声……。
─会長視点─
(ゴォォオオオ……──)
ワシの寺の中を炎熱の炎が渦巻いておる……。
ワシの結界術、『光透玉結界術式』の作用で炎熱による身体へのダメージは感じぬが……。
(『アノウィルス』……。ヤツが、ご婦人の身体を操って寺の結界を抜けて詣った時、既に『アノウィルス』を撒き散らしておったようじゃな……)
「むうぅぅ……」
『アノウィルス』……。
黒き霧のような影……。
ヤツの操っておったご婦人の身体の周囲より立ち込める靄のようなモノ。
ワシの目の前で倒れておる操られておったご婦人の身体より尚も立ち込めておる。
(今は、『光透玉結界』で外側の炎熱を遮断しておるが、内側からも『アノウィルス』をご婦人の身体から浄化せねばならぬ……──)
ヤツとワシとの邂逅の刹那──
それよりも以前に、『アノウィルス』が寺の結界の内側からご婦人の身体を利用して、ヤツの手によってバラ撒かれておったか……。
通常の『アノウィルス』の何万倍もの濃度。ヤツが、そう言いおった……。
(ぐ、ぐむ……──)
炎熱の炎の中……ワシの意識が遠のき始める。
床に手をつき、膝をつく。
ワシの視界は、炎の海でユラユラと真っ赤じゃ……。
じゃが、救わねばならぬ。
一瞬の油断。
一瞬の隙。
ワシは、ヤツに操られたご婦人と対面する刹那には、簡易式の結界を纏い、ワシ自身の身体を結界にて守護しておったが……。
それよりも以前──
ワシは、ヤツのバラ撒いた通常の何万倍もの濃度の『アノウィルス』を既に吸い込み、肺に入れてしもうておったようじゃな……。
(あきらめるな……。あきらめるな、ワシ。叶百会……)
「ママさん……」
夢葉のママさんにも『光透玉結界術式』を施し、炎熱を遮断しておるが……どうかの──
まだ意識が残っておれば、いかに倒れているママさんと言えども、霊気ヒーリングにて『アノウィルス』を幾らかは体内より浄化出来るはずなのじゃが……。
「ママさん……」
応答が、無い……。
思念伝達により呼びかけたが、返事が無い……。
(ぐ、ぐむぅ……。ハァハァ……)
ワシの呼吸も荒い。
直ちに、ワシとご婦人とママさんに施した『光透玉結界術式』の内側の霊気を高め、何万倍もの『アノウィルス』を三人の体内から浄化せねばならぬ……。
(も、持つか……? ワシの命……──)
このままでは、三人とも全滅じゃ……。
しからば、目の前のご婦人とママさんだけでも……。
ワシの視界が、暗闇へと閉ざされる。
全身から力が抜けた──
「心配し無くても良いよ? 僕が、来たからには、もう大丈夫だよ?」
(だ、誰なのじゃ……──?)
一旦は、消えたはずのワシの意識の中で、身体の中を温かく柔らかく……まるで、キレイに隅々まで解きほぐすような息吹の風が、瞬時に吹いた──
(よ、蘇ったのか? ワシ……──?)




