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リンドブルム☆アイズ  作者: 粟吹一夢
Episodeー05 機械人形の国のアリス
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Scene:04 未探査惑星の住民(3)

 シャミルとサーニャが右に曲がると、ぐ進んだカーラの後に一体、シャミルとサーニャに二体のロボット兵士が別れて追いかけて来た。

 カーラはすぐに立ち止まって振り返り、追って来たロボット兵士に太刀たちを振り上げながら向かって行った。

 カーラの太刀たちを自分の剣ではねのけたロボット兵士は、すかさず剣をなぎ払ったが、カーラは後ろに身をそらして何とかかわした。

 数回、打ち込み合った後、カーラは一旦いったん、退却すると見せ掛けてすぐに身を回すと、不用意に近づいて来ていたロボット兵士の右足を太刀たちで払った。ロボット兵士の右足はひざから先が折れてっ飛んでしまい、ロボット兵士はその場で倒れ込み、歩行不能になった。

 息つくひまもなく、カーラがシャミル達の方を見ると、シャミルの投げたコト・クレールがロボット兵士のうち、一体の胸を貫通して、再び、シャミルの手元に戻って来るところだった。そのロボット兵士は穴が開いた胸部から火花を出しながら、行動不能におちいったようだった。

 残るロボット兵士は一体。カーラがシャミルを追っていたそのロボット兵士に突進をすると、ロボット兵士はすぐに気がついて、カーラに立ち向かってきた。しかし、余裕のできたカーラの敵ではなく、カーラは一撃でロボット兵士の頭部を跳ね飛ばしてしまった。

 シャミルとサーニャは、太刀たちさやに収めているカーラに近寄った。

「カーラ、怪我けがは?」

「かすり傷すら無いぜ」

「良かったです」

 シャミルはほっとして大きく息をいた。

「船長! 安心するのはまだ早いみたいだにゃあ!」

 サーニャが見つめている方を見ると、森の木々の間から、同じ型のロボット兵士が十体ほど走って来ているのが見えた。

「早くエアカーに戻りましょう!」

 シャミルと副官達は、エアカーに向かって全速力で走った。

 時折ときおり、後ろを振り返ってみると、次第に距離は詰められてきていたが、まだ、ロボット兵士達の姿は小さかった。

 エアカーを停めた場所まで戻ったシャミル達は、急いでエアカーに乗り込んだ。

「急ぎましょう!」

 カーラがエアカーを急発進させると、ちょうど追いついたロボット兵士達が走って追いかけて来たが、さすがにエアカーの速度にはかなわないようだった。

「へっ、ざまあみやがれ!」

 バックモニターを見ながら、運転席のカーラは叫んだ。

「また戦闘機が来てるにゃあ!」

 テラ族の十倍の聴力を持つサーニャがエアカーの窓から後方上空を見上げながら叫んだ。

 シャミルも振り返って見ると、あの戦闘機五機が背後から近づいて来ていた。

「カーラ! ぐ走ると危険です!」

「了解!」

 カーラがすぐに右にハンドルを切ると、まっすぐ進んでいた場合のコース上に上空からレーザービームが撃ち込まれた。

 左側からの衝撃波でエアカーは大きく揺れた。

 すぐさま、カーラが車体を水平の姿勢に戻して、ジグザグ走行を始めると、ほんの少しの時間差で、エアカーの通って来た軌跡上に正確にビーム砲が撃ち込まれてきた。

 エアカーは、若干じゃっかん、森が開けた場所に出た。上空から丸見え状態で、反撃すべき武器もなく、またスピードでも空飛ぶ戦闘機にかなう訳がないシャミル達は、ただ、不規則な蛇行だこう運転で、ビーム砲の直撃を避けることしかできなかった。

 カーラの野性的な勘をたよりに、エアカーは蛇行だこう運転を続けて、時折ときおり、急ブレーキを踏んで、スピンターンを見せて、逆方向にダッシュしたりしていた。しかし、戦闘機達も、前回、襲われた時と同じ運動性能をもって、驚異的な半径距離で旋回をして、振り切られることなく追って来た。

「くそっ! 駄目だ! とても逃げ切れねえ!」

「カーラ! 右手に見える森に向かってください!」

 カーラは思いっきりハンドルを右に切ると、目の前に見えてきた、まわりよりも鬱蒼うっそうと木が生い茂っている森に、アクセルを踏み込んだまま、ぐ突っ込んで行った。

 その間も、エアカーの通ったすぐ後にビームが打ち込まれていたが、その直撃を受けることなく、エアカーは森の中に突っ込んだ。

 森の中では、生い茂った樹木で戦闘機からの視線がさえぎられたが、戦闘機のビームは正確に撃ち込まれていた。

 エアカーは、森を横断して、まばらに樹木が生えている草原に出ても、猛スピードで直進して行った。

 しばらく走ると、目の前に大木が現れたが、エアカーはハンドルを切ることもスピードを落とすこともなく、その大木に向かって爆走して行き、そのまま正面衝突をすると、前部を大破して停まり、その上から戦闘機のレーザービームが車体をつらぬき、エアカーは爆発して粉々(こなごな)になってしまった。

 戦闘機達は、その場所で旋回するようにして、しばらく、エアカーを上空から観察していたが、生存者はいないと判断したのか、そのまま飛び去ってしまった。

 一方、こんもりとした森の中にシャミル達は並んで腹這はらばいになって、戦闘機達が去っていくのを見送っていた。生い茂った樹木の葉で戦闘機達からの視界がさえぎられたすきに、エアカーを自動運転モードにしてから、ドアを開けて地面にダイブしていたのだ。

「どうやら見つからなかったようだな」

「そうですね」

「でも、ここからアルヴァック号の所までどうやって帰るんだにゃあ?」

「メルザさんに迎えに来てもらいましょう」

「でも、あっちにはアタイ達のいる場所が分からないんじゃないのかい?」

「ちゃんと連絡しましたから大丈夫です」

「えっ、いつの間に?」

「エアカーで逃げ回っていた時にメールを送りました。あの時、自分達の位置は敵に知れ渡っていた訳ですから、通信波を出してもまったく問題はなかったですからね」

「ああ、なるほど。しかし、あんな状況の中でも、そんなことをすぐに思いつくなんて、さすが船長だ」

「ついでにキャミルにも同時送信しましたので、キャミルもここに来てくれるとは思うのですが」

「マジか! キャミルがアルスヴィッドで乗り込んで来てくれたら、一気いっきに形勢逆転だぜ!」

「GPS波を出し続ける訳にはいかないので、とりあえず、ここで待機していましょう。メルザさんとキャミルなら、あれだけの連絡内容と発信源情報とで、この場所は特定してくれるはずです」


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