来訪者……。
─会長視点─
「ふむ。さて、どうしたものか……。困ったわい……」
楓くんが異世界の中に入り、眠り込むこと、早数日……。
あと、数日で『討伐浄霊作戦』が開始されると言うのに、まだ楓くんは目覚めん。
それに夢葉も黒音ちゃんも吸血鬼くんも、楓くんとともに異世界の世界に入ったままじゃ。
じゃがしかし、『討伐浄霊作戦』は危険じゃて、目覚めんかったら目覚めんかったで、それも良い。
命あってのモノダネ。
いかに神様直々の御触れであっても、わざわざクソ真面目に行く必要など無い。
ワシは、そう想う……。
(それにじゃ……)
ワシの浄霊師仲間のアヤツがヤラレタほどの霊。
単独潜入だったとは言え、アヤツとて並々ならぬ手練れ。そう簡単に負けるはずはなかろうに……。
(何かが、あるはずじゃ……。引っ掛かる……)
まるで、誘き出すようにして伝令された今回の各種浄霊法人団体への招集……。
それぞれに選りすぐられた手練れたちが選抜され、アヤツが倒れた彼の地へと向かっておるはずじゃ。
若い世代の者もおるコトじゃろうし、いかに神様直々の指令とて、命を散らす危険もある。誰かが死ぬのだけはゴメンじゃ……──
(ふーむ……)
時折、チラリと巨大画面を覗き込んで視れば、何のかんの言うて、楓くんも夢葉も黒音ちゃんも吸血鬼くんも元気そうにしておる様子じゃ。
(ほほほ……。皆、元気そうにしておるようじゃな……。微笑ましいわい……)
それに、驚くべきコトがもう一つ。
(ほおぉ……。神の子とな……──)
どうも、楓くんは、神の子……それも、風を司る者に出会い、好かれてしまっておる様子じゃ。
ほっほっほ……。
流石は、ワシの見込んだ男じゃ。
夢葉や黒音ちゃんが惚れ込むのも分かる。それに吸血鬼くんものぉ……。
そうそう。
それと、困ったコトがもう一つ。
今、ワシの寺の玄関で、ワシの目の前におるこのご婦人なんじゃが、今朝方、早朝よりワシの寺へといきなり詣って来られたワケなんじゃが……。
予約なしの進退窮まったご様子で、身体を何やらフルフルと震わして立ち尽くし、様子が変なのじゃ。
夢葉のママさんに呼ばれて玄関までノコノコやって来たワシじゃが、ワシの目の前で立ち尽くされたこのご婦人が、身を震わせて口を開いたかと思えば、開口一番、ワシにこう言ったのじゃ……。
「叶百会ご住職ですね? 死んでもらいます……──」
ふーむ……。困ったものじゃ……。




