表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
61/88

『討伐浄霊作戦(グループチームミッション)』……。

─楓視点─




「ワシじゃ!!」


 

 寺の本堂に設置された巨大画面(オンラインゲーム)の真っ暗な画面に突然、「ブン……」と音を立てて映し出された巨大な『顔』。


 突然の出来事に驚き過ぎて、俺の身体の中から夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの二人が、身体を投げ出すようにして「ゴロゴロ」と、寺の本堂の床に転がるようにして出て来た。



曾祖父(ひいおじい)ちゃん!!」



 夢葉(ユメハ)が、両手を突いて、そう叫んだが……。

 やはり、何度見ても会長(じいさん)と見分けがつかないほどの(ウリ)二つ。

 一卵性双生児なのではないかと思うほど、そっくりだ。



「「 !? 」」



 俺と黒音(クロネ)ちゃんは、目を白黒させたまま絶句して言葉が出て来ない。



「ふーむ。このお寺のご住職と、そっくりな吾人(ごじん)ですねー?」



 側に偶然居合わせたイケメン吸血鬼(ヴァンパイア)な男『アルフォンソ=ピッピストレーロ』が、腕組みして右手でアゴを触りながら話す。

 流暢(りゅうちょう)な日本語だ。

 俺は、このイケメン吸血鬼(ヴァンパイア)な男『アルフォンソ=ピッピストレーロ』を正式な名前で呼べそうにも無いので、心の中で『ピピ(ロー)』と名付けた。


 

 と、そこへ──


 この寺の現住職、(かのう)百会(びゃくえ)会長が、「ガラガラ」と音を立て玄関の扉を開けながら、ちょうど帰宅していた。



「ただいまなのじゃー!!」



 御年(おんとし)何歳なのかと思うほどの張りのある声。

 奥から、夢葉(ユメハ)のお母さんが出迎える。

 会長(じいさん)が、帰って来た。

 「トテトテ」と、会長(じいさん)が寺の本堂へと、床を歩く音が聞こえる。

 


「おぉっ!! 親父(オヤジ)!!」



「おぉっ!! 我が息子よ!!」



 寺の本堂に設置された巨大画面越しに、オンラインで御対面した(かのう)家の曾祖父と祖父。

 遠隔(リモート)とは言え、おそらく、アノ世とコノ世。

 


(どんだけだ……)



 俺は、改めてこの『巨大画面(オンラインゲーム)』の不思議さに驚く。

 


(それにしても……)



 会長(じいさん)が、よく寺の本堂で、この『巨大画面(オンラインゲーム)』を前にして、何やらゴソゴソしているのを良くみかける。

 が、一体、何をしているのか……?

 まだ、会長(じいさん)の口からは、詳細が明らかに語られていない。



(確か、ロールプレイングゲームだったよな……?)


 

 俺と夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんが、霊的に登場人物(キャラ)として接続されているのなら、この『巨大画面(オンラインゲーム)』の中で、レベル上げとか戦闘(バトル)とか、なにがしかの物語(ストーリー)が展開されて、武器や防具、魔法にアイテムなんかも購入出来るはずだ。

 

 購入と言えば、お金が必要だが……この『巨大画面(オンラインゲーム)』の世界では「通貨」が存在しているのだろうか?


 それに、「オンラインゲーム」と言うのならば、複数の『冒険者(プレイヤー)』たちが存在して居るはず。

 「オンラインゲーム」自体に関しては、俺も詳しい事は分からないが……。

 会長(じいさん)は、現実世界(リアル)と、この『巨大画面(オンラインゲーム)』の中の『世界』が、「繋がっている」とも言っていた。



夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃん、それに(カエデ)くん! 久しぶりなのじゃ! 帰って来たぞいっ! 吸血鬼(ヴァンパイア)くんも元気にしておったかの?」



「これは、これは……。百会(びゃくえ)ご住職……。ご機嫌麗しゅう御座います……」



 イケメン吸血鬼(ヴァンパイア)なアレな男……。

 『アルフォンソ=ピッピストレーロ』こと『ピピ(ロー)』が、丁寧に会長(じいさん)に頭を下げ、深々とお辞儀をしている。

 

 イタリア系な陽気なイケメン吸血鬼(ヴァンパイア)にして、肝心なところでは、品格がある。

 

 日本の文化にも精通しているのだろうか、時と場所をわきまえた礼節に、『ピピ(ロー)』の品の良さを感じる。

 心霊廃墟ホテルに引き籠もっていた時とは、別人のような良い『霊気(オーラ)』を放っているのが、驚きだ。



「して、親父(オヤジ)。何の用じゃ?」



「ふむ。息子よ。よくぞ、聴いてくれた……。実はな……」



 俺と夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃん、それに『ピピ(ロー)』と会長(じいさん)が、(そろ)ったところで、『巨大画面(オンラインゲーム)』一杯に映し出された夢葉(ユメハ)曾祖父(ひいじいさん)の顔が、語り出した──

 

 

「ふむ。実は『神様』からの『御告げ』での? この度、『討伐浄霊作戦(グループチームミッション)』が展開される事に決まったのじゃ。各依頼先の浄霊師(エクソシスト)法人団体から、数人一組を選抜して浄霊にあたることになったのじゃよ。総勢、何組にして何名の浄霊師(エクソシスト)が浄霊にあたるのかは、分からん。単独(ソロ)で参加する者も、おるかもしれん。期限は、10日後じゃ」



(……10日後!? しかも、複数参加!?)



 俺は、驚きを隠せない。

 

 それにしても、10日後とは、また切迫詰まった話だ。

 俺や夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの『霊的なレベル』も、そんなに上がってはいないだろうし、大丈夫なのかと不安になる。


 しかしながら、急な展開に驚かされるのは、いつもの事……。


 最初の『浄霊指令(ミッション)』も二度目の『浄霊指令(ミッション)』も度肝(ドギモ)を抜かれたが、この度の三度目の『浄霊指令(ミッション)』となる『討伐浄霊作戦(グループチームミッション)』は、浄霊師(エクソシスト)の複数参加。


 俺と夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんだけじゃない。

 心強い味方……浄霊師(エクソシスト)の皆さんが、たくさんいらっしゃる。

 それに、イケメン吸血鬼(ヴァンパイア)男の『ピピ(ロー)』も居るが、『ピピ(ロー)』は参加するのだろうか?


 

「ん? どうしました? (カエデ)くん?」



 俺が、『ピピ(ロー)』の方を「チラリ」と()ると、『ピピ(ロー)』が聞き返して来た。



「いや……。『ピピ(ロー)』は、どうすんのかな? って……」



「『ピピ(ロー)』? 私のコトですか? 良い名前ですねー!! 気に入りましたよ!! フフフ……。もちろん、私も参加させて頂きます」



(心強い……!!)



 俺は内心、そう想った……。思わず、『ピピ(ロー)』と呼んでしまったが……。

 

 『ピピ(ロー)』の『異空間転移操作能力』。

 これは、デカい。

 数人一組のチームプレイで挑むなら、霊力戦闘(オーラバトル)でも有利だし、後方支援(バックアップ)で回復や回避、いざという時は、即座に逃げ切る事も可能なはずだ。



(これは、イケる……!!)


 

 俺は秘かに、軽く右手でガッツポーズを決めてしまっていた。

 

 ただ、『討伐浄霊作戦(グループチームミッション)』と言うからには、相当な規模のはずだ。

 俺の心配や不安は、やはり、拭い去れない。



「アハ! なんか、楽しみだねー? たくさん浄霊師(エクソシスト)? ってのが来るの? 親睦かねて、たくさん交流したいよねー?」



 呑気なもんだ。

 黒音(クロネ)ちゃんは、意外に楽観的で、おドジな面がある。

 前回も油断して『ピピ(ロー)』の『異空間転移魔方陣』に、引っ掛かってしまっている。

 もう少し慎重に……とは想うが、それは俺も同じコト。

 


(気を引き締めねば……)



 俺が、そう想っていると──



「だよねー? (カエデ)! じゃあ、みっちり10日間? しっかり修行しないとねっ!!」



 夢葉(ユメハ)に、そう言われて……俺の背中が「バチン!」と叩かれた。



「ウッ!?」



 思わず声が出た。

 修行?

 それも、そうだ……。


 修行以外にも、相手の『(アレ)』な存在たちに名前を知られないように、工夫しないとイケないし……。

 


(暗号名(コードネーム)? んー……。なんか、スパイとかエージェントみたいだ。カッコイイ……。)

 

 

 『ピピ(ロー)』も参加する事だし、「暗号名(コードネーム)」も決めておいた方が良いと俺は想ったが、やはり、『(タマシイ)の契約』による夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんとの意思疎通の強化を図れば、超能力(テレパシー)のように会話が出来るはずだ。


 会話の内容を相手に悟られ無い。

 これは、この度の『討伐浄霊作戦(グループチームミッション)』において、かなりのアドバンテージがあり、霊力戦闘(オーラバトル)中においても、かなり有利なはずだ。



 すると──


 夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんが、俺の方を向き、同時に二人そろって「ウインク」した……。

 

 そして、尚も同時に──


 夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの大きな両胸が、「たゆん─」と揺れた……。


 (しゅ、修行だ……。これは、俺に修行させる気満々の二人の「ウインク」に違い無い……。間違い無い……)


 俺も今回ばかりは、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの二人の「ウインク」と胸の「たゆん」な揺れ具合には、ときめかなかった──

 


 








 


 

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ピピロー!! 彼自身はそれでええとか……どないなセンスやねん(;゜Д゜) そして、ついに集団戦!! 一体どんな相手が怨念……おやおんねん(;'∀')
[良い点] ピピロー、可愛い(*≧∀≦*) 上品なところもポイント高いですね! これからの活躍が楽しみなキャラクターです♪
2022/05/11 19:43 退会済み
管理
[良い点] イケメン吸血鬼にピピ郎… 鳥みたいなあだ名ですね(笑) 楓くんのネーミングセンスが可愛すぎますね(´▽`) そして修行ですか~! 楓くんのカッコいいところをもっと見たいので頑張ってほしいで…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ