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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
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妙案と風……。

黒音(クロネ)視点から(カエデ)視点へ─





「んー。困ったねぇー……」



 腕組みしながら顔をしかめ、困った表情で立ち尽くしている夢葉(ユメハ)

 

 さっきから、私と夢葉(ユメハ)とイケメン吸血鬼(ヴァンパイア)なピピ郎は、同じ場所をグルグルと回ってて、全然先に進めてる実感が無い。

 よくありがちな地下迷宮(ダンジョン)のトラップ。

 回転床。

 通路に結界らしきモノは張られて無いものの、回転する床に素直に乗っては、また地下迷宮(ダンジョン)の入り口付近にある明るい場所へと出てしまう私たち三人。

 回転床に乗らないように、浮遊して飛んだとしても、通路自体が一方通行で先に進めず同じ場所に何度も出てしまう。 

 何かの仕掛けを解除しないとイケないんだろうけど、地下迷宮(ダンジョン)攻略が素人すぎる私たち。

 私は、この手のゲームは、あんまりしたコト無い。やっぱり苦手だ。



「ピピ郎? なんとか、なんないの?」



 私は、異空間転移魔方陣が使えるピピ郎に聴いてみた。



「んー。それがデスねぇ。この地下迷宮(ダンジョン)自体が結界のようなモノで出来てまして、地下の階層へと異空間転移魔方陣をくぐらせて移動するコトが出来ないのデスねー。無理矢理、貫通させるにしても、今の私の霊力(パワー)では、どうにも……」



「んー。ピピ郎の異空間魔方陣でも無理かー……」



「申し訳ありません……。黒音(クロネ)さん。(さら)われたのが一瞬の出来事で、結界も生きてましたし、(あるじ)(カエデ)くんに異空間転移魔方陣でマーキングする余裕が無かったのデス。もし、(あるじ)(カエデ)くんにマーキング出来てマシたなら、現在位置情報を特定し、追跡するコトも可能でしたが……」



「あ! それっ……!!」



 夢葉(ユメハ)が、「たゆん──」と胸を揺らして、声を上げて何か気づいたみたいだ。

 そう。私もピンと来た。



「「 『(タマシイ)の契約』……!! 」」



 私と夢葉(ユメハ)が、顔を見合わせて同時に叫んだ。



黒音(クロネ)!! (カエデ)との(タマシイ)の契約なら、どんな(チカラ)も寄せ付けない!!」



「そうだね。夢葉(ユメハ)(カエデ)くんとの(タマシイ)の契約は、いかなる(チカラ)の干渉もキャンセルする」



 そう……。

 私と夢葉(ユメハ)は、(カエデ)くんとの『(タマシイ)の契約』をしてるから、瞬時に(カエデ)くんのもとへと飛ぶコトが出来る。

 なんなら、(カエデ)くんの身体の中から出入りするコトだって可能だ。

 私と夢葉(ユメハ)(タマシイ)の本体は、(カエデ)くんの中にあるから。

 どれだけ離れてたって、引かれ合う。(カエデ)くんと。お互いに。



「じゃ、ピピ郎? 私か夢葉(ユメハ)? どっちでも良いけど、どっちかに異空間転移魔方陣をマーキングしといて?」



「ウフフ……。『(タマシイ)の契約』とは興味深い。黒音(クロネ)さんと夢葉(ユメハ)さん、お二人にマーキングさせて頂きマスよ? 不測の事態に備えて……ね?」



「なるほどー。これで、ピピ郎も私と黒音(クロネ)と一緒に行けるねっ!!」



 我ながら、妙案だと想う。

 ま、夢葉(ユメハ)も同時に気づいてたけど。

 そう言うワケで、この地下迷宮(ダンジョン)攻略の突破の糸口をつかんだ私たち。

 後は、さっきの声の主……。(カエデ)くんを(さら)ったヤツとどう戦うか?

 いや、最悪、(カエデ)くんさえ取り戻せれば良い。

 なんせ、相手は『神レベル』だから──




☆◇♡♤♧☆




「んじゃ、何して遊んでくれるのー?」


 

 まだ、年の()も行かない中学一年生くらいの女の子なヴィシュヌヴァが、エメラルドグリーンの瞳をキラキラと光輝かせながら俺に言う……。

 クリンクリンの大きな瞳で、クリンクリンにウェーブした水色の髪の毛が、ヴィシュヌヴァの肩のあたりで揺れている。



「んー。そうだな……」



 修行しに来たとは言え、ヴィシュヌヴァにいきなり、ぶっ飛ばされたりするのはゴメンだ。困る。

 下手すりゃ、一撃で、霊的体力(ひっとぽいんと)が0(ゼロ)になって現実世界(リアル)に強制送還だ。

 まだ、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃん、ピピ郎とも会えてないし。

 俺のコト探したまんま、三人をこの地下迷宮(ダンジョン)に留まらせるワケにはいかない。


 俺が、アゴ(ヒゲ)を触りながら考えあぐねていると、ヴィシュヌヴァが何かを思いついたように、叫んだ。



「あー!! さっきの僕のお(ヘソ)を、コショコショするヤツやってよー?」



「お(ヘソ)をコショコショ……? いつ俺がお前をコソばしたよ?」



「アハ!! そっかー。(カエデ)は、分かんないんだねー? さっき(カエデ)が通った結界は、僕のお(ヘソ)みたいなもんだよー? あの時みたいにさ? ね?」



 可愛いらしく、ヴィシュヌヴァが俺の目を見てウインクする。

 いつの間にか俺の名前の呼び方が、(カエデ)くんから(カエデ)に変わってるし。

 親しみを覚えてくれたのか?

 コイツが、中学一年生な女子でなけりゃ……なんて想うが、まだ俺の趣味じゃない。

 夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんには、誤解の無いように再会した時に強く言っておこうと想う。



「こ、こうか……?」



 俺は、ヴィシュヌヴァの(ヘソ)のあたりをコショコショとする。



「アッハー!! やめてやめてやめて!! あー!! くすぐったい!! もー、(カエデ)のエッチー!!」



 な、なんだ?

 俺は、エッチーなコトなど、ひとつもして無いのだが?

 それに、ヴィシュヌヴァは、この俺の「くすぐり」の遊びに夢中で、俺の心の中までは把握しきれていない様子だ。

 それに、「エッチー!!」って……。神様の子どもでも、そんな言葉知っているんだな……。



「キャー!! もう!! ダーメっ!!」



 ヴィシュヌヴァが、そう叫んだ瞬時──


 竜巻のような強烈な突風が吹き荒れ……。

 俺は見事にヴィシュヌヴァに、ぶっ飛ばされた。











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― 新着の感想 ―
[一言] あー。 こいつぁ厄介な事になってきたぞぇ(;'∀')
[良い点] 流石神の子…ちょっとのお遊び?でぶっ飛ばされますか~(^^; しかし、コショコショシーンをあのお二人が見てたら、どのような反応していたのか…汗
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