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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
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地下迷宮(ダンジョン)のその先は……?

(カエデ)視点─




「ふががが!? ふもももっ!?」



 俺は、知らない誰かに口をおさえられたまま、連れ去られてゆく。

 


(子どもみたいな手……?)



 とは言っても、透明な空気の風みたいなのを(まと)っていて()え無い。

 


(アハハ! ごめん、ゴメン! 息苦しかったかな?)



 俺の頭の後ろで声が響き、口もとにあった手が離される。

 背中の後ろで俺と密着している部分が生暖かく柔らかい……。

 どうも、コイツは──なんて、想う。


 ヒュンヒュンと、俺は抱きかかえられたまま、薄暗い地下迷宮(ダンジョン)の奥底へと飛ぶようにして連れ去られてゆく。

 幾つもの階段、狭い廊下……怪しい仕掛け、立ち並ぶ石像群。

 その間を、ビュンビュンすり抜けて、俺たちはこの地下迷宮(ダンジョン)の一番奥深い場所へと辿り着いた。



(アハハ! 流石に暗いよね?)



 俺の身体から離れたソイツが、暗闇の中を風が吹くようにして動いているのが分かる。



(ガコォン……!! ゴゴゴゴゴ……──)



 何か、仕掛けのようなモノがハマり込んだ音がし、地響きとともに目の前の開かずの扉が、音を立てて開いて行く。

 暗闇一色に染まるこの地下迷宮(ダンジョン)の最深部。

 途中、明かりの灯っていた場所も何カ所かあったが、会長(じいさん)からもらった暗視カメラ付きのゴーグルも無いし、ほぼ不可視だ。



(ボッ、ボッ、ボッ……──)



 俺の目の前で開かずの扉が開き、壁に沿って取り付けられている松明(たいまつ)のようなモノから炎が出て、明かりが灯されている。

 すると、さっきまで俺を連れ去っていた透明人間みたいなヤツの声が直ぐ(そば)で聴こえた──



(──火の神様の加護もあるから炎は多少扱えるんだ。……あ、ちなみに僕のパパは風の神様だけどね?)



 ──パパ?

 どうやら、コイツは風の神様の子どもってワケか?

 ま、想像に(かた)くない話ではある。

 コイツの話し方とか霊気(オーラ)から察するに、殺気や敵意なんてのは感じられ無い。



(それにしても……)



 明かりの灯されたこの空間の奥へと視線を移すと──まるでプラネタリウムのような場所で……。

 幾つもの朽ち果てた石仏やら身体の欠けた天使、古代遺跡の柱やらその一部など……失われた重要文化財的なモノが、たくさん浮遊していた。

 何か、もの悲しく──切ない感じがする。

 まるで、時間の果て……。

 時が止まったように感じながらも、二度とは行けない場所。

 そんな夢から覚めたような胸の締めつけられるような感覚だけが空間を彷徨(さまよ)い続ける場所。

 願わくば、ここに漂うモノたちに想いを馳せ……寄り添ってあげたい。

 そう想わせるような場所だった。



(流石は、(カエデ)くん? だったかな……? センスあるね?)



 どう言うワケか、俺の心情というか心の動きが分かったようだ。



(そりゃあ、分かるよ? これでも神様の(はし)くれなんだからね? おっと、まだ神様なんて名乗ってはイケないんだった……)



 風の神様の子どもとか言うソイツの声が、この寂しげな空間に響いて──ヒュルヒュルと風を解いたような音がして、ソイツは俺の目の前に降り立った……。


 

「やあ。僕の名前は、『ヴィシュヌヴァ』。風を(つかさど)る神様の子ども。(カエデ)くん? 君は何しにココに来たの?」



 ソイツが、そう言って俺の目の前に立っている。

 まだ、年の()も行かない中学一年生くらいだろうか。

 見た目は女子。

 女の子なのに、一人称が僕っ子だ。

 クリンクリンにウェーブした水色の髪の毛が肩に掛かって揺れている。

 目もクリンクリンに大きくて、エメラルドグリーンに輝いている。

 小顔で整った顔立ち。小さな口唇(くちびる)

 

 服装は、いわゆるギリシャ神話によく出て来る天使とかが身につけている薄手の白い布。

 それに光沢のある金色のラメが入っているのだが、上がノースリーブなのと、下の太ももが露わになるほどに(たけ)が短い。

 目のやり場に困る。

 そして、やはり透けるような白い肌。神の子であるせいか、余計にそう()える。

 胸の膨らみは、まだ小さくて、成長の途中なのだろう。これからと言った感じだ。



「ウフフ……。気になるの?」



 俺が、そんな風に想っていると、一人前にそんなコトを言う『ヴィシュヌヴァ』。



「だ、誰がっ!? そ、そんなコト想うかよ!! それよりトシっ! 年齢(トシ)は幾つなんだよ?」


 

 俺は、慌てて『ヴィシュヌヴァ』に聴き返した。



「ウフフ。トシ? 僕ぁ、ねぇ……1300歳くらいかな? 君たち人間の年齢で言うと」



「1300歳っ!! 見た目は中学一年生なのに!?」



「チューガクイチネンセー? 何それ? 君たちの世界にはソンナのあるの? ま、いろいろ教えてよ? 僕ぁ、ほとんど君以外の人間を知らないしさ? あ、そうそう。1300歳って、人の有史より短いよね? だからね、僕ぁほとんど生まれたてみたいなもんさ?」



 今まで寂しかったのか、『ヴィシュヌヴァ』は、ペラペラと俺に良く(しゃべ)る。

 胸は小さいが、活発な可愛い女の子……と言った感じだ。

 見た目が、中学一年生な女子なだけに、俺にはソンナ趣味は無いが、まあ、相手をしてやらんコトもない。



「俺はだな。ココに、修行しに来たんだ……」



「修行……? それって、僕の遊び相手になってくれるヤツ?」



「ん? あぁ……。まぁ、そうとも言うよなぁ……?」



(──神様の子どもの遊び相手……か)



 修行とは言え、神様の子どもの遊び相手……。

 今から何をさせられるのだろうか……。

 思いやられる。











 

 




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― 新着の感想 ―
[一言] ギリシャっぽい服装のインドの神様っぽい女神ちゃん……果たしてどんな試練を(;゜Д゜)
[良い点] 神様の子供ちゃんなのですね~。 神様の子どもの遊び相手…… 色々と大変そうですな(^^;
[良い点] 風の神様の子供でしたか! なかなか厄介な絡まれ方をしましたね(*^^*) 黒音の破壊力に驚きましたが、救出されるのでしょうか(๑´ڡ`๑)
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