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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
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潜入……。

─楓視点─

『立ち入り禁止』と書かれた鉄柵の扉を開けて、数歩。


 俺に夢葉(ユメハ)黒音(クロネ)ちゃん。それに市役所管財課の田中さんとともに、心霊廃墟ホテルの敷地内に潜入した……。



「アハ! 敵さん、下手(ヘタ)クソだねー。隠れるの。一見、気配が無いようにも感じられるけど、地下室があるのかな? そこからビンビン感じるよ? ね? 夢葉(ユメハ)?」



「そだね。黒音(クロネ)。けど、なんか敵さん? こっちに早く来いって、わざと(マイナス)のオーラを放出して、誘い込んでいるようにも想えるよ。威嚇してるようにも感じるから、霊感(センス)のある普通の人なら、こりゃ行けないよねー……」



 確かに、ドギツイ。


 早くも、地下室に潜伏していると悟られ、黒音(クロネ)ちゃんに「敵認定」されている今回のアレな存在(ターゲット)


 夢葉(ユメハ)の言うように、霊感(センス)のある人なら、これ以上は進めないだろう。

 

 俺は、着込んでいる鎖かたびらや装備品(グッズ)に、会長(じいさん)の祈りが込められているのか、結界のようなもので守られているのを感じる。

 

 確かに「ドギツイ」とは感じられるものの、防護服で身を守られているような感覚で、俺は、まだ進むコトが出来る。


 とは言え、「立ち入り禁止」の鉄柵の扉を開けて、敷地内に潜入したばかりだ。

 

 霊感(センス)は無いにしても、一般人である田中さんのコトが急に気がかりになり、心配になる。



「あ、田中さん? ここからは、僕たちだけで大丈夫ですから、田中さんは車に戻って避難しておいてください」



「え? ひ、避難?」



「えぇ……。どうも建物の中の様子が、あまりよろしく無いのです。なので、さっき渡しました僕の名刺(カード)を肌身離さず持っていてください」



「わ、分かりました……」



 そそくさと、公用車へと戻る田中さん。


 これで、少しは安心して調査を始められる。


 さっき、心霊廃墟ホテルに潜入する前に、ハンズフリーにしておいた俺のスマホを勝手に会長(じいさん)が切ってしまったので、もう一度、会長(じいさん)と通話出来るように、電話をかけ直す。



「会長っ……!!」



「やぁ、スマンの! (カエデ)くん! つい、ノリと勢いで、電話を切ってしまったわいっ! こっちからは、(カエデ)くんのゴーグルを通じて、巨大画面(オンライン)()えておるよー!!」



 何とも明るい。

 会長(じいさん)……。

 御年(おんとし)、いくつだ?

 流石は、夢葉(ユメハ)のお爺ちゃんと言ったところか……。



 心霊廃墟ホテルとは言え、もとはラブホテルで、洋館のような造りになっている。

 

 「ギギギ……」と、開きにくい扉を開けると、中から冷たい空気が漏れ出て来る。


 入り口に入ると、ガラクタや物に混じって枯れ葉や木の枝が床に散乱している。

 日が、ほぼ沈みかけており、建物の中は、ほとんど真っ暗。


 アレな存在(ターゲット)もそうだが、普通に怪我しても危ないので、俺はピンクのヘルメットに付いているヘッドライトを点灯させる。


 かなり明るい……。


 約10分ほどかけて足もとに注意して歩き、各部屋から廊下と階段を()て回ったが、どの場所にも特徴的な不気味な絵画が飾られており、なぜか、それだけは床に落ちていない。


 これだけ物が倒れたり、散乱しているのに。


 どれも、苦悶の表情を浮かべる若い女性をモチーフにした絵で、なんとも気味が悪い。


 それと、落書きだ。


 普通、こういう場所では、スプレーで文字や変な絵が書かれているコトが多いが、何かの幾何学的な模様なのだろうか?


 不気味さと、おぞましさしか、伝わって来ない。


 直感的に、触れてはイケないと、すぐに感じる。



「あー。これは、敵さんの『(まじな)い』だねー。あえて、触れてみる? わざわざ敵さんの居る地下室に行くのも、面倒だし。転移系の『(まじな)い』だね? 触ってみよっかなー?」



 黒音(クロネ)ちゃんが、そう言うと、夢葉(ユメハ)が反対した。



「やめときなよ! 黒音(クロネ)! どこ飛ばされるか分かんないし! 帰って来れなくなるよ!」



 夢葉(ユメハ)が、そう言うと──



 『(まじな)い』と想われる壁に描かれた何かの幾何学的模様の中から、「真っ黒い腕」のようなものがのびて、つかまれた黒音(クロネ)ちゃんが、一瞬の内に、壁の中に吸い込まれ消えて行った。



黒音(クロネ)っ!!」



黒音(クロネ)ちゃんっ!?」



 俺と夢葉(ユメハ)の叫び声の後には、得体の知れない暗闇が広がり、吹き込んで来た隙間風に床に散乱した物が「カタカタ」と音を立てているだけだった──












 

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― 新着の感想 ―
[一言] 黒音ちゃーーーーん!?!?(;゜Д゜) 転移トラップ……果たしてどこに飛ばされたんや(;゜Д゜)
[良い点] 廃墟……好きですが中に入るのは昼間でも怖いですよね((((;゜Д゜))))))) ああっ、黒音ちゃんがっ……! 楓くん、頑張れっ!!
2022/04/17 10:18 退会済み
管理
[良い点] 廃墟ラブホテルは怖いですね(・_・;) 楓くんが頑張っていて応援したくなります◎ 転移呪文とは相手が強そう!
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