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14、反響の広がり

14、反響の広がり


 NHKの地方版のニュースはさらに広がりを見せた。翌日には朝の全国版ニュースで取り上げられ、山田哲郎君は突然有名人になってしまった。NHKだけに先を越された形になった地元の民間放送局も取材の申し入れがあった。取材には三田先生が立ち会い、細かな説明は三田先生が行い、写真は山田君が被写体になった。

 しかし、情勢が大きく動いたのはNHK福井放送局が地元の話題を特集するコーナーに大きく取り上げ、研究の全体像を紹介して、結城秀康や忠直や綱昌など多くの藩主が苦難の連続で歴史の表舞台から離れたところで苦汁をなめさせられたこと。そして通説では悪人に列せられているが、実はそうではないというところまで放送されると、地元福井での見方を変えようという動きがさらに広がっていった。NHKだけでなく民間放送局も特集を組み、福井新聞も日刊福井も特集の連載を組んだ。さらにはNHKの全国放送でも特集が組まれることとなり、全国に福井藩の忠直、綱昌の評価を変えて名誉回復しようという動きが大きくなった。特に菊池寛の「忠直公行状記」や戦後の映画「忠直公行状記」、海音寺潮五郎の「悪人列伝」などで悪い評判を全国レベルで広めらてしまった忠直については、見方が変わっていき、綱昌については古文書発見という新証拠で名誉回復がなされた。


 杉下と三田先生は改めて山田君の家をたずねた。山田君のおじいちゃんに今回の研究についてお礼を述べると、おじいちゃんは大学教授として長年培ってきた経験から

「古文書の新発見で歴史が変わるという事は、よくあることなんです。昔から歴史書は支配者が自分の都合のいいようにまとめさせたものが多く、歴史研究者たちも慎重に読み解いてきましたが、間違った見解もたくさんあります。小さな発見の積み重ねが真実を形成していくんです。忠直公の悪行についても越前松平家の本家争いがその背景にあったのかもしれませんが、真相は新しい発見を待たなくてはいけないんでしょうね。若い研究者に期待しましょう。」と言って孫の哲郎君のほうを見て笑いかけていた。杉下は教師として若い才能を伸ばすことの大切さを改めて教えてもらった感じがしていた。


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