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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
24/88

とまどい……。




「たっだいまー!!」



 気合い一発。

 私は、(カエデ)の手を握って、実家の玄関の引き戸を勢い良く開けて叫んだ。



「「「 お帰りー!! 」」」



 待ち受けていたのは、一体何人いるんだ? という私の家族総出のお出迎え。

 その中には、(かのう)総理事長こと、私のお父さんも、ちゃっかりいる。

 家族総出で、泣いている。

 これだから、イヤなんだ。


 そう。


 私の家族は、全員アレが『()える』。


 霊験あらたかな家系に加え、それぞれが第六感(シックスセンス)を生まれながらに兼ね備えている強者ぞろい。

 お父さんは、このお寺の長男。

 お母さんは、とある神社の巫女にして長女。

 私には弟と妹がいるが、それ故アレに対して『()える』『聴こえる』『感じる』『触れられる』に、まさに特化したサラブレッド。アレの申し子のようなものだ。


 お婆ちゃんは、霊媒師(イタコ)で占い師。

 お爺ちゃんは、『(かのう)グループ』の会長にして、現役住職。


 さらに、(わんこ)(にゃんこ)がたくさんいて、鳥に至ってはオウムやフクロウ、(タカ)なんかも家の中を飛び回っている。


 さらにさらに、爬虫類は、亀、蛇、トカゲ。

 庭池では、天然記念物のカエルやら、オオサンショウウオまでいて、錦鯉(ニシキゴイ)はもちろん回遊している。

 今どき竹で出来た『コケオドシ』なるものが、「カコォン!」と時折、風流に鳴り響く。


 そんな家だ。


 これには、流石の黒音(クロネ)も驚いている。



「な、何これ!?」



 黒音(クロネ)がアレであるにも関わらず「ワンワン!」「ニャアニャア」と、大量の(わんこ)たち(にゃんこ)たちが、黒音(クロネ)()り寄っている。

 もちろん、私と(カエデ)もその中にいて、(カエデ)は私の手を震えながら握りしめている。


 あれ?

 (カエデ)って、アレな私の手に触れられたっけ?


 

 そんな私のお寺は(わんこ)まみれ(にゃんこ)まみれの動物まみれ。

 

 山奥の、こんな場所に一軒家? というほどのド田舎で辺鄙(へんぴ)なところだから、ご近所さんはおらず、迷惑はかからない。

 

 (カエデ)の車は山の(ふもと)に置いて、社用車となる四駆の軽トラに乗り換えて、山の凸凹(デコボコ)道を登ること1時間。


 そうこうして、ようやく辿り着いた私の実家だった。


 そして、今、玄関を開けてすぐ目の前の土間の上がりカマチには、家族たちが全員総出で、私、(カエデ)黒音(クロネ)を出迎えている。


 


「うぅっ。今まで何処行ってたの? 夢葉(ユメハ)? あら? そちらは、お友達に婚約者(フィアンセ)?」



 お母さんが言う。



「父さんだって、心配したんだぞ! 夢葉(ユメハ)! そちらは夢葉(ユメハ)のお友達と社員の川岸(かわぎし)くんだな?」



 お父さんが言う。



「姉ちゃん、胸、おっきくなってない? あ、そっちのお姉ちゃんも胸おっきいね? こんにちはっ!」



 エロ(おと)が言う。



「お姉ちゃん、ふあふあたゆんたゆんシて!」



 妹が抱きつく。


 

 お婆ちゃんが「ヒョヒョヒョ」と笑い、お爺ちゃんが溜め息をついて言う。



「まったくの。何処に行ったか心配したぞい? 夢葉(ユメハ)。アレになってもワシの可愛い孫。成仏せんでおくれよ? しかしながら今朝方(けさがた)、ワシの親父(オヤジ)、つまり夢葉(ユメハ)曾祖父(ひいじい)ちゃんからワシに連絡があっての?」



曾祖父(ひいおじい)ちゃん?」



「そうじゃ。夢葉(ユメハ)曾祖父(ひいじい)ちゃん。ご先祖様にして夢葉(ユメハ)の守護霊さまじゃ!」



 驚いた。



「もしかして……」



「そう。まさかの、もしかしてじゃ。夢葉(ユメハ)。ほれ? 公園で会ったじゃろ? いろいろとアレにまつわるノウハウを伝授してやったとか、指南してやったとか言っておったぞい?」



「そ、そうなんだ……」



「なんでも『夢葉(ユメハ)が結婚相手を連れて来るから、早急に寺に呼べ!』そう言っておったぞい!」



「アハハ……」



 私は、笑うしか無かった。

 ずっと、誰だか分からなかったけど「お爺ちゃん」って私が呼んでいたのは、私の「曾祖父(ひいおじい)ちゃん」だった。

 

 道理で、見たことないはずだ。

 私が生まれる前にナントカって聴いてたから……。



「え!? け、結婚相手っ!? (カエデ)くんが!? 夢葉(ユメハ)の!?」



 そう言って、驚きを隠せないのは、黒音(クロネ)だ。


 (カエデ)は、絶句して金縛りにあったように、身動きが取れない。

 

 私の胸が、どうして良いか分からず、小刻みに「たゆたゆ」震えている。














 

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― 新着の感想 ―
[一言] えー!? ひいおじいさまだったの!?(゜Д゜;) にしても幽霊のそのまた守護霊ってどんなんやねん(゜Д゜;) にしてもスーパーファミリーですね!! ペットたちのほとんども幽霊が視えているみ…
[良い点] 実家がまさかのハイブリッド過ぎてもう(*≧∀≦*) アレな家族の皆さま勢揃いですごいっ! エロな弟くんが何気にいいですね(o´艸`) これには楓くんも黒音ちゃんもびっくりですよね……! そ…
2022/03/15 23:55 退会済み
管理
[良い点] 個性豊かな叶家ですね◎ そしてあのお爺ちゃんは曾祖父ちゃんだったんでねすね(*^^*) いろいろ繋がりますね!
感想一覧
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