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リンドブルム☆アイズ  作者: 粟吹一夢
Episode-07 砂に埋もれた自由への鍵
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Scene:08 自らを賭けたカードゲーム(1)

 予想どおり、何の収穫もなく、ドーマルディに帰ったシャミルは、そのむねを捜索本部に報告した。

 報告を聞いたマインシスは、心配そうにシャミルに問い掛けてきた。

「あなた方は、グローイ族との間でトラブルはありませんでしたか?」

「トラブルですか?」

「ええ、無ければ良いのですが?」

「何かトラブルに巻き込まれた参加者がいるのですか?」

「ええ、ごろつきのような連中に、船の進路を妨害されるなど、捜索の邪魔をされたようです。暴力を振るわれたということはありませんが、その危険性もあります。十分お気を付けください」

「分かりました」


 シャミルと二人の副官は、捜索本部があるホテルから、夕食を食べにドーマルディ市内にり出した。

「メグスラの食堂の女将おかみが言っていた奴らかな?」

「そうかもしれませんね。でも、積極的に危害を加えようとする訳でもないようですから、上手うまく立ち回りましょう」

「まあ、そうだな。儲けにならない喧嘩けんかをしても仕方が無いもんな」

「それより、晩飯ばんめしはどこに行くにゃあ?」

「そうだな。昼はかえるだったから、夜は……」

「オムリのソテーも美味おいしいらしいですよ」

「……船長。今回は完全に観光気分だろ?」

「そ、そんなことはありませんよ」

「外国に長期滞在できるからって、この惑星の名物料理を調べ尽くしてきてるんじゃないのか?」

「そ、そんなひまはありませんでしたよ」

「……まあ、せっかくだから、そのオムリのソテーを食いに行くか」

「そうだにゃあ」

「そうですよね! せっかくですから!」

「船長、うれしそうだな。店も調査済みか?」

「一軒しか見つかりませんでしたけど」

「やっぱり、調査してるじゃないか!」

「……夜は酒場になる所なんですよ。カーラもサーニャもお酒が飲めるじゃないですか」

「酒ならどこでだっても飲むさ」

 シャミル達がホテルの近くにあるお目当ての酒場に入ろうとすると、ちょうど、ドアが開き、今回の捜索に参加している探検家とその部下らしき男性二名が出て来た。

「おお、これはシャミル殿。奇遇きぐうですな」

「こんばんは。えっと……」

「ユアリと申します」

「失礼しました」

「この店で夕食でも?」

「はい」

「中では、ごろつきのような連中が博打ばくちをして騒いでいますよ。我々ももっと静かな店に行こうかと注文もせずに出て来たところです」

「ごろつきのような連中? ひょっとして、私達の邪魔をしたという人達でしょうか?」

「邪魔をされたという参加者に聞いた容貌ようぼうとよく似ているので、おそらく、そうでしょう」

「そうですか」

「それより、我々とご一緒にいかがですか?」

 シャミルと出会った偶然を最大限に利用しようとするユアリであった。

「あ、あの、この店の料理がお目当てなので」

「明日もまた来られますよ。今日は別の店に参りましょう」

「えっと、副官達と秘密の話もありますので」

「その間だけ席をはずしますが」

「いえ、けっこう長く掛かると思いますので。ねっ、カーラ」

「そうだな。すまねえが今日は遠慮してくれ」

「シャミル殿なら、いつまでもお待ちしますよ」

 ストーカー的な態度に変わり、しつこく誘ってくるユアリに、さすがのシャミルもうんざりとしてきて、ほとほと困っていたところに、救いの声が聞こえた。

「シャミル! 待たせたな」

 シャミル達が振り向くと、そこにはキャミルと二人の副官が立っていた。

「キャミル! どうして……、遅いですよ!」

「申し訳ない。少し野暮用やぼようがあってな。許してくれ。……シャミルに何か用か?」

 ユアリも連邦軍の士官相手には横柄おうへいな口を利くことはできないようだ。

「失礼ですが、貴官は? まだお若いようですが」

「連邦宇宙軍第七十七師団所属戦艦アルスヴィッド艦長キャミル・パレ・クルス少佐です」

「おお、あなたが! いや、お噂はかねがね。確か、お二人は姉妹であられましたな?」

「そうです。今夜は姉妹水入らずの席なので、邪魔はしないでほしい」

「邪魔など、……では、私はこれにて失礼いたします」

 ユアリは未練みれんたらたらで去って行った。

「けっ、何だよ、あの野郎! ごろつきがいる酒場から逃げ出して来たヘタレ野郎のくせに!」

 ユアリに向かって悪態あくたいいたカーラを無視して、シャミルはキャミルの腕にすがりついた。

「キャ~ミ~ル~! 久しぶりです!」

 シャミルの脳裏からは、既にユアリは削除されていた。

「こ、こらっ! 私は軍務遂行中だぞ」

「えっ、そうなのですか? 酒場で軍務って?」

「正確に言うと、命令待機中だ。ただ、アルスヴィッドに詰めておく必要はないとのことだったから、夕食を外で食べようかと、三人で街をぶらついていたら、シャミルが困っているようだったから声を掛けたのだ」

「でも、シャミルさん! 艦長が一番最初にシャミルさんを見つけて、しかも、近づいて行くのが速かったこと」

 ビクトーレがニヤニヤとしながらシャミルに言った。

「ビ、ビクトーレ! 私が入ろうとした店の前に、たまたま、シャミルがいただけだ!」

 四人の副官達は誰も信じていなかった。

「私達も食事にしようと思っていたところなんです。キャミル、一緒に食べるくらいなら良いでしょ?」

「まあ、そうだな」

「このお店のオムリのソテーが美味しいらしいですよ」

「何だ、それは?」

「オムリというのは、この惑星に棲息せいそくしているミミズですよ」

「ミ、ミミズか。まあ、虫じゃないなら良いが……」

「あっ、それとさっきの話は聞いてましたか?」

「中で騒いでいる奴がいるというのだろう? どの国であっても、人に迷惑を掛ける行為は許されるものではない」

「艦長。外交問題になるようなことだけはつつしんでください」

「分かっている」

 キャミルの暴発をいさめたマサムネ自身が暴発する可能性の方が高いのではないかと思ったキャミルだった。


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