表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/29

秘密の任務スタート!?王子レンの秘密の作戦

【王子レンのひみつメモ】

ミッション:豚ゴブリンノアを王にさせない!

方法:カイ兄と革命?でも死刑?わお☆

現在地:わりと本気。


*

「だっからぁ、また税金が上がるんだってよ」


「本当かい!?もう、王様は何を考えてるんだか…」


春の柔らかい風ととともに、ぼくの耳にこんな声がはいってきた。


え?ぼくがだれかって??


ぼくの名前は、レン。オルフェオ王国の第三王子だよ!


……だけどね、最近、ぼくの王国は、大変なことになってるんだ。


父上と母上がお金を使いまくって、金庫のお金がスッカラカン、なんだって!!


そのうえ、もうすぐぼくのお兄ちゃんが、国王になっちゃうんだ。兄上ことオルフェオ王国第一王子


ノアは、豚とゴブリンを、足して割ったような体(をしてるように、ぼくには見えてる!)をしてて、


ほんっとにいじわるなんだよ。その最低な王子ノアは、18歳。あと2年で国王になっちゃうんだ!


ぼくは、このままじゃダメだとおもう。ぼくの執事のジェームズも、召使いのアリアも、みーんな


困ってるんだ。


家族が、心配なんだって。ぼくは王子だから、それを助けてあげなきゃいけない。


そこで、思いついたんだ。


ーーノアじゃなくって、カイが王様になればいいんだって!


カイは、ぼくのもう一人のお兄ちゃんで16歳。天才バイオリニストで、すっごいバイオリンが上手なんだ!


カイの音色には優しさがつまってるから、みーんなだいすきなんだよ!カイはいつも演奏をしに


色々なところにいってるけど、今は大きなコンサートの準備で王国に戻ってきてる。


だからぼくは思い切って、この計画をカイに話すことにした。



「だからね、カイが王様になったらいいと思うんだけど…。ぼくはまだ10歳だから、幼すぎるんだ。」


カイに計画を話したけど、顔がちょっとこわい。おこってる、のかな?


「カイが、王様になったら、みんな喜ぶ、よ?」


カイはゆっくりと息をはいて、それからぼくの肩に手をのせた。


「レン、僕が国王になるってことは…ノア兄さんを、殺さなきゃいけないかもしれないんだよ…」


そう言って、それから少し悲しそうな顔をした。


「それに、僕はもう、誰かを守る資格なんて……」


でも、ぼくはあきらめるわけにはいかなかった。


「でも、このままじゃ、ノアが王になっちゃうよ!そしたら、どうなるかわかってるでしょ?あの時みたいに…」


カイはまた一段と暗い顔になって、かぶりをふった。


「……わかったよ、レン。少し考えてみる。たしかに、このままじゃダメだと、僕もわかってる


から、さ。」


「ほんと!?ありがとう、カイ!!」


うれしくて笑ったぼく、カイはちょっとだけ笑って、こういった。


「でも、これは僕たちだけの秘密だ。こんなこと、父上や母上に知られたら、最悪…死刑だ。」


「し、死けい?」


思わず、ゴクリとつばをのみこんだ。


「もちろん、ノア兄さんにもバレちゃいけない。わかったね、レン」


「う、うん、わかったよ」


たしかに、これはシークレットミッション、バレたら終わりなんだ…!


「じゃあ、しっかり考えといてね、カイ!」


そういって、ぼくはカイの部屋をあとにした。春の風にのって、後ろからバイオリンの音色が聞こえてきた。


いつもよりもちょっとだけ、切なかった。



*

それから数日後、オルフェオ王国で隣国セルラルドとの交流会が開かれた。


その間にも、ぼくは着々とミッションを進めてた。


ジェームズによると、今のオルフェオ王国は──


ものすごーーーーーーく、やばい!


「あと数年で暴動が起こり、王国は滅びるでしょう」っていってたくらい。


だから交流会を開くお金なんてないはずなんだ!ぼくは交流会中ずっと、会場の金ピカな装飾を


みて、「このお金、どこから出てるんだろう…」って考えてた。



ムムムと眉間にしわを寄せて考えてたから、ノアがドスドス歩いてこっちにきているの、全然気づかなかった。


「おい、レン!レンってば!」


顔を上げた瞬間、そこには豚とゴブリンのハーフがいて、思わず声を上げちゃった。


「うわああぁぁ!!!」


おもいっきりのぞけって、引きっつった顔をすると、ゴブリン──ノアは、


「なんだよ、そんなに驚いて。それよりお前も喋ってこいよ。」


って言ってきた。ノアの接近に気づかなかった自分を責めたい…。


「だれとだよ、ノア?」


苦々しく返したけど、ノアは気づかずニヤニヤ笑って


「決まってんだろ、女だよ。おめぇもそろそろ楽しむべきだと思うんだがなぁ」


なーんて気持ち悪いこと言うから、


「ええ?ノアが?女と?」


とちょっと皮肉混ぜて言い返してやったら、


「ブヒい!おれにはエミリィちゃんもアリウェちゃんもいるんだぞ!」


とブタのように返してた。


向こうで、クスクスと笑う令嬢たち。


どうみても、権力目当てにしかみえないんだけどね。


「ノア、ちょっとシャンパン取ってくるよ」


とにかく逃げたくて言い訳を口にしたら、


「わかったぞ、お前!女がいるオレが羨ましいんだろォ」


なーんて、的外れなことばっかいってる。……そろそろ、このブタにもムカついてきた。


「ブタがなんか言ってるー!」


って言おうか本気で迷っていたそのとき──


パッと、会場の明かりが落ちた。


視線を向けると、スポットライトに照らされて、きらめいている金色の髪が見えた。


カイだ。


軽やかにお辞儀をして、澄んだ声で語りかける。


「皆さま、お集まりいただきありがとうございます。


本日はささやかな余興として、バイオリンを演奏いたします。


どうぞ、ごゆっくりお楽しみください」


その瞬間、あちこちから黄色い悲鳴が飛び交った。


「きゃあっ! カイ様ってば最高ですわ!」


「憂いある瞳に、輝く黄金の髪……まさに、理想の王子様ですわ!」


あれ、さっきノアと一緒に笑ってたご令嬢たちだ。


ノア……。


カイの演奏がはじまり、透き通るようなメロディが、会場を包み込んでいく。


ふと、カイがこちらを見て──ウインクした、ような気がした。


…もしかして、さっきノアに絡まれてたの見てて、助けてくれたのかな?


やっぱりカイは、優しい。


やっぱりノアじゃなくて……カイが王様になるべきなんだよ。


そうを思いながら、ぼくはノアに見つからないように、そっと会場を抜け出した──。


レン: ノア兄さんを主役にした外伝出したいなぁ…タイトルは『ブヒィ!〜孤独の王子飯〜』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ