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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: 破魔 七歌 
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
58/88

信じる……。

─楓視点─

(ゴゴゴゴゴゴゴ……)




(時間が無い……)



 俺は改めて、そう想う……。


 目の前の男の(タマシイ)は風前の灯火。


 加えて、この廃墟ホテルの倒壊の兆しとなる震動音……。


 今すぐにでも決意しなければ、男の(タマシイ)とともにこの建物自体が崩壊する。


 

 心霊廃墟ホテル──



 取り壊しの決まった物件でもあり、このまま崩壊すれば、解体工事の手間も省ける。

 

 さらに、この男の(タマシイ)も滅び……『浄霊指令(ミッション)』としては、完遂出来たコトになる。(カタチ)の上では。


 しかしながら……。


 二人の若い女性──人命が、掛かっている。


 

 男の(タマシイ)は尚も、「二人の若い女性の命」と「俺の使命」とを天秤の片側に乗せ、「自身の(タマシイ)の存続」とを、釣り合いの取れるように、「取り引き」の上に「駆け引き」を持ち出す。



 「二人の若い女性の命」と「俺の使命」とを俺が選べば、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんから分け与えられた『霊力(チカラ)』で男の(タマシイ)は回復し、廃墟ホテル倒壊後の俺たちを見捨てて、まんまと逃げ(おお)せるコトが出来るだろう。


 逆に、このまま男の(タマシイ)が消滅してしまえば、俺たちは、倒壊した廃墟ホテルにそのまま生き埋めになる。


 自身の(タマシイ)の消滅が掛かっているにもかかわらず、不敵にも笑い……俺との「取り引き」を優位に進めようとする。

 

 加えて、この時間の無い状況。



(悪魔か……?)



 尚も屈するコト無く、俺に「取り引き」に応じさせようとするその(チカラ)


 まるで、超一級の賭博師(ギャンブラー)か勝負師のような心理戦を俺に仕掛けて来る、この男の(タマシイ)……。


 最後の最期まで……。


 自身の(タマシイ)が風前の灯火で、力尽きようとしているのに……。


 それに、ひとつめの『芸術(アート)を想う存分させるコト』と、ふたつめの『常世(ワールド)道先案内(ナビゲーション)相談員(コンサルタント)の「補佐役」として()け従わせるコト』も、男の(タマシイ)の願いとしては、俺を油断させるための「(フェイク)」なのかも知れない……。



 そう想うと……。


 『悪魔』のようにも想えたが、諦めない男の(タマシイ)には、敬意の念が湧き、感服する。


 

 ……が、俺は、あるコトに突然気がつき、想い出した──


 

((タマシイ)は、(ウソ)がつけない……)



 かつて、夢葉(ユメハ)が、「感じるんだ……」と言っていたコト。


 夢葉(ユメハ)と俺が出会って、すぐの頃。

 夢葉(ユメハ)は俺に「伝わるんだ……」とも言っていた。


 それは、心を超えた『(タマシイ)』のコト──


 『(タマシイ)の契約』を結べば、より鮮明に相手の心の動きが伝わり、感じ取るコトも出来るようだが……。


 

 そう想いながら、思考を重ねた俺は、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの方を()る。



「そうだよ……。(カエデ)……」



 素直で真っ直ぐな夢葉(ユメハ)の瞳が、俺の目を見つめて、天使のように微笑んだ。



「そうだよ……? (カエデ)くん……?」


 

 黒音(クロネ)ちゃんのイケない小悪魔のような瞳が、俺の目を見つめて、堕天使のように悪戯(イタズラ)っぽく笑った。


 『(タマシイ)の契約』を俺としている夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんは、俺の心の動きを(タマシイ)で感じ取るコトが出来る。より鮮明に。

 

 今、俺の目の前にいるこの男は、風前の灯火。『(タマシイ)』そのものだ。

 

 俺と夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんとの『霊力戦闘(オーラバトル)』で、『霊体』をも消耗し、『霊体』の『核』とも言える『(タマシイ)』そのものになって、男は、もはや消滅寸前である。


 肉体を所有する生きている人間ではない。


 『(ウソ)』が、突けるわけがない。

 


(ウソ)は、突いていないようだな……」



 俺は、男の(タマシイ)へと、暗闇のこの地下室に響くように言葉を静かに(くち)にした。



「フフフ……。もとより、(ウソ)など突いていませんよ? 正直な私の想い……いや、願いです。信じて頂けたようですね?」



 暗闇の中──


 倒壊の兆しとなる震動音が響く地下室。


 青白く小さく揺らめく男の(タマシイ)から、震動音を超えて、尚も響くように伝わるその言葉──声。

 

 男の(タマシイ)は、続けて声のような音を暗闇の中に響かせて言う……。


 

「さあ! 私の願いは『約束』され、成就されました。(カエデ)くん、夢葉(ユメハ)さん、黒音(クロネ)さん! 私へと『霊力(チカラ)』を注いで下さい……。 私の『能力(チカラ)』で地下室から脱出致しますよ!」



 男の(タマシイ)言霊(ことだま)が、音になり……暗闇のこの地下室に木霊(こだま)する──


 

 俺が、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんに触れると、自然と二人の『霊力(チカラ)』が増幅されて行くように感じられた。


 『三位一体』の『憑依状態』の時にも感じられたコトだが──


 それは、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの『霊力(チカラ)』を増幅させる『能力(チカラ)』が、どうやら、俺には、あるらしいと言うコトだ。



 夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんが、小さく揺れる男の青白い(タマシイ)へと手をかざすと──


 俺の『能力(チカラ)』で増幅された夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの『霊力(チカラ)』が、男の(タマシイ)へと注がれた……。


 

 暗闇の中──


 青白く輝く男の(タマシイ)が、一際(ひときわ)大きくなり、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの「たゆんたゆん」な胸も、その光を反射するように、満月の如く光輝いた……。



「ワーハッハッハッ!! (わたくし)、復活っ!!」



 男は、そう叫んで、巨大な「吸血鬼(ヴァンパイア)」のような姿になったかと想うと……『霊力(チカラ)』を凝縮させたかのように、もとの「オジサン」の姿を超えて更に若々しくなり──


 

 ──『イケメン吸血鬼(ヴァンパイア)』へと姿を変えた。



「さあ! 皆さん! 倒壊の兆しも止まりました!! 後は、(わたくし)の『異空間転移能力』で、暗闇の地下室を脱出するだけっ!! 参りマスよっ!! いざっ! 地上の彼方(カナタ)へ!!」



 いや……。

 そんなに、参らなくて良い……。


 地上の彼方(カナタ)ではなく、この廃墟ホテルの入り口付近で良い……。

 市役所管財課の田中さんとも合流したいし、会長(じいさん)とも連絡が取りたい……。

 

 何よりも、早くこの若い女性二人を救急搬送しなくては、イケない。

 警察の取り調べも、あるだろう……。


 そう想いつつも。

 俺の心配を他所(ヨソ)に……。


 張り切る『イケメン吸血鬼(ヴァンパイア)』な、この男の想いを踏みにじるのも気が引けるので……()えて、ソコは、突っ込まないコトにする。


 夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの二人が、若干引き気味の作り笑いをしている。

 これを、苦笑いと言うのだろうか。


 それでも、「たゆん─」と揺れる二人のアノ部分を()て、ようやく、この度の『浄霊指令(ミッション)』が終わりを告げ、いつもの会長(じいさん)の居る寺へと生還出来るコトに、「ホッ」と俺は胸を()で下ろした……。


 新たな仲間──『イケメン吸血鬼(ヴァンパイア)』なアレな男が加わったが、この男の『名前』は何と言うのだろうか……?


 

 俺は、そう想いつつも……この『イケメン吸血鬼(ヴァンパイア)』な男が描き創り出した、巨大な『異空間魔方陣』に乗る。


 さしずめ、魔法の絨毯(じゅうたん)のような『異空間魔方陣』が、紫の中にピンクを含んだ妖しい光りを放ち、地下室の床から数センチほど浮かび上がっている……。


 もちろん、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんも、二人の若い女性たちも乗せて──


 

(さあ……。ようやく、脱出だ……)


 




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― 新着の感想 ―
[一言] ヴァンパイアさんが仲間になった!?(てってれ~)(;゜Д゜)
[良い点] とりあえず敵さんを仕留めることは完了しましたね◎ ただそのバンパイアが仲間(?)になったようですか( *´艸`) 今後またわちゃわちゃ感が増えそうですね☆彡
[良い点] お~、新たなナカーマ! しかも、イケメンヴァンパイアかぁ~✨ 良いですね~✨ 彼が加わることによりどうなってゆくのか。 そして、やっとこさの脱出ですね☆彡
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