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LAYLA  作者: 零帝 詩音
2/2

意図せぬ出会い…2〜キッカケ〜

『くっそ!また負けたぁ〜!』

そう言ってスマートフォンを放り投げて部屋の布団に大の字に倒れる裕太。

(やっぱりヒーラーは…マリアンより…六月のがいいんかなぁ〜。)そんなハマっているスマートフォンのゲームの攻略法を考えながら、放り投げたスマートフォンを再び手に取り…攻略動画をそそくさと検索する裕太。


そこに上がってきた動画リストで少し目がいった動画を開いた裕太。『完全初見?』どんな動画やろ?

読み込みを終え開かれたのは、自分が先ほど遊んでいたゲームの既にクリアしたストーリーをプレイする配信者のリアルタイムプレイ動画。つまり…生配信というやつであった。

人気芸能人、人気歌手などが動画配信者として活動の場を広げ生配信でゲーム配信等を良くやってるのは見たことないけど…知ってはいた。


しかし。これはそんな知名度ある有名芸能人などがやっているゲーム生配信では無く…。

更にはプレイしてるゲームの映像を画面中央に映しながら画面右下端にポツンと映るアニメキャラの様な2Dビジュアルの少女…。

平成女子高生を装った2Dアニメ姿の女の子が配信画面のコメント欄の言葉を読んで一つ一つのコメントに面白おかしく受け答えしながらそのゲームをしていた。


斬新過ぎるその光景をしばし傍観しながら裕太は悟った…。VTuber?

その単語だけは知っていたがそのVTuberの生配信を目の当たりにしたのは初めてであった。

凄い違和感を感じながらも見入ってしまう不思議な感覚を覚えた。

そして、そのコメント欄に自分もコメントを打ち込める事に気付き興味本位でコメントを打ち込んだ。

[こんにちわ。はじめまして]

自分が打ち込まれたコメントの前に打ち込まれていたコメントまでを読み切り、その女子高生の姿をした2Dアニメキャラ姿の配信者は裕太のコメントを目にして裕太のコメントに対して言葉を返した。


『末丸っち!こんばんわ!開発しちゃうぞ!』

その女子高生の姿をした2Dアニメキャラの配信は…そう返して来た。

ただでさえ初めて目の当たりにするVTuberの生配信に参加していると言う状況に加え自分のはじめましてのコメントに対して理解不能の返しである…。

(開発しちゃうぞ?え?)

裕太は次にどんなコメントを打つべきか…戸惑った…


そしてまた少しそのプレイ動画を見ながらコメント欄を見ていて…ナナチ、ナナミン、グラち…等々恐らくこのVTuberを指しているであろうフレーズが目に付いた…。改めてそのVTuberの配信者チャンネル画面を確認する裕太。


神楽七海…。かぐらななみ。

多分これがこのVTuberの名前でありこの名前から着けた愛称でこの配信を見ている視聴者は各々このVTuberの事を呼んでいるのだろう。

そしてこのVTuberの他の視聴者のコメントへの反応を見ていて裕太も再びコメントを打つことにした。


[開発しちゃうぞ?って、開発されるとどうなるの?]と先程言われた神楽の言葉に突っ込んだ。

その裕太のコメントを目にした神楽は裕太のコメントに応えた。

『そりゃあもう…私無しじゃ生きていけない身体に!なっちゃうよ!』

そう応える彼女を見て裕太は内心苦笑した。

(面白いな…この子…)

そう思いながら裕太はそのまま気付けば1時間以上その生配信に参加していた。

多分、この配信を見ている他の多くの視聴者も今、神楽七海がやっているこのゲームを裕太と同じ様にプレイしていて、おそらく視聴者の方は今彼女がプレイしているストーリーは既にクリアしているのだろうとコメントを見ていて察する事は出来た。



神楽のゲームプレイ配信を見ながら視聴者の皆はゲームのアドバイスやこのゲームに関する話題をコメントしていた。このストーリーを初めてやる神楽にこの先のストーリーの内容を悟られる様なコメントを控えながら。

そして裕太はその配信を見ていて思った。

(今ここまでストーリーが進んでるって事は…

第二章もうすぐクリアじゃん!)と…。

そしてこのゲームの第二章の最後の物語の展開を思い返して裕太は少しの不安と、しかし隠せない期待を感じた…。

このゲームの第二章のストーリーラスト…。

一人の主要キャラクターが敵との戦闘で命を落とす…。そんな衝撃展開が待っているのを裕太も、この配信を見ている多くの視聴者が知っていた…。


[ここから先はコメント欄見ない方が良い!一人で頑張れ!]そんなコメントが上がり神楽はコメント欄を見ないで第二章クリアまで到達した。

そして…愛着湧かせながらゲームの中で戦いの日々を共にした一人の仲間キャラクターの死を目の当たりにた神楽は号泣し、悲痛の感情を叫んでいた…。

ゲームのストーリーの感動の場面を見た配信者がどんな反応を見せるか。それを見守るのもゲーム配信を見る一人の楽しみ方であった。

コメント欄では神楽の涙に共感するコメント…神楽と共に感嘆するコメントで溢れていた。

裕太はその光景をなんとも言えない感情で見守りながらこの日の神楽七海の生配信は終わった。


思い返せばVTuberの生配信というものを初めてちゃんと見て色々と衝撃を受け新鮮なモノを感じた3年ほど前のとある日の出来事。

この日の神楽七海と言う一人のVTuberとの出会いが裕太がVTuberの生配信に興味を持ち見る様になるキッカケであった…。

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