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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
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入り口……。

夢葉(ユメハ)視点─

(あるじ)っ!? (カエデ)くん!? 大丈夫デスかっ!?」


 

(カエデ)、くん!? 大丈夫!?」



 谷底へと辿り着いた黒音(クロネ)吸血鬼(ヴァンパイア)なピピ郎が、いち早く……倒れてる(カエデ)のもとへと駆け寄り、(カエデ)に寄り添っていた。

 

 (カエデ)の重たそうな上半身が、吸血鬼(ヴァンパイア)なピピ郎の腕に抱きかかえられている。

 心配そうに、(カエデ)を見つめる黒音(クロネ)


 視界は、黒い霧のようなモノで遮られているけれど、煙の中にいるみたいにして、なんとなくピピ郎と黒音(クロネ)(カエデ)の様子が()える……。


 私は、黒い霧のようなモノで視野を奪われた視界0(ゼロ)に近い周囲の様子を伺いながらも、やっぱり(カエデ)のコトが心配で──それでも、『風』の正体を気にしつつ、(カエデ)とピピ郎と黒音(クロネ)の後ろから、三人の様子を遠目で見守っていた……。



(風……。止んだ? それよりも、(カエデ)──)



 いつの間にか、風が()いでいる……。

 


「う、うーん……。あ、アレ? ここは?」

 


 谷底への落下の衝撃(ショック)も、空からの落下(ダイブ)を一度経験したせいか、ピピ郎の『魔方陣』を使用するコト無く、すんなりと目覚めた(カエデ)



「おぉっ!? 我が(あるじ)!! (カエデ)くん!! 目覚めまシたかっ!?」



「ハァ……。(カエデ)くん。良かった……」



 無事、目覚めた(カエデ)の様子に、黒音(クロネ)とピピ郎が安堵して胸を撫で下ろす。

 

 私も安心した。

 

 私だって、『風』の正体を気にしていなければ、もちろん(カエデ)(そば)に居たかった。


 さっきまで視界0(ゼロ)なほど、私の視野を遮っていた黒くて濃い霧のようなモノが、徐々に晴れてゆく……。

 

 今度は、朝靄(あさもや)のような白い霧が、あたりを包み込み──今まで暗く閉ざされていた、()るコトの出来なかった谷底の様子が、光とともに晴れて次第に明らかになってゆく。



「ちょ!? なんなのよ? コレっ!!」



 黒くて濃い霧のようなモノが晴れて、突然視界の開けた目の前の光景に戸惑いながらも、黒音(クロネ)が辺りの様子に目を見開いて驚いている。

 

 黒音(クロネ)は、さっきまでのタイトな秘書課主任秘書(ミニスカスーツ)スタイルから、いつもの黒ホットパンツとノースリーブな黒サマーセーターへと、いつの間にか服装変化(イメチェン)していた。

 


(……だよね。黒音(クロネ)。確かに、驚くほど暑いんだよ。ここは……)



 『(アレ)』な私たちには暑さ寒さなんて、関係無い……はず。

 なのに……。

 『幽体』の(カエデ)も、ここの暑さを感じていると想う。


 『風』と言うと、冷たく吹き荒ぶイメージがつきものだけど、私と黒音(クロネ)吸血鬼(ヴァンパイア)なピピ郎が、谷底へと到着した途端に風は止み……亜熱帯な気候さながらの蒸し暑いムッとした空気が、(カエデ)を含んだ私たち四人の周辺を取り巻き、押し寄せていた。


 それに──

 

 突如として私たちの目の前に現れたのは、学校の世界史の授業でも習った『アンコールワット』とでも言うような遺跡群で。

 (ツタ)の葉や(ツル)に巻かれて悠大にそびえ立っていたから……。

 あたかも、異世界(ゲーム)迷宮(ダンジョン)みたいに。


 私が、そんな風に想っていると──黒音(クロネ)の胸もとで、五芒星のペンダントが、光に反射して光っていた。



(あれ? 黒音(クロネ)……? あんなの、持ってたっけ……?)



 吸血鬼(ヴァンパイア)なピピ郎は、(カエデ)の様子に安堵して、(そら)を仰ぎながら上体を()らして、金色に輝く長い髪の毛を右手で掻き上げていた。

 

 暑そうだけど、相変わらずのピピ郎の長袖白カッターシャツは、透けるような肌の胸もとが大きく開いてて……黒ズボンは、夏用みたいにサラッとした光沢を放っていた。


 (カエデ)は、いつものネクタイにスーツ姿。

 相変わらずだけど、たぶん、『常世(ワールド)道先案内(ナビゲーション)相談員(コンサルタント)』としての(カエデ)の強い想いみたいなのが、(カエデ)(タマシイ)に反映されているんだって、感じられた……。


 

 私は──


 昔、修行の時に着てた白の道着姿に服装変化(イメチェン)した。

 道着って言っても中華服(チャイナドレス)みたいな感じで、格闘ゲームの女の子キャラが良く着てるような感じの服装(ヤツ)だ。

 気合いが、入る。

 イメージで、金色の(ドラゴン)の刺繍とかもドレスに入れてみた。

 私の両手首に金色の腕輪(バングル)が浮かび上がる。



(あ……。これ……)



 想い出した。

 よく、修行の時につけてた腕輪(バングル)だ。

 烈拳(パンチ)を打ち出す威力(スピード)を上げるための装備(モノ)だったけど……。

 以前より然程(さほど)、重みは感じられないけど、なんとなく安心感がある。

 私の気持ちに応えて出て来てくれたのかな?



(よし……)



 さっきまで()いでいた蒸し暑い空気の中で、私のツインテールにした髪の毛が、頬を撫でるようにして、ヒンヤリとした風に揺れた……。


 私の視線の先──


 暗闇の大渓谷の様相から深い森林(ジャングル)へと姿を様変わりさせたこの谷底に──ひっそりと佇む古代遺跡群。

 

 その入り口付近に、茶色い岩肌をそのまま削り出して造られたような巨大な神の涅槃(ねはん)像が横たわっている……。

 全長50メートルくらいはあるのだろうか……?

 

 (ツタ)の葉や(ツル)が絡まってて、深く緑が生い茂っている。

 その巨大な神の涅槃(ねはん)像とも言える(ヘソ)の部分が、暗い空洞みたいになってて、そこからヒンヤリとした冷たい空気──『風』が流れ出ている……。

 ちょうど、高さ2メートルくらいの入り口みたいな場所。

 遠目だけど、暗闇が奥へと続き……深く広がっているようにも感じられた。










 


 

 


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― 新着の感想 ―
[一言] まさかのステージ!! 果たしてどんな強敵が(;'∀')
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