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今日も世界は――甘く、綺麗だ。

 あれから、もう7年が経った。

 何度も手放そうとしたのに、結局——俺はリシェルを愛してしまった。

 彼女の依存はいつしか俺の生きる理由となり、俺自身もその鎖から逃れられなくなった。



 「ルーク、だいすき」


 

 いつものように、リシェルは甘えるように身を寄せ、俺の胸に顔を埋める。

 息が混ざり合い、温もりが肌に伝わる。


 俺はそっと唇を重ねた。



 彼女の唇は小さく、柔らかく、甘く——

 その一瞬で、胸の奥まで電流が走るようだった。



 「……ん」



 吐息が混じり、彼女の指先が俺の服をぎゅっと掴む。

 その小さな仕草ひとつさえ、もう俺を離さない。



 俺とリシェルは、もう引き返すことのできない関係になっていた。



 リシェルの世界は結局閉ざされたまま。俺しかいない。

 ......最低なのはわかっている。


 

 彼女も外に出たがる様子はない。

 それでも「幸せだ」と言い切る。



 「ルークと、ずっとこうしていたいの……」



 その声は甘くて、苦しくて。

 縛っているのは、縛られているのは、どちらなのだろうか。



 けれど、確かなことは一つだけある。



 俺たちは今——幸せだ。

 


 「リシェル。ずっと一緒だ」


 「絶対にだよ?もう、ルークがいないと死んじゃう」


 「......愛してる」


 「わたしも......っ」



 深く、深く口づけあう。



 (......ああ、甘い)



 俺の世界もリシェルだけになっていた。



 唇が触れ合うたび、肌が触れ合うたび、

 甘さと焦れったさが入り混じる。

 胸の奥まで満たされ、けれど同時に息苦しい。

 彼女の指先はまるで鎖のように俺を縛る。

 

 

 離れられない。いや、離れるつもりももうない。



 ずっとこのまま、ふたりで同じ世界に閉じ込められたままで。

 互いの温もりに酔いしれていたい。



 それがどんなに幸せなことだろう。




 今日も世界は――甘く、綺麗だ。

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