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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
42/88

黒音(クロネ)と会長……。

黒音(クロネ)視点です──




 夢葉(ユメハ)(カエデ)くんも、まだ寝起きでグズグズしてるし……。

 私は暇だから、いつものようにお寺の中を散策する。


 このお寺の中は、動物王国かと言わんばかりに、犬も猫もまるで人間のように闊歩(かっぽ)している。

 

 とは言え、もちろんのアレな存在で、四足歩行なワケだが──


 朝から(なつ)かれて困る……。



「あー。よしよし。良い子良い子。そうかそうかー。よしよし」



 こんな具合に、何匹ものアレな犬猫たちが私に「よしよしシてくれ」と言わんばかりに、頭や腹を見せては「ゴロゴロ」「スリスリ」私に(なつ)いて来る。


 ひと通り()で終えると、今度はアレなインコやらオウム、フクロウまでもが「バタバタ」と私に近寄り、私の頭やら肩に乗っかって来る。


 ひとしきり、アレな鳥たちが私への朝の挨拶をすませると、また「バタバタ」と何処かへと飛び立ってゆく。


 普通は、動物たちの糞尿が撒き散らされて困るかと想うが、この子たちも私や夢葉(ユメハ)と同じ「アレ」な存在。

 たぶん、長い間、このお寺に居憑いているのだろう。


 可愛すぎて何の違和感もなく、(マイナス)のオーラも発していない。

 アレなこの子たちの無邪気な可愛さに、朝から私は癒されまくっていた。

 

 時折、アレな鹿や猪までもがお寺の中を歩いてて、急に壁とかをすり抜けて「出て」来るから、びっくりするけど。

 まだ野性が残っているのか、逃げはしないが、私と目があっても近づいて来ない。

 

 たぶん、この子たちは、まだアレになってから日が浅いのだろう……。

 


 

 動物たち──


 お寺の廊下に落ちたこの子たちの毛や羽が消えてゆく。




「く、黒音(クロネ)お姉ちゃん……。おはよ……」



 朝から私の胸の谷間をジロジロ見ながら夢葉(ユメハ)の弟が、すれ違い様に小さな声で私に挨拶して来る。



「おはよー。弟くん。14才の君にはまだ早いかな?」



 私が意味深な言葉を残して夢葉(ユメハ)の弟に挨拶すると、顔を真っ赤にして固くなり、足早に玄関の方へと向かっていった。


 いつもの黒ホットパンツに大きく胸の開いたVネックのセーターは、年頃の男の子には、目の毒だったかな?


 私は、タイトな黒ジーンズと胸もとまでしっかりボタンの()まった黒のカッターシャツに、イメチェンしてその場で着替えた。


 着替えと言っても、イメージ化するだけで、アレな私がいちいち裸になるコトはない。


 アレな私の()え方が、霊的に変わったというだけの話。

 霊感(センス)のある者が()たならば。


 そう言う意味では、小学六年生の夢葉(ユメハ)の妹にもアレな私のコトが()えているようだ。


 

黒音(クロネ)お姉ちゃん! おはよー!」



 朝から夢葉(ユメハ)の妹に、さっきいたアレな動物たちのように(なつ)かれて困る。

 私の胸に朝から飛び込んで来て、顔を「スリスリ」させて抱きついて来たからだ。


 私に触れられるとは、霊力が高い。

 

 血筋なのか、この()夢葉(ユメハ)夢葉(ユメハ)のお母さんに似て、発育が良い。

 まだ小学六年生なのに。


 この()の胸が私のお腹に当たって、なんかキュンとする……。



「お、おはよ? 朝からビックリしたよ?」



黒音(クロネ)お姉ちゃん。だーい好き!」



 朝から過激な言葉を残して、夢葉(ユメハ)の弟くんと同じく足早に玄関に向かう夢葉(ユメハ)の妹。

 大胆な言葉を残した割には、顔や耳もとを赤くして、照れているようにもみえた。


 私は、変な気を起こさせないように努めてはいるが、どうも夢葉(ユメハ)の妹は、まんざらでもない様子で、イケない感じがする。


 でも、まぁ、それは、それ。


 私は、楽しむコトにする。



 そう想いながら、夢葉(ユメハ)の弟くんと妹よりも、少し遅い朝ご飯前の時間に、私はお寺の本堂を横目に見ながら通り過ぎる。


 何やら、会長と(おぼ)しき夢葉(ユメハ)のお爺ちゃんが、お寺の本堂に何インチもある巨大テレビ画面を設置して、朝からオンラインゲームを繰り広げている。



「おはよー。夢葉(ユメハ)のお爺ちゃん。何シてんの?」



「おぉ! 黒音(クロネ)ちゃん! おはようさん! 朝のお勤めが今しがた終わったとこでの。ちぃとばかし、昔の仲間たちと連絡を取りおうておったのじゃよ」


 

 何インチもの巨大なテレビ画面。

 朝から繰り広げられているオンラインゲーム──


 謎は、深まるばかりだ。



「会長? これって、いわゆるロールプレイングゲームってヤツ? 夢葉(ユメハ)のお爺ちゃんって、そんなにオンラインゲーム好きなの?」



「ムフフ。そうじゃ! これは、ワシととある海外の霊能者仲間たちとベンチャーIT企業とで、独自(オリジナル)開発した試作品(プロトタイプ)での? まだ、何処にも市販(ソフト)化されておらん。特定の霊力を持つ者だけが扱えるシロモノじゃ!」



 「シロモノじゃ!」って……。

 ますます、私の興味が()く。



「ふーん。そうなんだ? で、どうやって『レベル』上げるの?」



「ソレなんじゃが、なかなかに()っておっての? キャラクター設定する時に、実際に実在する人物と手動選択(ミッションモード)で霊的に接続することが可能じゃ。特定の(キャラクター)を選択することで、より異世界(ゲーム)を楽しむコトが出来る」



 「何のコトか?」とも想うが、どうも会長の言ってた『浄霊指令(ミッション)』とナニカ関係が、ありそうな気がする。



「での? 異世界(ゲーム)とは言っても、どこまでも『限りなく』現実(リアル)(つな)がっておる。現実世界そのモノじゃ。いわば、この世は異世界(ゲーム)そのモノみないな場所じゃ」



 耳を疑う。


 どうも、会長の言ってることは、かなりの重要機密秘匿事項な気がする。

 会長の言ってることから推測すると、どうやら『浄霊指令(ミッション)』と『レベル』に関する大まかな流れが、()えて来る。



「つまりは、じゃな。異世界(ゲーム)と、この世は『限りなく』繋がっておっての? 君たち黒音(クロネ)ちゃんは、ワシに選ばれし『冒険者(キャラ)』。レベル『1』じゃったのは、まだ『浄霊指令(ミッション)』や『依頼(クエスト)』をこなしておらなんだからじゃ!」



 予想どおり。

 会長の話は、私の想定内。

 

 「特定の(キャラクター)を選択」というコトから、(カエデ)くんやアレな私と夢葉(ユメハ)でも、操作可能な『冒険者(キャラ)』になれる。

 

 とは言え、私たちの思考や行動まで操られはしないだろう。

 結果論的に考えてもそうだけど、魂って、そういうモノだから。

 それに魂を操れるのなら、この世をさっさと浄化して、アレな存在をもっと楽に成仏させることが出来るはずだからだ。


 

 現実世界(リアル)(カエデ)くんと夢葉(ユメハ)と私が『冒険者(プレイヤー)』になって、会長のオンラインゲームと霊的に接続される。

 『限りなく』という言葉が『キーワード』で、異世界(ゲーム)の中には、現実世界(リアル)には無い『何か』が、あるのだろう。



(なんか、面白いコトになって来た……)


 

 私の胸が「たゆん」と揺れる。


 

「おはよー……」



「おはよう……ございます」



 眠たそうに目を(こす)りながら、夢葉(ユメハ)(カエデ)くんの二人が、

 

 会長のオンラインゲームと巨大テレビ画面が接続されたお寺の本堂に入って来た──




挿絵(By みてみん)



☆七海 糸様☆ 作 黒音『FA』─ありがとうございます!!─m(_ _)m











 

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― 新着の感想 ―
[一言] しゅげーお家なのです(;'∀') でもってゲーム……神の記述っていうカードゲームみたいなものかにゃ?( ´∀` )
[良い点] 黒音ちゃん視点いいですね♡ アレな動物さん達との触れ合い(*´Д`*) もふもふ癒される……。 急に出てきたらびっくりですがΣ(・□・;) オンラインで霊的に接続されるとはすごいアイデア!…
2022/04/01 11:23 退会済み
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