初夜……。
それにしても俺は、疲れているんだろうか?
アレなはずの彼女だが、シてくれると言う自然な流れになった。
この際、もうどうでも良いとさえ思う。
稼ぎの少ない今の仕事じゃ、人肌のぬくもりにさえ、ありつけない。
かと言って、他の仕事を探すにしても、身につけなければならないスキルも時間も体力も……それこそお金が足りない。
そして、なによりも気力が無い。
一番悲しいのは女関係で、これまでほとんど縁が無かったことだ。
明日も、仕事?
どうでも良い。
どうでも良い日常が堂々めぐりして、どうとでもなる職場は俺不在でも、どうにでもなる。
アレなはずの彼女との遭遇で普通なら恐怖して、運も悪けりゃ人生さえも奪われ兼ねない。
アレって、そういうもんだろ?
まあ、俺の人生は終わったようなものだから、大して気にはしていない。
抱かれてイケるなら、願ったり叶ったりの本望だ。
一番、幸せなんじゃないのか?
そんな風に。
なぜか、想うと……。
なんだろう……? 涙?
いったい、いつぶりに泣いたのだろう。
頬に流れ落ちる自分のナミダの熱さを感じる。
シてくれる……?
ふふっ。ありがたい。ありがたくて泣けてくる。
さっきまで、恐怖よりも胸踊らせていた気持ちは、いつの間にか萎えてしまっていた。
布団に潜り込んだ俺は走馬燈のように、これまでの人生を想い出し、頬を濡らしながら壁の方へとゴロリと横へ向いた。
いい歳して泣いた。
「泣いているの……?」
「ん? あぁ、ご、ごめん。ちょっとだけ……」
いつの間にか、布団に入って来てたアレなはずの彼女。
アレなはずの彼女の手が俺の頬を撫でる。
いつぶりだろうと想う、あたたかな感触。
けれども、やはりというべきか、その感触は何処か頼り無い。
──明滅するかのように、点いては消えてを繰り返す。
まるで朧気な蛍の光のように──
「ありがとう。君のおかげで、なんだか気持ちが落ち着いた。良い夢が見れそうだよ」
「そう? それなら良かったわ。私は、少し物足りないけど?」
アレなはずの彼女が、そう言うと。
俺の背中に、あたたかくて柔らかい二つの感触が、押し迫るようにピタリとくっつけられた。
俺は一瞬、ピクリと震えた。
服を脱いでおけば良かったとさえ思ったのも、束の間。
俺のトランクスの中のモノを持ち上げるようにして握られる感触。
「えっ!? ちょ、な、なに……? シてるの?」
「ウフフ……。実は私も初めてなの。貴方なら触れても許してくれそうだったから、つい……。イマイチかもだけど……こんな感じ?」
「う、上手い……。じょうず……だよ」
フワリと、あたたかく……握りしめられるアレなはずの彼女の手。
けれど、やっぱり何処か頼り無く、フワフワと包み込まれるような温もりが、消えては灯り……握られる。
直に感じるアレなはずの彼女の手の温もりが、俺の一番デリケートな部分に優しく柔らかく触れては、消える……。
しかし、いったい、何処までイクのだろう……?
まるで、この世の天国へと導かれるように、まだ、たいしたことは、されていないはずなのに。
とても、気持ちが良い……。
この世のモノとは想えないアレなはずの彼女の刺激。
俺自身と繋がっている身体のもう一部が、張り裂けそうなほど震えて脈打つ。
「ふぅ……。疲れたわ。」
「え……?」
七海糸さんが、描いてくださいました! 本作ヒロインのFAです!!
七海糸さん!! 本当に、ありがとうございますっっっっっ!!!!!!!!(*´▽`*)(っ´ω`c)(∩´∀`∩)♡♪☆彡




