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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
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あきらめない……。

黒音(クロネ)視点─




「ぐおおぉぉっ……!!」



 (カエデ)くんが雄叫びを上げながら、50メートル超の巨大神像へと疾走し、私の目の前からグングン遠ざかってゆく。



「待ってー!! (カエデ)、くーん!!」



(カエデ)っ、速いよー!!」



「流石は、(あるじ)っ!! 我が翼をもってしても追いつけぬっ!!」



 私と夢葉(ユメハ)とイケメン吸血鬼(ヴァンパイア)なピピ郎は、走るコトを諦めて、飛行スタイルに切り換えていた。

 長いコト『浮遊霊(アレ)』やってると、生前(リアル)みたいに走るよりも、飛ぶ方が速い。

 ま、個人差もあるし、慣れもあるけれど。


 飛行スタイルに切り換えた私たち三人は、走るよりも10倍は速いスピードで、地面スレスレを飛んだ。

 やっぱり、翼を持ってるピピ郎が、一番速い。

 続いて、私と夢葉(ユメハ)が良い勝負。

 土埃(つちぼこり)を上げて、地面スレスレを飛行して、ようやく(カエデ)くんに追いついた。



(ぐぉん……)



「ふぇっ!?」



 不気味な音が聴こえて、変な声を上げた(カエデ)くんが尻もちをついている。


 50メートル超の巨大神像の(ヘソ)の空洞は、見たところ約2メートル四方程度の高さと幅がある。

 全力疾走した(カエデ)くんは、そのまま空洞の暗闇の中へと突っ込もうとして、何かに(はば)まれて(はじ)かれ、吹き飛ばされたみたいだ。


 (カエデ)くんに追いついた私と夢葉(ユメハ)とイケメン吸血鬼(ヴァンパイア)なピピ郎が降り立ち、巨大神像の(ヘソ)の空洞へと近づく。



「なに? このボヨボヨのゼリーみたいな透明な(ヤツ)?」



 私が、巨大神像の入り口と思われる空洞の暗闇へと手をかざすと、何も無いのに透明なゼリーのような弾力性のある壁みたいなのを感じた。

 中からはヒンヤリとした冷たい空気と風が吹いて来るのに。

 

 私が、手をかざして透明な壁みたいなのに触れるたび、アルファベットの筆記体のような文字で書かれた円形と星型を組んだ六芒星の魔方陣が現れ、青色から紫色のグラデーションを見せては消えていった。



「んー? 何かの結界……?」



 夢葉(ユメハ)が、腕組みして首をかしげ、不思議そうに見つめている。



「どうやら、そのようデスね? 私の異空間魔方陣を持ってしても、この結界とやらに(はじ)かれちゃいマスね……」



 イケメン吸血鬼(ヴァンパイア)なピピ郎の左手のひらから、空洞内部の暗闇へと異空間魔方陣が描かれるも、「バン!」と音を立てて磁石みたいにして、お互いに(はじ)かれ合い消滅する。



「ここは、(あるじ)……」



 ピピ郎が、そう言いかけて、(カエデ)くんの方を横目でチラリと見た。

 ピピ郎が、(カエデ)くんに何かを期待してる。

 ここで言う何かって、そりゃあ、もちろん結界破りのコト。

 イケメン吸血鬼(ヴァンパイア)なピピ郎の異空間魔方陣でも開かなかった結界……。



「うっ……。そ、そんな目で見るなよ……。ピピ郎……」



 (カエデ)くんが、気まずそうに苦笑いしている……。



「どいてーっ!!」



 私と(カエデ)くんとピピ郎の後ろから、夢葉(ユメハ)の叫び声が聴こえた。

 私が、夢葉(ユメハ)の声の方に振り向くと、夢葉(ユメハ)が紅く金色に燃える闘気(オーラ)を左の拳に(まと)わせて、助走をつけてコッチに向かって走って来る。



雷光(イカヅチノ)烈拳(ヒラメキ)ーっ……!!」



(バァァン……!!)



 まるで、雷が落ちたかのような衝撃を受け、あたり一面の景色が光り、私と(カエデ)くんとピピ郎が吹き飛ばされた。

 眩しくて、一瞬、視界が奪われる。

 しばらくすると、目が慣れて来て──

 私と(カエデ)くんとピピ郎の目の前には、左の拳から煙を出している夢葉(ユメハ)の姿が()えた。



「ハァ、ハァ……。ダメだ……。開かない……!!」



 巨大神像の入り口の空洞の前で、夢葉(ユメハ)が悔しそうに立ち尽くしている。

 


「いかんとも、し(がた)い展開デスねー……? さて、どうしたモノか?」



 イケメン吸血鬼(ヴァンパイア)なピピ郎が「ククク……」と不敵にも笑い、ムクッと立ち上がった。



「あきらめマスか?」



 ピピ郎が振り返り、(カエデ)くんへと尋ねた。



「いや……」



 (カエデ)くんが、ひと(コト)、そう言って──

 ゆっくりと立ち上がった……。

 


((カエデ)くんは、あきらめてない……?)



 (カエデ)くんには、何か考えがあるんだろうか?

 たぶん、私の『殲滅(マグナム)魔弾丸(フォーティーフォー)』でも開かない……。



((カエデ)くん……)



 (カエデ)くんを見つめながら……。私の胸が、キュンと鳴って「たゆん……」と揺れた──











 


 


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― 新着の感想 ―
[一言] もうこりゃフュージョンして最大火力で一点集中で全力全開でぶち抜くしかないっしょ(;'∀')
[良い点] おっ、楓くんその結界をどうするか。 見物ですね~。
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