オンラインゲーム……。
☆黒音視点になります。
「おぉ! 俺たちが、画面に! 凄いですね! 会長!!」
「お爺ちゃん、いつの間にこんなの作ったの? 私も見るのは初めてだけど……」
常世道先案内相談員として、スーツとネクタイに着替えた楓くんが、眠たい目を擦りながらも目を白黒させて驚いている。
それに夢葉も、秘書課主任秘書として正装に着替えてて、同じく初めて見る巨大画面に驚いている。
それは、そうだ。
お寺の本堂に設置された巨大画面に、CGとは言え、私たち三人にそっくりな人物が映し出されている。
かなり、リアルだ。
けど、若干、楓くんに補正が効いてて、かなりの美青年に仕上がっている。
これには、ウケる。
吹き出しそうになり、笑いが込み上げて来る。
笑っては、イケない……。
それにしても……。
私と夢葉のCGキャラが、画面の中で、あまりにもアノ部分を「たゆんたゆん」させているではないか──
まあ、間違いではないし、クオリティの高い美しい忠実な再現とも言える。
画面の中の私と夢葉が人形のように、ゆっくりと「たゆんたゆん」回転させられながら、それぞれの『レベル』や『ステータス』『パラメータ』なんかが、画面に表示されている。
ちょっと、私と夢葉のこの数値は、どうなの?
楓くんは──
(ひっとぽいんと)
0になると、アレになったり戦闘不能になるヤツだ。
アレな私と夢葉が0になると、どうなるんだろ?
楓くんが、3。
私が、19。
夢葉が、22。
あー。やっぱり、夢葉は高い。
けど、楓くん……。
1ダメージでも喰らうと、瀕死じゃん!
ヤバいな……。
それだけ、アレな存在の霊的な攻撃は、ヤバいってコトか……。
(まじっくぽいんと)
魔力ならぬ『霊力』のコトだね。
いわゆる霊的な『術式』を使用する時の『持久力』みたいなモノかな。
オカルト的な呪術や夢葉のお爺ちゃんの結界とかで使うヤツ。
アレな私たちが、それぞれ秘めている固有の能力系統を発動させる時にも使われるんだろね。
楓くん……、2?
私、99。
夢葉、45。
アハ! 私ってば、夢葉の倍以上あるー! 流石、私!
レベル『1』にして、チート過ぎない?
それにしても、楓くん……。
霊力が、2?
もともと、霊感が、0とか言ってたけど、本当だったんだ……。
ちょっと、悲しい……。
(すとれんぐす)
力かー。
無いな。私。
アレな存在に、霊的な物理攻撃を与えるってヤツ?
霊的なのに、物理って、どゆコト?
楓くん、1。
私、33。
夢葉、100。
か、楓くん……。1……。1って。
撫でる程度。
ほとんど、無力……。
でも、普通なら、ここは、0ポイントになるんだろう。
だって、通常は、いくら霊感が高くても、アレな私たちに生きてる人が触れられるなんてコトは、絶対あり得ないから。
でも、夢葉の家族の霊力の高さは、特殊。
夢葉のお母さんに弟くん、それに妹は、アレな私たちに触れることさえ出来る。
けど、それは、最近『霊力』に目覚めた楓くんにも出来ること。
1……だけど。
あと、夢葉の100は流石だ。
私の三倍以上は、ある。
もともと、この世のモノにさえ5秒間は触れられるアレな夢葉の潜在能力の脅威。
ホテルのラウンジで、夢葉が私の目の前でグラスを爆発させた力と、何か関係あるのかな?
(あたっく)
いわゆる攻撃力ってヤツ?
武器、持ってないから、だいたい(すとれんぐす)の数値と同じ?
楓くん、101。
私、132。
夢葉、145。
あー! 負けた! 夢葉に負けた!
この計算方式は、単純に(すとれんぐす)と(まじっくぽいんと)を足したもの?
うん。やっぱり、そうだ。
『霊力』に『霊的物理力』が加わって、『攻撃力』。
楓くんは……?
100ポイント上乗せ?
あー、そうか。
魂を喰らう『幽霊名刺』を持ってるから、そのせいだね。
他には……。
んー……。
細かくて、目がチカチカする……。
どうも私と、こういう電磁波系の機械とは、たぶん相性が悪い。
エネルギーを消費するというか……。
疲れる。
たぶん、夢葉も同じだ。
けど、こういう電磁波系の機械と相性の良いアレな存在もいて、自由自在に出たり入ったりしてるヤツもいる。
ま、気になったら、その時に見れば良いよね?
と言うより、総合的に見て、私より夢葉の方が数値が若干高い。
生命力? 防御力、素早さは夢葉の方が、ちょい上。
アレなのに『生命力』?って、どういうコトだろ?
浄化? 浄霊されにくいってコトなのかな?
だけど、相変わらずの楓くんは『生命力』も一桁と、実に弱々しい……。
これから先が、思いやられる。
大丈夫だろうか? 楓くん……。
それから……。
知力と、呪いに対する抵抗力は、夢葉よりも私の方が断然、上。数値も高い。当然ね。
楓くんの知力は、私と夢葉のちょうど真ん中くらい。
けど、呪いに対する抵抗力は……。
0。皆無。
んー……。
何かにつけて『浄霊指令』の時は、楓くんを夢葉と私とで守ってアゲなきゃイケないカンジだねー。
ガンバレ! 楓くん!
あと、運……。
(らっく)と呼ばれる『運』に関する数値は、私より夢葉の方がやっぱり少しだけ高い。
けど、楓くんだけ私たちより、異様に桁違いに高い。
楓くん……。
勇者アルアル?
いや、現実的に、楓くんは霊的な『運』が強いのだろう……。
そして、画面の一番下の最後の項目を見ると──
(れべる『2』)と、表示されている。
私に夢葉、楓くんもだ。
楓くんは、レベルが上がっても、アレか……。
楓くんのパラメータ表示は、『運』を除いて、ほとんどの基礎的な数値が、一桁台だ。
南無阿弥陀仏……。
夢葉のお爺ちゃんじゃないけど、つい、アレな私でさえ、楓くんの無事を祈ってしまう。
(ピロピロリーン……)
その時、何かのお知らせ音のような、よくあるアノ音がして、会長である夢葉のお爺ちゃんが、何かを言おうとした。
一瞬、振り向いた私と夢葉のアノ部分が「たゆん──」と揺れて、
何か新しいコトが、春の目覚めのように始まる予感がシた──
☆七海 糸様☆ 作 黒音『FA』2─ありがとうございます!!─m(_ _)m




