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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
53/88

敵(ターゲット)……4。

─楓視点─




 俺は、裸の美女たちに囲まれている……。


 夢だ。これは、夢に違いない……。


 

 「夢」?



 俺は、「夢」という言葉に「何か」を想い出しそうになる。

 

 が、想い出せない……。



 何か、まるで「夢」をみるようにシて、裸の女の()たちに、泡まみれにされてゆく……。


 女の()たちの柔らかい肌とアノ部分が、俺の素肌を泡とともに滑らせて包み込み──俺は洗われてゆく。



(これは、現実なのか……?)


 

 まるで、「黒」い現実が「夢」のように洗い流され……「音」を立てて俺の記憶とともに消えてゆく……。

 

 そして、朝の光を浴びた新しい「葉」に瑞々(みずみず)しい(しずく)が、(したた)り落ちるようにして宿る……。

 

 生まれ落ちる新しい記憶……。

 

 

 それは──


 

 何かを想い出そうとしても、辻褄(ツジツマ)の合わないワケの分からない「言葉(ワード)」が、次々に浮かんで来ては、消えてゆく……。

 想い出せない……。


 ダメだ……。

 

 しかし、まるで、もう一人の俺が、「暗号」を解き明かせと、俺自身に言っているかのように……訴えかける。


 

 でも、今? なぜ……?


 「黒い音」……? 「夢の葉」……?


 「くろいど」……? 「ユメハ」……?

  


 裸の俺は、「夢」の中で「黒」い現実が「何?」なのか……今、想い出さないと、イケない気がしている……。


 

「『黒い現実』? 何だ? これは、『夢』か?」



 俺は、自分自身に問いかける。


 

「『本音』?『音』? 俺の『本音』は?」


 

(このままで、良いのかっ……!?)


 

 もう一人の俺が言う……。

 忘れている……何かを。


 

「『葉っぱ』って、何だ?」


 

「『()』っ?」


 

(想い出せない……)



(想い出せっ!!)



 俺は、ひとり(つぶや)くようにして、言い続ける……。



「『黒い音』……。『黒い井戸』の正体……?」


 

「『夢』の『葉っぱ』……。『夢』は、『叶う』……」

 


 俺は、「ハッ!」とした。


 想い出した……。




「『(かのう)夢葉(ユメハ)』っ!! 『黒井戸(くろいど)黒音(クロネ)』ちゃんっ!! 助けに、来たっ!!」


 

 

 俺は、忘れていた二人の『呼び名』を想い出した。

 俺の大事な人……。

 ひとりじゃない。二人。

 俺と三人。

 夢葉(ユメハ)……。黒音(クロネ)ちゃん……。

 

 俺は、大絶叫した。


 

「うおおぉぉぉっ……!!」


 

 すると──


 メイドさんである若い女の()たちに混じり、裸になりかけていた夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんが、呪縛から解き放たれたように「ハッ!」とした表情で、我に返った。

 

 夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃん……。

 

 想い出したのか、二人ともが、もとの秘書課主任秘書の正装(ミニスカスーツ)へと、素早く一瞬で「衣装変化(イメチェン)」している。



「良かった……」



 俺は、夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃん……二人の無事を確認し、もの凄く安心した。



 すると、「パチン!」と何かが(ハジ)けたような音がして、辺りが、突然暗闇で覆われた。


 その直前、若い女性が、二人。

 裸で倒れているのが、()えた。

 それと、何体かの「(タマシイ)」が、煙のように暗闇の中へ消えてゆくのが、()えた……。



「フフフ……。良いのかな? (カエデ)くん? 私の『術』に打ち勝つとは、流石だね? アレだけ多重に私との契約を結んだのにね? しかしながら、(カエデ)くん? 私は、もう、君の名を知っているんだよ? (カエデ)くん……」



 暗闇の中に、薄ボンヤリと灯る紅い光……。

 

 さっきまでいた『紳士風の男』が『紅い眼』を光らせ、俺の『名』を繰り返し(くち)にしながら、目の前に現れた──



(カエデ)……!!」



(カエデ)くん……!!」



 男の呪縛から解き放たれた夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃんが、そう叫んだが、もう遅い。


 俺は、再び、この『紳士風な男』の『紅い眼』を見てしまった……。

 アレな存在の『眼』を()てはイケない……。


 『瞳力(どうりょく)』により操られるからと、黒音(クロネ)ちゃんと会長(じいさん)からも、『浄霊指令(ミッション)』に来る前から俺は聴かされていた。


 そのためのピンクの『ゴーグル』。

 アレな存在の『瞳力(どうりょく)』を遮断(シャットダウン)するための装備品(グッズ)

 今、俺の手もとには、無い。

 間抜けにも、(ターゲット)の「術中」にハマり、『ゴーグル』を取られてしまっていたからだ。


 

 俺は、丸裸──


 

 いや、暗闇の中……紅く光るこの男の『眼』と、白く光り輝く『夢葉(ユメハ)』と『黒音(クロネ)』ちゃんの『オーラ』のおかげで──偶然、俺の右足に触れた「トランクス」を、操られながらも、まだ動かせる右手でナントカ拾い上げ、俺は力尽くで履こうとシていた……。

 

 俺の目が暗闇に慣れて来て、少しずつだが、目の前が()えるようになって来た。



「フフ……。まだ、動かせるのですね? (カエデ)くん? 流石だけど、それがもう限界かな? 流石に2度目は『術』の効き目が悪いよね?」



 俺の「パラメータ表示」の呪いに対する『抵抗力(れじすと)』が、上がって来ているのか、最初にこの男と出会った時よりも「術」に「ドハマり」していないように感じられる……。

 

 

「ぐっ……!!」



 しかしながら、俺の『名前』も口にされ、思うように身体が、動かせないのは、事実。


 と……。



(ドン……!!)



(カエデ)ー!!」



 夢葉(ユメハ)の叫び声とともに放たれた、凄まじい衝撃波。


 

「『超越真世界(トコシエニフレラレルモノ)』!!」



「ビリビリ」と、夢葉(ユメハ)の叫び声とともに放たれた衝撃波が駆け抜けて──


 空気を震動させて伝わった……夢葉(ユメハ)の『能力(チカラ)』。


 夢葉(ユメハ)の左腕から繰り出された一閃(ひとすじ)螺旋(コークスクリュー)烈拳(パンチ)が……隕石の如く、男の右顔面に直撃(クリティカルヒット)した。



「ぶふぅっ……!!」



 男は、上半身を180度近くネジらせるも、ヨロケながら耐え、尚も(うめ)き声をあげている。



 俺は、初めて見る夢葉(ユメハ)格闘(ファイティング)能力(センス)に目を見張る。


 

(驚いた……)



 『(アレ)』の中でも、群を抜くと言われたコノ世のモノに触れられる夢葉(ユメハ)の『物体干渉能力』……。


 『超越真世界(トコシエニフレラレルモノ)』。


 

 夢葉(ユメハ)が、そう叫んだ自身の『能力(チカラ)』……。


 よもや、これほどまでとは、俺も想定していなかった。


 

 夢葉(ユメハ)の凄まじい(ひだり)螺旋(コークスクリュー)烈拳(パンチ)が……メガトン級の隕石の如く、男の右顔面に直撃(クリティカルヒット)し、男の顔面から「シュウシュウ……」と、白い煙が、立ち昇る。



(浄霊されているのかっ……!?)



 俺が、そう想った瞬間に、間髪入れず、黒音(クロネ)ちゃんの『呪文』を囁くような声が、聴こえた。



「あまねく死者の(タマシイ)よ、我が黒き(しもべ)となりて()の者を捕らえよ。鋼鉄の黒蛇となりぬる汝に憎しみの()の者を(にえ)として与えよう……。『絶対拘束(シャドウスネーク)』っ!! 行けっ!!」

 


 黒音(クロネ)ちゃんが叫ぶと、さっきまで操られていた女の()たちの霊が、呼び戻され……「ぬるぬる」と巨大な黒蛇になって、男に巻きつき、蜷局(トグロ)を巻く。



「ぐあぁぁっ……!!」



 やはり、男の身体から白い煙が、立ち昇る。


 男は、苦悶している様子だが、黒音(クロネ)ちゃんの身体からも同じように、白い煙が、立ち昇る。



黒音(クロネ)っ……!! 大丈夫っ!? しっかりして!!」


 

 夢葉(ユメハ)が、黒音(クロネ)ちゃんに、駆け寄り、「グッタリ」とした黒音(クロネ)ちゃんを、抱きかかえる。


 

「ごめん……。夢葉(ユメハ)。『呪いの力』、『幻術(まぼろし)』じゃなくて、リアルに発動させちゃった……」



 黒音(クロネ)ちゃんが、初めて会長(じいさん)のお寺に来た時に使った『呪いの力』は『幻術(まぼろし)』で……。

 

 実際に現実世界(リアル)に具現化させて『呪いの力』を発動させるとなると、黒音(クロネ)ちゃん自身の身が滅びる。

 

 『呪いの力』については、使って欲しく無いと、黒音(クロネ)ちゃんに会長(じいさん)が言っていたのを、俺は想い出していた……。


 

「フフフ……。滅びるのですか、黒音(クロネ)さん? 貴方も私とともに……。しかしながら、私には、まだ『余力』が、ありますよ? 私に半分でも『名前』を告げられた貴方が消えるのは……時間の問題です」



黒音(クロネ)ー!!」

 


黒音(クロネ)ちゃん!!」



 俺と夢葉(ユメハ)が、叫んだ後から、男が、(うな)り声を上げながら、姿形を変えてゆく。



「うごおぉぉっ!! ぐがごおおぉぉっ!!」



 男の身体が振動し、「ガクガク」と変態を遂げ、さらに『紅い眼』を光らせた巨大な『吸血鬼(ヴァンパイア)』のような姿へと変容させていた。


 黒く大きな翼をはためかせ……男の口からは、白い煙が吐き出されていた──
















 



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― 新着の感想 ―
[一言] よぉやった楓くん!! だけど敵が想定以上に強いッッッッ!! 勝てるのかな!?
[良い点] 術に打ち勝つなんて楓くんのポテンシャルが高い! なかなか強い敵さんですね(。>﹏<。)
[良い点] お~✨ 改稿してさらに戦闘シーンに迫力出ましたね✨ てか、夢葉ちゃんつええ汗かっこよ☆彡 こういう戦闘時こそ、いちろさんのルビが活きますね。 『超越真世界(トコシエニフレラレルモノ)』 か…
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