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危険な探検!?禁忌の回廊へ、いざ!



ぼくとセイラは今、地下の禁忌の回廊に立っている。


ヒュルル、と隙間風が通り抜け、背筋がぞくりと震えた。


うう……こわい……。いったい、どうして、こんなことになったんだっけ……



ことの始まりは、数時間前のセイラのひとこと。


「ねえ、なにか“秘密にされてる場所”って、ないの?」


「秘密に、されてる場所?」


思わず首をかしげて聞き返したぼくに、セイラはニヤリと笑って、


「そう、入っちゃいけない部屋とか。そういう場所こそ、なにか大きな秘密が眠ってるもんだよ」


うっ……その顔、なんだか小悪魔みたい……。


「うーん……地下の回廊とか、かなあ」


ぼくが思い出しながらそう言うと、セイラの目がぱっと輝いた。


「なにそれ!めっちゃ楽しそうじゃん!行こ、今夜!」


「え、今夜!?」


「禁忌って、そもそも“忍び込むため”にあるんでしょ? 怪しい場所には、怪しい真実があるの!」


うわあ、セイラってほんと、強いなあ……おばけとか怖くないの?


でも、たしかに気になるって気持ちは、少しだけ、あるかも……。


「じゃ、計画立てておくね!9時に集合!」


「ま、待って、セイラっ!」


ぼくの声も聞かずに、セイラはぱたぱたと駆けていってしまった。


……ほんとに行くの?地下の、あの場所に?僕おばけ苦手なんだけど……


でも、


「セイラが一緒なら……行けるかも」


なぜかそんなふうに思っちゃった自分を、今は少し恨んでる。



というわけで、ぼくたちは今、地下の禁忌の回廊を進んでいる。


ぼくはガタガタ震えてるけど、セイラはすっごく楽しそう。


「夜の冒険って、ワクワクするよね! ほら、早く早く!」


「セイラ、ちょ、ちょっと静かに……ここ、ほんとに立ち入り禁止なんだから……」


「はいはい。じゃあここからは無言モードで」


そう言って、セイラは唇に指を当てて“しーっ”のポーズ。


うわあ……会話できないと、余計にこわいよぉ……!


やばい、置いてかれるっ!


あわててセイラのあとを追いかけていたそのとき――ふと、廊下の壁に飾られた一枚の古びた


肖像画が、目に留まった。湿気で色あせたキャンバスには、若い男の人が静かに微笑んでいた。


けれどその目元と、口元の引き締まった線が……どこか、カイ兄様に似ている気がする。


「……だれだろう、この人」


シミだらけの壁、ところどころ破れかけた額縁、蜘蛛の巣に覆われたその姿は、まるで忘れ去られた


記憶のようだった。


でも、なぜか心に引っかかる。


そう思いながらも足を止めるわけにはいかず、ぼくは慌ててセイラのあとを追った。


するとそのとき――


「……レン、見て」


セイラが不意に立ち止まり、振り返って小さな声で呼びかけてきた。


その視線の先には、今までのどの扉よりも重厚で、存在感のある大扉がひっそりと立っていた。


灰色の石でできたアーチの下、古びた木の扉には奇妙な紋章が刻まれている。まるで――封印のように。


「……この奥、ぜったい何かあるよ」


セイラのぽつりとつぶやく声に、ぼくの心臓がドクンと跳ねた。


「たのしみ、だね」


セイラは口パクでそう言って、にっこり笑った。


ぼくも仕方なく、こっそり口パクで返す。


「うん、こわい……」


それでも、扉の前に立つと、なぜかちょっとワクワクもしてくる。


そっと手をかけて、押してみた。


……びくともしない。


「うぅぅっ……!」


めっちゃ重い!ていうかこれ、本当に開くの!?


すると、セイラが肩をとんとんと叩いてきて、チェンジのジェスチャー。


……え、まさか、セイラが開けるの?


ちょっと、それは男として凹むかも――


と思った次の瞬間。


ガチャリ。


「……えっ?」


扉が、雲みたいにふわっと、あっさり開いた。


セイラがびっくりした顔でぼくを振り返り、そして何かに気づいたように、はっと目を見開いた。


な、なになに!?なにがあったの!?


ぼくは慌てて、セイラの背中越しに、部屋の中をのぞき込んだ――

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