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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
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祈るような気持ち……。

(カエデ)視点─




「カハッ!?」


 

 長らく? なのか、異世界(オンラインゲーム)の中に潜り込んでいた俺は、機械音声(ゲームマスター)の声とともに、現実世界(リアル)へと帰還した。

 異世界(オンラインゲーム)に潜り込んでいたのは、一日にも満たない時間だったように感じられたが、俺の身体はまるで何日もの間、眠っていたかのようにとてつも無く重く、いつものように直ぐには動かせなかった。



(ゴォォオオオ……──)



「な、なんじゃ、コリャァーっ!?」



 目が覚めて直ぐに俺の視界へと飛び込んで来たのは、今にも焼け落ちそうな寺の天井。

 まだ起きるコトの出来ない俺は、消防士やレスキュー隊員ですら躊躇するほどの炎の世界、火の海に取り囲まれている今の状況が、まったく飲み込め無い。

 


「なっ!?」



 俺は、驚き過ぎて身動きが取れない。

 


(カエデ)くん? 目が覚めた?」



 ようやく聴き慣れた声が、俺の頭の後ろ側から聴こえた。

 仰ぎ見ると、黒音(クロネ)ちゃんが俺を心配そうに見つめて、顔を覗き込ませていた。



「く、黒音(クロネ)ちゃん? こ、コレはっ!?」



 俺は、直ぐさま、黒音(クロネ)ちゃんへと尋ね返した。



「どうやら、コノお寺。誰かに襲われたみたいね……」



 冷静な黒音(クロネ)ちゃんが、周囲を見渡して警戒しながらも俺へと返事を返した。



「ゆ、夢葉(ユメハ)は!?」



 俺は、一緒に帰還したはずの夢葉の所在が気になり、黒音(クロネ)ちゃんへともう一度、尋ねた。



会長(おじいさん)のところ……。それと、夢葉(ユメハ)のママ……」



 そう言いかけて、黒音(クロネ)ちゃんが、静かに俺へと返事を返した。



「!?」



 そうだ……。

 会長(じいさん)の寺が、こんな状態なのに、会長(じいさん)が無事であるはずが無い。

 日中は、夢葉(ユメハ)の弟も妹も学校で居ない。

 会長(じいさん)の息子である叶総理事長も仕事で、たいていは居ない。

 夢葉(ユメハ)の婆さんも、出張鑑定とかで居なかったはず。

 いつも、寺に居るのは、会長(じいさん)と──そう、夢葉(ユメハ)のお母さんだけだ……。



(じ、会長(じいさん)……。ゆ、夢葉(ユメハ)のお母さん……──)



 二人の安否が気になる。

 あまりにも絶望的な状況に、一瞬、固まったが──こうもしては居られない……。

 俺は、上半身を起こして立ち上がろうとする。



「ダメだよ。(カエデ)くん。ココから出ては、イケない……」


 

 静かに……黒音(クロネ)ちゃんの言った言葉が、俺の耳もとに届いた。



「え?」



 立ち上がって()ると、俺の周囲──四方に会長(じいさん)霊石(ヒーリングストーン)が配置されており、俺を囲むようにして結界が張られている。



「会長……夢葉(ユメハ)のお爺さんが、(カエデ)くんが異世界(オンラインゲーム)の中に入ってる間、守護結界を張ってくれてたんだよ。(カエデ)くんの肉体に何かあっては、イケないから……。それに──」


 

 (うつむ)いて、そう(つぶや)いた黒音(クロネ)ちゃんが顔を上げて、俺の目を見つめて言った。



「この結界は、炎の炎熱や、お寺の損壊からも(カエデ)くんを守ってくれる。それに『アノウィルス』からも……」



(あ、アノウィルス……──!?)



 どう言うコトだ?

 アノウィルス………?

 何者かが、寺を襲った時に撒き散らして行ったのか?

 


「どうやら、そうみたいね……。だから、(カエデ)くんは、結界(ココ)から出てはイケない……」


 

 (タマシイ)の契約の効果で、俺の心の声を聴いた黒音(クロネ)ちゃんが、そう言った。



「だ、だけど、会長(じいさん)夢葉(ユメハ)のお母さんが……」



「大丈夫だよ。(カエデ)くん。ピピ郎が消火活動に、ヴシュヌヴァが救護にあたってるから……──」



 そうだ。

 ピピ郎……。それに、ヴシュヌヴァも来てくれてたんだ──



(ピピ郎……。ヴシュヌヴァ……。頼む……──)










 


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― 新着の感想 ―
[一言] くっ。 何かしたいのに何もできないのはもどかしいですね!!
[良い点] 目覚めたそこは火の海、想像するだけで衝撃的ですね汗 楓くんはもどかしかろうにm(_ _)m
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