おうとした海賊達がことごとく返り討ちにあっていることをシャミルに伝え、惑星ハーナルの探査を止めるように忠告するが、シャミルは依頼された惑星探査を最初から放棄することはできないと、惑星ハーナルに向かう。

 惑星ハーナルに乗り込んだシャミル達に、戦闘機の大編隊が襲い掛かって来る。絶体絶命のアルヴァック号を助けたようと、メルザ率いるフェンリスヴォルフ号がやって来て戦闘機の包囲網を突破しようとするが、エンジンに損傷を受けた2隻は、追って来る戦闘機を振り切って、惑星ハーナルに不時着する。

 メルザと一時的に協力の約束をしたシャミルが、何かしらの情報を得ようとエアカーで移動していると、その目の前に人形のような少女が現れる。アンドロイドと思われるその少女はアリスと名乗り、鬼ごっこと称して、ロボット兵士達にシャミル達を襲わせる。そして再び戦闘機達がシャミル達に迫って来るが、何とか逃げおおせることができた。

 一方、シャミルから連絡をもらい、戦艦アルスヴィッドを率いて惑星ハーナル上空にいたキャミルは、惑星ハーナルに向かって来る輸送船とその護衛艦隊に出くわす。攻撃してきたその艦隊を撃破したアルスヴィッドに、今度は、惑星ハーナルから飛来して来た戦闘機の大編隊と巨大戦艦が襲い掛かって来るが、ギャラクシー級戦艦の攻撃力をもって、それらを撃破したキャミルはシャミルの元に急ぐ。

 メルザとともにアリスの元に赴いたシャミルは、アリスのことを調べるべく、一人「アリスの家」に入って行く。残されたメルザ達の元にキャミルが到着するが、突然、ロボット兵士の大部隊に取り囲まれてしまう。キャミルとメルザは協力し合って、シャミルを救出するべく、「アリスの家」に突撃するが、そのシャミルには、永遠の友達になって欲しいと、アリスの命を受けたロボット兵士の剣が突き付けられていた。

 アンチ・ロボット・ルネサンス運動のきっかけとなった200年近く前の出来事の結末が今、明らかになろうとしていた。




Episode-06 時空を超えた再会

 キャミルを、惑星テラの自分の実家に案内したシャミルは、母親から、二人の父親ジョセフの実家が北欧地域にあるということを聞き、キャミルと連れだって、北欧の街バルハラに出掛けた。

 バルハラの郊外にあるバルハラ遺跡に行った二人は、調査員のアリシア・ニコルバーグという女性と出会うが、アリシアがその場を外した時、不思議な声のようなものを聞くと、一瞬のうちに、シャミルの実家に舞い戻っていた。そして、戸惑いながら、店に入った二人を待っていたのは、シャミルを産む前の、若き母親であった。

 二人は17年の年月を遡っていたのだ。

 母親から逃げるように、街に出た二人であったが、どうしようかと思いあぐねていたところに、シモンズ骨董店から出てくる父親ジョセフを見つけると、思わず、その後をつけた。

 ジョセフが、若き日のレンドルと会った場面を隠れて見ていた二人は、レンドルが去った後、ジョセフに見つかり、ジョセフの前に進み出る。

 二人を見て、一瞬、驚いたジョセフであったが、二人がシャミルとキャミルであるとすぐに理解をすると、バルハラ遺跡に戻るように言い、実際にその費用も二人に与えたのだった。

 再び、バルハラ遺跡に赴いた二人は、サミュエル・デリング博士と出会ったが、前回と違い、何らの声も聞こえなかった二人は仕方なく、デリング博士が孫娘のアリシアと暮らすデリング博士の家に泊まることにした。

 次の日、デリング博士とアリシアとともに、バルハラ遺跡を訪れたシャミルとキャミルの前に、遺跡の中から大男が現れる。大男は無言でデリング博士を殺した後、アリシアに刃を向け、アリシアを助けようとしたキャミルごと串刺しにしてしまう。

 キャミルが殺されるシーンを目の当たりにしたシャミルが、ふと気づくと、二人はデリング博士の家のベッドにいた。

 キャミルが殺されてしまったシーンは夢だったのか。それとも?

 次の日(?)、遺跡に向かったキャミルとシャミルの目の前に、あの大男が姿を現す。その大男は、「黒い狼」こと極悪非道の海賊ドミニク・ガンドールと名乗る。

 デリング博士を傷つけたガンドールに、キャミルが怒りのエペ・クレールを打ち込むが、ガンドールが身に付けていた盾型の腕輪のせいで、エペ・クレールですら、ガンドールを傷つけることはできなかった。

 しかし、シャミルの思念を得て、青く輝く剣となったエペ・クレールと、超人的な力を得たキャミルは、ガンドールを、今一歩のところまで追いつめる。

 そして、その場に唐突に現れたジョセフは、遺跡に中に逃げ込んだはずのガンドールは、既にテラにはいないと言い、並列社会の交錯が起きていることを告げる。

 ジョセフから、ガンドールが身に付けていた盾型の腕輪は、エキュ・クレールという宝武具であり、それを取り戻すことが、リンドブルムアイズ発見には必須だということを聞いたシャミルとキャミルに、再び声なき声が聞こえ始めたと思うと、二人は元いた時空間に戻り、17年前に会ったアリシアに再会したのだった。




Episode-07 砂に埋もれた自由への鍵

 銀河連邦に隣接するグローイ共和国領惑星ブラギンからオレイハルコン鉱石を満載して飛び立ったヒルデタント商会の輸送船が海賊メルザに襲われ、積み込まれていた機密文書格納用保護箱シークレットドキュメントボックスが惑星ブラギンに捨てられる。

 ヒルデタント商会は、破格の成功報酬を提示して、探検家ギルドを通じて、その機密文書格納用保護箱シークレットドキュメントボックス捜索依頼を出し、シャミルもそれに参加する。

 一方、キャミルは、惑星軍情報部のレンドル大佐とともに、連邦政府国防長官をグローイ共和国まで送り届ける指令を受け、戦艦アルスヴィッドでグローイ共和国にやって来る。

 砂漠の惑星ブラギンでの機密文書格納用保護箱シークレットドキュメントボックス捜索は困難を極めた上、グローイ共和国を裏から牛耳る犯罪組織アングルボーザが、その捜索の邪魔してくるなど、単なる商会の機密文書の捜索とは思えない展開となる。

 そんな中、シャミルは、惑星ブラギンの先住種族で銀河協約第三項該当の未開種族モルグズ族のノアト部族と出会い、落下してきた機密文書格納用保護箱シークレットドキュメントボックスを見たと言うその部族と一緒に、モルグズ族の聖地フリーズキャルヴまで砂漠の旅を続けることにした。

 ノアト部族の巫女みこノラルの助けを借りて、機密文書格納用保護箱シークレットドキュメントボックスを見つけたシャミルは、そのままノアト部族と一緒に聖地フリーズキャルヴに行くが、そこはグローイ族のオレイハルコン鉱山敷地として占拠されていた。

 ノアト部族を始めとするモルグズ族は、その占拠を解くように、グローイ族に対して申し入れを行うが、突然、起こった爆破工作により、丸腰のモルグズ族に対するグローイ族の弾圧が始まる。そして、それはレンドル大佐の、いや、銀河連邦政府の陰謀でもあった。

 誇り高き砂漠の民に対する大国のエゴにシャミルの怒りが爆発する!




Episode-08 仮想現実の国盗り物語

 キャミルがマサムネからプレイしてほしいと言われたのは、仮想現実大規模多人数ヴァーチャルリアリティマッシブリーマルチオンラインゲーム「サムライ・オンライン」という、日本の古代の歴史を体験できるゲームだった。それは、十代の若者がプレイ中に突然死している原因を調べたいので、同年代のキャミルにもプレイしてほしいというレンドル大佐からの依頼でもあった。

 一緒にログインしたシャミルとキャミルは、紗魅琉シャミル伽魅琉キャミルというアバターで、木下秀吉の家臣として、鉄砲の調達という初仕事を言い渡されたが、ゲームをやったことのない二人は戸惑うばかりであった。

 そんな二人の前に現れた小夏と小梅という女性プレイヤーの助言を受けながら、堺の商人相馬屋から無事鉄砲を買い付けることができた紗魅琉シャミル伽魅琉キャミルがその結果を秀吉に報告した後、突然、ゲームからログアウトすることができなくなってしまう。

 また、街の酒場で他のプレイヤーに絡まれ、決闘をした際に、刀で切られると本当に痛みを感じるというバグが出現していることも明らかとなる。

 ログアウトできなければ、実際リアルのプレイヤーの身体に危機が迫ると考えた紗魅琉シャミル伽魅琉キャミルは、その状態からの脱却方法として、翌日から始まるイベントで日本統一を目指すこととした。

 そのために、江戸郊外にあるダンジョンのぬしであるマサカドというモンスターを連続して倒した伽魅琉キャミルは、あっという間に織田家の家老にまで昇進して、今のログアウトできない事態からの脱却を目指すことを目標とした家臣団「竜乃目党」を結成した。

 日本統一イベントが始まると、バグで兵士が集まらないということもあり、今回は合戦を見送ろうとする他の家老達に対して、伽魅琉キャミルの主戦論は退しりぞけられようとしていたが、紗魅琉シャミルが今川家の家老全員を引き抜いて織田家に寝返らせたことで、織田家は伽魅琉キャミルの主戦論を採用することとなった。

 紗魅琉シャミルの工作活動で、織田家はほとんど戦うことなく大勢力となり、また相馬屋から出資という形で拠出してもらった資金を朝廷に献上することで、織田信長は征夷大将軍に宣下され、わずか一日で日本が統一される。

 ログアウト予告のアナウンスが流れる中、送別の宴を小夏の邸で行っていると、突然、小夏と小梅が紗魅琉シャミル伽魅琉キャミルに襲い掛かった。

 小夏と小梅は最初から目的を持って紗魅琉シャミル伽魅琉キャミルに近づいて来た者で、隠しプログラムで体が動かせないようにされた伽魅琉キャミルだったが、紗魅琉シャミルが、その不思議な力でプログラムを書き換えて、逆に小夏と小梅を成敗するのだった。

 無事、ログアウトしたシャミルとキャミルだったが、惑星軍情報部では、シャミルが超能力を持っていることを確認したレンドル大佐が、新たな動きをしようとしていた。




Episode-09 受け継がれる記憶と想い出

 航行中のシャミルは、商船に偽装して海賊を誘き寄せて討ち取る賞金稼ぎのヒューロキンと寄港したイリアスで出会うが、そのヒューロキンの左腕には、海賊ガンドールが持っていたはずのエキュ・クレールがはめられていた。

 ヒューロキンからの食事の誘いを断ったシャミルに、ヒューロキンは再会を願い出て別れた。

 その後、イリアスでハシムと再会したシャミルは、ハシムに頼んで、キャミルの家があった場所に連れて行ってもらったが、そのすぐ近くにある孤児院「聖セイラ天使園」がハシムが育った所だと聞いて、セイラ園に行ってみた。

 セイラ園の院長先生に出会ったシャミルは、園に案内され、キャミルやハシムの昔話を聞いた。それによると、ハシムはテラの森を一人で彷徨っていたところを保護されたということであった。

 一方、その頃、キャミルは、戦艦アルスヴィッドに乗り、武器を満載した密輸船は摘発すべく、首都空域をパトロールしていた。

 たまたま通り掛かった商船ヤルンサクサ号をキャミルの機転で密輸船と見抜き、戦いの末、制圧し乗り込んだキャミルが目にしたものは自爆装置と積荷の大量の武器・兵器であった。

 再び、シャミル。

 首都惑星アスガルドで会った探検の依頼主は、宇宙軍第一師団長フレイドマール大将であった。

 アスガルドの熱帯雨林地帯にあるとの密告があったテラ解放戦線の秘密基地の有無、そして秘密基地が有った場合の詳細な情報を得るようにとの依頼であった。

 密告の真偽が不明であることから、軍が大々的に捜索することができないことから、探検家であるシャミルに依頼があったもので、同じ宇宙軍のキャミルも同行するように指示を受けていた。

 ジャングル手前の街で落ち合ったシャミルとキャミルは、カーラとサーニャを併せた四人でジャングルに入って行った。

 目標の地点に近い場所で、サーニャが地下施設の存在を聞き分け、その周辺を調べていたシャミル達に惑星軍の兵器である装甲機動歩兵が襲い掛かるが、シャミルの助けを借りたキャミルが行動不能とする。

 一難去ったシャミル達に、今度は、飛行戦車エア・パンツァーが襲い掛かってきた。

 一台は撃墜したキャミルであったが、多勢に無勢、飛行戦車エア・パンツァーに取り囲まれてしまう。

 やむなく投降したシャミル一行が連れて行かれたのは、ジャングルの地下にあった秘密基地。

 そこは、主に惑星軍の士官が心酔するテラ解放戦線の基地であり、首謀者である現役の惑星軍少将ハウグスポリと面談したシャミル達。

 テラ解放戦線とは、ヒューマノイドの共通祖先である超古代種族の遺伝子情報を色濃く受け継いでいる優生種族としてのテラ族が銀河連邦を支配すべきであるという選民思想に取り憑かれた者達が、武力でその実現を図ろうとする勢力のことであるが、テラ族であり、超能力の兆しを見せているシャミルを「テラ族優生の証」として、テラ解放戦線の先頭に立つことを要請してきたが、当然、そんなことが許せるシャミルではなかった。

 はっきりと断ったシャミルに、ハウグスポリ少将もそれ以上しつこく勧誘はせず、シャミル達は解放された。

 そして、その事実をそのまま依頼主である宇宙軍のフレイドマール大将に報告したシャミルとキャミルは、この依頼自体が、フレイドマール大将とハウグスポリ少将との出来レースだったのではないかと考えたのだった。

 シャミルとキャミルは、テラ解放戦線の主張にある超古代種族研究の第一人者である連邦アカデミーのマーガレット・デリング博士のもとを訪れた。マーガレット・デリング博士は、以前に時空を遡ってバルハラで会ったサミュエル・デリング博士の娘で、その孫娘であるアリシア・ニコルバーグの母親であった。

 マーガレット・デリング博士が「アース族」と名付けている超古代種族について教示を受けたシャミルとキャミルは、バルハラ遺跡にエペ・クレールやコト・クレールにはめ込まれているのと同じ青い石が収められていること、以前にレンドル大佐とヒューロキンがアース族に関する話をマーガレット・デリング博士に訊きに来ていたことも知る。

 連邦アカデミーからの帰りにレンドル大佐に出会ったシャミルとキャミルは、二人を巡る軍の動きが慌ただしくなっていることを感じて、リンドブルムアイズに関する調査をすぐに行うことで意見の一致を見て、まずはヒューロキンから話を聞くことにした。

 その頃。

 イリアスの酒場で、メルザの副官アズミとファルアに絡まれたハシムは、メルザに助けられる。そのメルザを見て懐かしさを憶えたハシム。

 そしてその夜。

 聖セイラ天使園の門前に一人の女性が立っていた。

 メルザであった。

 メルザに気づいた院長先生から「シャミルやキャミルと似ている」と言われたメルザは、シャミル達は妹であると告げる。




Episode-10 銀河を継ぐ者

 イリアスの酒場で会ったメルザのことが気になったハシムは、聖セイラ天使園に出向き、院長先生に会った。

 院長先生からメルザも聖セイラ園にいたこと、メルザがシャミルやキャミルの姉だということを教えられる。

 その頃、シャミルとキャミルはヒューロキンと会っていた。

 そこで、シャミルとキャミルは、海賊ガンドール討伐作戦にヒューロキンも参加していたことや、エキュ・クレールを持っていたガンドールの最後を聞いた。

 その間、エキュ・クレール、エペ・クレールそしてコト・クレールの三つが揃っていたが、特段、何かが起きることはなかった。

 ヒューロキンと別れたシャミルとキャミルにハシムから連絡があり、メルザが二人の姉であること、ジョセフがキャミルの元にも訪れていたことを知らされる。

 そんな時、ハウグスポリ少将率いるテラ解放戦線が、テラでクーデターを起こす。

 シャミルの母マリアンヌのことが心配なのはもちろんだが、二人を取り巻く軍の動きが急を告げる状況に、今すぐにでもバルハラ遺跡に行ってみたいと思っていたシャミルとキャミルもテラに入れなくなってしまった。

 しかし、そんな二人の元にレンドル大佐が現れ、テラ解放戦線のハウグスポリ少将と面談することを条件にテラに入国できると誘ってきた。

 シャミルとキャミルはレンドル大佐の誘いに乗り、二人だけでテラに入り、ハウグスポリ少将と面談する。その最中に、アルヴァック号の艦橋に隠しカメラが仕掛けられていることを明らかにされ、事実上、カーラとサーニャが人質にされていることを知る。

 ハウグスポリ少将からはゆっくりと考えてくれと告げれたシャミルとキャミルは、事実上、テラに軟禁することとされる。

 テラからの脱出だけを禁じられたシャミルとキャミルは、パリ地区にあるシャミルの実家に行き、マリアンヌの無事を確認した後、バルハラに飛んだ。

 以前にも寄った喫茶店で、マスターと昔話をしたシャミルとキャミルは、ジゼルという人気歌手がバルハラの出身のエルザという女性で、ジョセフの同級生だということ、そしてエルザはバルハラで女の子を一人生んでいることなどを知る。そして、海賊ガンドールにジゼルとその夫が襲われた時、その一人息子が行方不明になっていることを知ったシャミルは、もしやと思って見た過去のニュースサイトの記事から、ハシムがジゼルの息子だと分かる。

 エルザが生んだ女の子がメルザではないかと思われたが、そのメルザは、ヒューロキンに襲い掛かっていた。エキュ・クレールをはめていたヒューロキンは仕留めることはできなかったが、その乗組員を皆殺しにして、宇宙船の中に独りぼっちになったヒューロキンは、フェンリスヴォルフ号の砲撃により宇宙空間に放り出され、死亡する。

 一方、バルハラ遺跡に行ったシャミルとキャミルは、バルハラ遺跡の調査員であるアリシアと再開をし、懐かしいアリシアの家に泊まることにした。

 その頃、メルザはハシムに呼び出されていた。テラに軟禁されて、通信も制限されているシャミルから実家を通じてハシムに送られた荷物の中に、シャミルのメッセージが記憶されたハイビジョンホロスコープがあり、その宛先がメルザだったのだ。

 投影されたシャミルのメッセージは、ヒューロキンとメルザにテラに来るようにお願いするものであった。

 その頼みを受け入れて、テラに行くことをハシムに約束したメルザは、姉ではないかというハシムの頭を乱暴に撫でると、テラに向けて出発した。

 メルザがテラに向かったという情報をキャッチしたレンドル大佐は、警備を薄くして、メルザをバルハラ遺跡にいるシャミル達の元に向かわせた。

 そして、シャミルにメルザから連絡があったその日。

 ついて来るというアリシアとともにバルハラ遺跡に行ったシャミルとキャミルは、エキュ・クレールをはめたメルザの登場によって異時空間に飛ばされてしまう。

 そこにいたのは、ヒューマノイド種族の共通祖先である超古代種族アース族の支配者である女帝フレイアと近衛元帥ロキ二人の精神生命体であった。

 ロキから「劣化複製」と呼ばれたシャミル達は、アース族の歴史を注入され、その滅亡の事実を認識する。

 そして、シャミルとキャミルは、フレイアとロキに与えるべき肉体として、アース族に遺伝子情報が似ているジョセフとマリアンヌ、そしてジョセフとロザリオの間に「生まされた」ことを告げられる。

 キャミルやメルザがロキに戦いを挑むが、まったく刃が立たずに、その時空間を出て行ったフレイアとロキに、シャミルとキャミルは自らの肉体を乗っ取られてしまった。

 後に残されたシャミルとキャミル、そしてメルザは、ロキが残した、二人には時空間を移動する能力を持っているとの言葉を信じて、シャミルが次から次へと別の時空間に行くドアを開けたが、元いた時空間に戻ることはできなかった。

 そして、いくつかの時空間を移動した先にはジョセフがいた。

 ジョセフは三年前から「時空の牢獄」と呼ばれるこの時空間に幽閉されていたのだ。

 再会を喜んだことも束の間、ここから出るヒントはないかと、シャミルがジョセフと話をして真実を知る。

 そして、四人で「時空の牢獄」からの脱出を試みるのだった。

 一方、フレイアとロキに乗っ取られたシャミルとキャミルは、包囲していた惑星軍の兵士のみならず、装甲機動歩兵をも残虐に殺し、フレイアは、地震を起こす力を見せつけて、ハウグスポリ少将率いるクーデター軍を屈服させる。

 シャミル達はバルハラ遺跡の中には、エペ・クレールなどにはめ込まれている青い石よりもずっと大きな青い石があるというジョセフの言葉から、その青い石同士の共鳴振動を頼りに時空間の移動を試みて、「時空の牢獄」からの脱出には成功する。

 四人が移動した先は、バルハラ遺跡の内部が見えるが、そこから微妙にずれた並行時空間であった。

 エペ・クレールなどにはめられている青い石が出す光で時空間に穴が開き、「向こうの時空間」に行けることが分かったが、全員が一斉に動くと光が弱まり、すぐ穴が塞がってしまった。

 ジョセフとメルザは、シャミルとキャミルの二人だけを「向こうの時空間」に行かせる。

 ジョセフとメルザは異なる時空間に再び囚われてしまった。

 自分達がいた時空間に戻ったシャミルとキャミルは、自分達の肉体に宿っていたフレイアとロキの生命体を呼び戻した。

 そして、キャミルはロキを打ち負かした。既にシャミル達とフレイア達との力の差は逆転していたのだ。

 そのことを悟ったフレイアはロキとともに「自害」して、生命体としての二人は消滅してしまう。

 自らの肉体に戻ったシャミルとキャミルは、フレイア達と対峙したことで芽生えた力を見せつけて、クーデター軍を投降させた。

 全てが終わった後、パリ地区にあるシャミルの実家に戻ったシャミルとキャミル。

 今回の一件で軍における自分の居場所に疑問を覚えたキャミルはシャミルの勧めに従い、大きな決断をする。


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