第67話
「オリュクスさんはー」不意にアカギツネが、小走りに進みながら訊ねてきた。「何科の動物なんすかー?」
「えーと」レイヴンは回答すべき言葉を少し考えなければならなかった。「地球の動物で、外見や食性が似ているのは、そう……イタチ科かな」
「イタチ科……この辺りには棲んでないない種族っすねー」アカギツネは上空を見ながら確認した。「レッパン部隊からの情報で存在だけは聞いたことがあるっすけどー」
「そうか。カワウソみたいに水の中で泳ぐこともできるんだよ」レイヴンは、南極の海で散々てこずらされた『オキアミ捕食事件』のことを思い浮かべつつ補足した。
「へーすごいっすねー」アカギツネは軽く感心した様子で「じゃあ、コスさんとキオスさんは何科になるんすかー?」とさらなる質問を投げかけてきた。
「コスは、地球でいうならウシ科だね」レイヴンは、アフリカのサバンナで最初に見つけた自国産動物であるコスが、地球産インパラの雌と結婚したがっていたこと、それを説得するのに心を惑わせたことを思い出しつつ答えた。
「ウシ科ー?」アカギツネは驚いた。「あの、小屋にいるでっかい動物っすかー」
「ああ、ウシ科といっても細身の、レイヨウやアンテロープと呼ばれる方の種族だね」レイヴンは一瞬、アカギツネがコスを『食い物』として見始めるのではないかと怖れ慌てて補足した。
「へーそうなんすかー」アカギツネは捕食を諦めてくれたのかどうかわからないが軽く理解した。「じゃあキオスさんはー?」
「キオスは、地球の動物でいえばゾウを、小さくしたような感じだね」レイヴンはまたサバンナゾウの群れとの別れをキオスが悲しそうに行っていたことを思い出し、改めて少し胸を痛めつつ答えた。




