アレなはずの彼女の回想……。
「ふぅ……。まだ少し気持ち悪い。けど、もう大丈夫かな」
少しの間、気持ち悪くて身動き取れなかった私だけど、ようやく立てた。
夜中……。
アレな私は、心のままに名前も知らないこの人のことを、本能のままに襲ってしまった。
いや、いくつかの会話の遣り取りはしたけれど、何て言うんだろ?
彼の背中から、あたたかいものをいつも感じていて、ついつい取り憑きたくなってしまった。
いや、認めたくない。取り憑いたんじゃなくって……。
最初に出会った時も、そうだった。
このホテルのお気に入りのいつもの部屋で、いつも通りに私が寛いでいたら、彼がふらっと入って来た。
たいていの宿泊客には興味ないし、たまに視える人や敏感な人には驚かれるから、いつも仕方なく部屋を出て行くんだけど。
何て言うんだろ……。
波長が合うって言うのかな?
彼といると、とっても落ち着くし、なんだか温かくなってホワホワして……。
気持ち良いから、ついつい一緒にいてしまう。
こういうのを「取り憑く」とか言うんだろな……。認めたくないけど……。
そして…。
数時間後、私のお気に入りの彼が、おトイレに座って何かゴソゴソしだした。
最初は、普通にいわゆる用を足しているだけかと想った。
それでも、私は、普通なら罪悪感を感じてしまうところ、マジマジとおトイレの彼の様子を見てしまった。
見てはイケないと心の中では想ってはいても、目が離せなかった。
私は、男の人のアレを知らない。
なんて言っても、まだ私は、17歳だし。そんな経験も無かった。
フツメンだけど、彼のことを一目で気に入ってしまった私。
彼のおトイレの様子を余すこと無く一部始終、目を離すことなく見てしまった。
フルフルと、だんだん大きくなってくる彼の大事な部分。
私は、興奮した。
男の子……いや、男の人が、シているのを生まれて初めて見た。
学校とか友達とかの間で、噂には聴いていたけれど……。
そんな彼の様子を見て、私は、ドキドキした。
興奮した。
なんか……私も、キュンキュンした。
誰にも言えない私の変態な話だけど、お気に入りの彼が最後に私の目の前で、おトイレに出した時。
私は、たまらなくなった。
なぜだろう。
結婚シたいって、想った。
私は、まだまだ子どもなのかな……。
それからというもの、私の胸のドキドキが、止まらなくって。
いや、彼のこと好きになった動機が、すっごい不純すぎて、変態すぎて、誰にも言えないんだけど。
今、目の前にいる彼は、私のとびっきり大好きな彼だ。
彼と一緒に毎日を過ごしたい。
私は意を決して、あの部屋から出て、お気に入りの目の前の彼についていくことを決めた。
決して、憑いて行くんじゃない。
いや、そうなるのかな……?
たいてい私を含めてアレな存在の人って、生きてる人に迷惑かけるパターンが多いみたいだけど……。
それに、あの部屋にも思い入れはあったけど……。
私は、彼を幸せにする!!
迷惑は、かけない!!
負のパターンを、覆してやるぅ!!
アレな私たちのことをよく知らない彼が、慌ててスカスカと、私のことを抱き起こそうとしてくれたことは、アレな反応?としては少しだけ気持ち悪かったけど。
正直、嬉しかった。
たまに、私の気にしていることを無自覚に言う癖は、玉にきずなんだけど。
それでも、なんでも無い彼との会話の遣り取りが、本当は嬉しかった。
「朝飯……。喰いに行く? まだ時間あるし」
「うん! 行くぅー!! おっけー!!」
私は彼へと向き直り、両手の人差し指と親指を眼鏡のように丸く輪っかにして覗きこみ、オッケーサインを彼へと送る。
イメージして着てみたメイド服姿の私が笑うと、嬉しそうに笑顔で返す彼。
その後すぐに、私の胸元をチラリと見て恥ずかしそうにしている彼。
私の胸が、「たゆん」と、揺れる。
七海糸さんが、描いてくださいました! 本作ヒロインのFAです!!
七海糸さん!! 本当に、ありがとうございますっっっっっ!!!!!!!!(*´▽`*)(っ´ω`c)(∩´∀`∩)♡♪☆彡




