表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
55/88

『決着』……!!

─楓視点─




 (タマシイ)の契約。


 黒音(クロネ)ちゃんや俺は、(ターゲット)に「名前」を呼ばれ、身体動作に制限(ロック)が掛けられていたが──


 『(タマシイ)の契約』だけは、(ターゲット)の行動制限の術式とは無関係に、俺と夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの三人を引き寄せた。



「ぐおおぉぉぉっ……!!」



 言葉を発した俺の中で何かが(はじ)ける。


 身体の奥底から、溢れ返るような『霊力(パワー)』が(みなぎ)るのを感じた。


 手のひらを広げてみると、白い光に包まれて……金色の「オーラ」とでも言うのだろうか、俺の身体の全体を(おお)っているのが分かる。


 「トランクス」さえも()けていなかった俺の身体が、「金色の炎」のような『闘衣(とうい)』に包まれ、『トランス状態』になり、あたかも服を着ているかのように、急所(アソコ)さえもが隠されていた。

 


 ──「パチン!」


 

 男が指先を鳴らす音がした……。


 もとの明るいパーティー会場のような景色に視界が開ける。


 男の足もとには巨大な「魔方陣」が描かれており、床や壁にも同じような「魔方陣」が無数に描かれていた。



「フフフ……。(パーティー)再演(アンコール)!! ここからが、本番というワケですね、(カエデ)くん? お互いに!!」



 巨大な吸血鬼(ヴァンパイア)のように変貌を遂げた男が、もう一度、俺の『名前』を告げた瞬間──


 俺の身体から黒音(クロネ)ちゃんの両腕が伸びて、小さな「弾丸」のような黒い(カタマリ)が、男の顔面に直撃(ヒット)した。



(バゴォォン……!!)



 男の顔面が、一瞬にして吹き飛んだ。


 跡形すら無い。


 男の首から上の切断面から、例の如く、白い煙が「シュウシュウ……」と、吹き上がっている。



「『殲滅(マグナム)魔弾丸(フォーティーフォー)』……」



 黒音(クロネ)ちゃんの言霊が、俺の身体の中で静かに響く……。


 どれほどの『魔力』なのだろう。

 黒音(クロネ)ちゃんが、いくら「オカルト好き」とは言え、そんな魔術があったのだろうか?


 「呪文」は「術」を発動させる時の「キッカケ」に過ぎず、「効果(イメージ)」を増幅させるモノだと……会長(じいさん)黒音(クロネ)ちゃんに言っていたが……。


 『無詠唱』──


 俺と夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんの三人が、ひとつになった今。

 普段の3倍……いや、3乗とも言えるほどの凄まじい『霊力(パワー)の増幅』が感じられた……。


 俺×夢葉(ユメハ)×黒音(クロネ)ちゃん……。


 消滅しない、黒音(クロネ)ちゃんの『呪いの力』。


 永遠に続く黒音(クロネ)ちゃんの戦闘態勢(ターン)


 そんな風に感じられた……。

 


(ボゴォ……ボゴォ……)


 

 男の首から上の切断面から、白い煙が吹き上がるのと同時に、泡のようなモノが噴き出ている……。

 

 尚も、復活するのだろうか?


 「ヨロヨロ」と、ヨロメキながら……「吸血鬼(ヴァンパイア)」のような男の巨躯が揺らめいたかと思うと──


 男の巨躯が、足もとに描かれた巨大な「魔方陣」に吸い込まれるようにして──消えた。



(ガン……!!)



 突然、俺の身体の真後ろから、吸血鬼(ヴァンパイア)のような男の巨躯が飛来し、俺は吹き飛ばされた。



(ダン……!!)



 通常なら突き抜けてしまうであろう壁が、巨大な『手』のように変形して、つかまれるようにして、俺の身体が、捕らわれる。


 壁にも描かれた複数の「魔方陣」……。


 男の『物体を取り込む能力』に翻弄(ほんろう)され、身動きが取れない。


 だが、黒音(クロネ)ちゃんや夢葉(ユメハ)の時のように、完全に吸収されているワケではない。


 泥沼から(はじ)かれ出るようにして、俺は抜け出る。

  

 と──


 男は自身の『異空間転移能力』を発動させて、床や壁に無数に描かれた「魔方陣」から神出鬼没の急襲を多角連鎖的に仕掛け、俺へと攻撃して来た。



「『無限絵画夢想(うしなわれたアトリエ)』……」

 


 男の呪いのような言葉が、地下室に響く……。

 

 

(ドガッ!! バキッ!! ドゴォン!!)



 男の無限とも想える、多角的連鎖攻撃。


 無数に描かれた「魔方陣」から現れては消え──巨大な戦車から飛び出した砲弾のような攻撃が、俺を襲う。


 

「うぅっ……!!」



 流石に、キツい。


 普通なら、一瞬で粉々に吹き飛ばされるほどの破壊力。


 無限とも想えるほどの男の攻撃に耐えながらも、一瞬、ヨロメキ……俺は脚に力を込めて踏ん張る。


 避けようにも、男の弾丸のような攻撃が、速過ぎて()えない。

 

 一発、一発が、重い……。


 首から上の頭が無いにもかかわらず、攻撃を続ける男。


 やはり、男だけでなく、世間一般の『(アレ)』な存在の姿は、ただの「イメージ」で──復元など、どうとでもなるのだろう。

 

 (タマシイ)が消滅しさえしなければ……。


 男が、首から上を復元させないのは、『霊力(パワー)の温存』のためと、俺に反撃の(チャンス)を与えないため。



「時間が、無いよ……」



 俺の身体の中で、夢葉(ユメハ)の声が、静かに響いた……。



「『時間制限(タイムリミット)』……?」



 俺は、身体の中で、夢葉(ユメハ)に聴き返した。


 『トランス状態』になった俺と夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんとの『三位一体』の『憑依状態』は、確かに強いが、『能力制限(ペナルティ)』として『時間制限(タイムリミット)』が、定められているようだ。


 確かに、いつまでも、身体が持たない。


 霊的な「体力」の指標である(ひっとぽいんと)も、かなり削られているのが、分かる。

  

 男の攻撃は、常に俺の「死角」から飛んで来る。

 つまりは、俺の視界の真後ろ。

 繰り返される攻撃の音調(リズム)……。


 縦横無尽に飛び交う男の弾丸のような攻撃に耐え、目を閉じながら反撃(カウンター)のタイミングを計る……。


 俺の(まぶた)の裏側に、紅い炎のような夢葉(ユメハ)の姿が、()える。

 

 そして、夢葉(ユメハ)を包み込むようにして、黒音(クロネ)ちゃんが黒い炎を(まと)っている……。


 俺は──


 ──その時、


 夢葉(ユメハ)の発した言葉に、秘められた「想い」が、揺らめく黒音(クロネ)ちゃんから、そのまま俺へと静かに届けられたのを聴いた。



「私を信じて……」


 

 そう(つぶや)いた夢葉(ユメハ)に、俺と黒音(クロネ)ちゃんが、「うん……」と、(うなず)く……。


 俺の心の中に差し出された夢葉(ユメハ)の手のひら──その上に、黒音(クロネ)ちゃんと俺も、手のひらを重ねた。


 全てを夢葉(ユメハ)に託して……。


 俺の全身を、夢葉(ユメハ)が包み込み──


 ──俺は、夢葉(ユメハ)そのものになった。



「『開眼』──」



 夢葉(ユメハ)になった俺は、そう(つぶや)き……目を見開いて、振り向き様に男に放つ──



「「「『雷轟(トベ)っ!! 烈火炎拳(ムゲンノカナタヘ)っ』!!」」」



 夢葉(ユメハ)になった俺の中で……。


 俺と夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんが、そう叫んだ瞬間──


 夢葉(ユメハ)の姿になった俺の身体から、金色の紅い炎のような無数の攻撃(パンチ)が、流星の如く噴き出し──カウンターを浴びた男の巨躯が、散り散りに吹き飛んだ。



 辺りは、再び、暗闇に覆われ──


 男の『(タマシイ)』と思われる炎が、青白く小さく灯り……頼りない灯火(ともしび)の影を、夢葉(ユメハ)になった俺の足もとに落としていた……。





 

 

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 魔方陣→数学用語 魔法円→魔法陣の正式名称 [一言] こ、このバトル!! 是非とも挿絵付きで読みたい( ´∀` ) 技名のセンスとかもう最高ですね( ´∀` )
[良い点] 吸血鬼、好きですっ! でも敵……!気を抜けないっ……! 戦闘シーンがとにかくカッコイイッ!! 三人がひとつになってわぁーーっと盛り上がってるのが読んでいて楽しいです♪ 呪文もめちゃくちゃ良…
2022/04/24 12:24 退会済み
管理
[良い点] おー、大迫力&壮大な戦いを繰り広げてますね。 まさか3人合体するとは!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ