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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
38/88

魂(タマシイ)の契約……。




 黒音(クロネ)と私。


 ひとつになった私たちは、お寺の縁側に射し込む満月の光を見上げた。


 

 その光に(いざな)われるようにして──


 

 薄ボンヤリとした満月の明かりのもとで眠る(カエデ)へと近づく。

 

 たぶん、見た目は黒音(クロネ)だけど、意識はハッキリしている私。

 ひとつになった私と黒音(クロネ)だけど、さっきから黒音(クロネ)の声が聴こえない。



黒音(クロネ)? 黒音(クロネ)……?」



(何? 夢葉(ユメハ)……?)



 私が小声で、試しに黒音(クロネ)に呼びかけてみると、私の頭の中で黒音(クロネ)の声が静かに響く。


 

「良かった……。黒音(クロネ)。で、どうすれば良いの?」



 どうすれば良いのかなんて、なんとなく察しがつくけれど……。

 黒音(クロネ)と、ひとつになっているワケだし、なんとなく恥ずかしさもあって聴いてみた。



(……そりゃあ、寝てる(カエデ)くんに口吻(キス)だよ。早くしないと、(カエデ)くん起きちゃうかもよ?)



 平然と言ってのける黒音(クロネ)

 

 キス……。キス……。(カエデ)にキス……。

 あぁ! 


 

 黒音(クロネ)に見られていると想うと、(カエデ)口吻(キス)なんて出来ない。


 早くしないと、(カエデ)が起きちゃうかも知れないのに。


 

(あー。もう……。見てらんないよ。分かった。ほら、目を閉じてるからさ、その間に夢葉(ユメハ)? (カエデ)くんと口吻(キス)して……?)


 

 いやいやいや。

 私と黒音(クロネ)は、今ひとつになってるワケだし。

 「目を閉じてる」って言っても、私が目を開けてたら黒音(クロネ)にも見えてるワケじゃん!


 

 とは言え──


 

 せっかく、黒音(クロネ)が私のために協力してくれているワケだし。

 恥ずかしがって、(カエデ)(タマシイ)の契約を結ぶチャンスを逃したら黒音(クロネ)にも悪いし……。


 「目を閉じてる」とは言っても、黒音(クロネ)に憑依している私に感じられるコトは、黒音(クロネ)にだって感じられるモノだと想うから……。

 


 意を決して──



 黒音(クロネ)になった私は……。

 

 月明かりに「スヤスヤ」と寝息を立てて眠る(カエデ)へと近づく。


 黒音(クロネ)に憑依したアレな私だから物音はしない。


 近ごろ、霊感(センス)に目覚めて来た(カエデ)に感づかれなければ良いのだけど……。


 祈るような気持ちで、私は(カエデ)の枕元に立つ。


 定番のアレなシチュエーション。

 


 けど……。

 

 私は眠っている(カエデ)の顔を見つめる。


 満月の(ほの)暗い明かりが、薄ボンヤリと光る(カエデ)口唇(くちびる)を照らす。


 

 「たゆん」──



 私と黒音(クロネ)のアノ部分が揺れる。


 いつにも増して感じる。


 心臓なんて無いはずなのにドキドキする。

 

 私は、(カエデ)口唇(くちびる)へと、自分と黒音(クロネ)口唇(くちびる)を近づけて……寄せた。

















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― 新着の感想 ―
[一言] >私が目を開けてたら黒音にも見えてるワケじゃん! いや目ぇ瞑っててもキスできるでしょ(;'∀') そしてそして……目ぇ覚ますなよぉ(;'∀')
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