7、社会科調査活動
7、社会科調査活動
数日後、職員室のテーブルで、杉下は三田先生に先日の名誉回復について
「生徒たちに調査活動をさせて、名誉回復運動を生徒会が主体になって学校祭で発表会をしたらマスコミが食いついてくれるんじゃないかな。」と具体策を話した。三田先生はその提案に答えるように
「大人が発表するよりも子供たちが発表する方が話題性がありますね。地域の歴史を研究するとなるとどの時間を使いますか。」と問い返した。すると杉下は
「総合の時間だったら週に2時間あるし、テーマは綱昌の名誉回復だけでなく、忠直の汚名挽回、松岡藩昌勝の無念、福井藩の結城秀康の悲劇、福井城の建設、松岡藩の館の再現、いろいろ考えられそうだからグループはたくさん作れそうだね。」
杉下の提案に三田綾子は
「2グループに1人づつ先生が担当できると安心なので、学年のスタッフ6人の先生方だから12グループぐらいが適当ですね。」と、展望が開けた。
「あとは、学年主任を口説き落とし、学年会でみんなに説明だよ。三田先生頑張ってね。」
と言われて三田は
「先生も応援してくださいね。」とあてにしていた。
2日後に2年生の学年会が3校時に開かれた。学年主任には事前に三田が話しておいたが、ほかの先生方も概ね了承してくれた。学年主任は今回のプロジェクトのリーダーに三田綾子を指名した。毎週開かれる学年会に次の週の総合の時間の計画を示すことになった。とりあえず、9月の学校祭までの予定表を作成することを任された。すぐに三田先生は9月までの毎週水曜日の5時間目と6時間目の総合学習の計画を立てることにした。総合的な学習の時間は夏休み前に24時間、9月に入って6時間あるらしい。そのうち、地域の歴史研究のために16時間くらい使えるそうだ。
「学年集会でオリエンテーションが1時間 各クラスでグループ作りが1時間 個人での探究活動が4時間 グループで追及するのが4時間 発表準備が6時間くらいでどうでしょうかね。」
三田先生の提案に
「グループ作りの前に課題設定が先だと思うよ。課題が決まったらそれぞれがやってみたい課題ごとに人が集まるのが普通かな。」
杉下の説明に三田先生は深く頷き、
「確かにそうですね。オリエンテーションの後で課題設定の時間を1時間入れて、個人の探究活動の時間を3時間にします。」
「あくまでも生徒が自分たちで課題を設定することが大切なんだけど、教師が想定しておくことでうまくいくんだよ。」とアドバイスした。