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失恋  作者: WAIai
1/4

【1】

「ー別れよう」

夜の寒い中、息を白くしながら、彼氏の神山修二が言った。チラチラと雪が待っている。コートや手袋をしているが、コンビニの駐車場は凍えるように寒かった。店内の暖かい光を恋しく思いながら、上田ひかりは言い返す。20代前半で、色白だった。髪はボブカットである。 

「…は?」

言葉を出すと、やはり息は白かった。しかし、修二は心配してくれる気配はなく、ぶっきらぼうに言う。

「それだけ。ーじゃあ」

「ちょっ、ちょっと待ってよ」 

腕を伸ばして捕まえようとしたのだが、避けられた。ひかりはショックを受けながら言う。

「何で…? 何で急に」

「急にじゃねえよ。前から思っていたんだよ」

「え…?」

ひかりが動揺しながら固まる。修二はこの際だと思ったのか、はっきり言ってくる。

「お前、女に見えないんだよ」

「…。嘘でしょ?」 

一番突き刺さった言葉だった。まさか存在を否定されるとは思わなかった。

「じゃあな。元気でな」

修二は手をあげて行こうとする。ひかりは慌てて、止める。

「待ってよ…!? 何でそんなこと…」

「俺もう彼女居るんだよ。ーさようなら」

修二は車に向かっていく。ひかりは呆然とし、動けなかった。今日、仕事終わりに会おうと約束していたから、浮かれた気分でやってきたのに、背中には冷たいものが流れる。いつもみたいに抱きしめてくれたり、キスしたりしてくれると思って仕事を頑張ってきたのに、手ひどい仕打ちだった。

「そんな…」

待ってと言おうとしたが、修二はこちらを見もせず、行ってしまう。本当にひかりに興味がないようだった。ひかりの目から自然と涙が流れる。恋愛モードのドキドキとは違う、心淋しい心臓の音が聞こえてくる。

「うう…。何で…」

ようやく手を動かし、涙に触れる。悔しさと切なさといろんな感情が湧き出してくる。

「馬鹿…」

大声で叫び、ひかりはその場に座りこんだのだった。

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