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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
序章 始まり……。『ウィズ ファントム ハート』
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黒音(クロネ)の独り言……。




 さっき言ったのは、全部ウソだ。

 とは、言わない。


 正直、私も生きてたらって、想う。

 

 本気で、夢葉(ユメハ)と喧嘩したかも知れない。

 (カエデ)くんにも、問い詰めたかも知れない。


 けど、私の今の状況は、かなり特殊(レア)で……。


 

 私が、車の窓の外を眺めていると、(カエデ)くんが、再び車を走らせる。


 私は、幸せなんだろう。


 雨降りでも。


 好きな人の車に乗る。


 私には、純愛(プラトニックラヴ)なんて無かったけど。


 ルームミラーを(のぞ)けば、夢葉(ユメハ)も嬉しそうな表情(カオ)をしてる。


 なんでも無い時間。何気ない時間。


 ずっと、アレになってから、いや、生きてた時でさえ感じたことの無かった自分の気持ちに、正直、戸惑う。

 そう。

 嬉しい。嬉しいんだ。


 確かに、私は、後部座席だ。

 (カエデ)くんの隣の助手席には、夢葉(ユメハ)がいる。

 

 でも、それで良いじゃないかと想う。


 別に、二人の幸せを願うほど、私は謙虚でも慎ましくもない。


 あわよくば、とも想うし。夢葉(ユメハ)の代わりでも、とも想う。


 一番じゃなくても良い。

 固執することは、余計に私を苦しめる。

 そんなことは、生きてる時もアレになってからも散々知った。


 長い時間の中で暇そうにブラブラ過ごしていれば、私にだって、(カエデ)くんとの出会いが、どれほど貴重なチャンスなのかってことくらいは、よく分かる。


 てんで、良いとこも悪いとこも、さほど特徴も何も目立たない(カエデ)くん。

 けど、なんか彼に惹かれる。

 

 持ってるんだろーなー……。


 って、想う。

 けど、運命って言うモノがあるのなら、アレな私には、生きてた時よりも遥かに確かに何かを感じられる。

 ビンビン感じるんだ。

 (カエデ)くんから。


 でも、なんでだろう?


 夢葉(ユメハ)と喧嘩しなかったのは。

 

 夢葉(ユメハ)が、私に同情したから?

 私が、夢葉(ユメハ)に同情したから?


 分からない。

 けど、ちょっとだけ、夢葉(ユメハ)のことが、可愛いな……って、想った。


 イケないかな?

 悪い(クセ)……?


 なんか……私、変? 



 信号が赤になり、(カエデ)くんの走らせる車が止まりながらも、左折するためのウィンカーランプをチカチカと(とも)し始める。



 (カエデ)くんを夢葉(ユメハ)とシェアしたい。


 夢葉(ユメハ)(カエデ)くんとシェアしたい。


 私を……夢葉(ユメハ)(カエデ)くんが、シェアしてくれたなら。

 あぁ……。



 信号が青に変わり、(カエデ)くんが、ゆっくりとアクセルを踏みながら左へとハンドルをきる。

 


 (カエデ)くんと夢葉(ユメハ)の話を聴きながらも変な妄想が止まらない私。

 どんだけ嬉しいんだろ? 私。


 私は、もう、(カエデ)くんに(タマシイ)を売ってしまった。


 夢葉(ユメハ)とも出会えて良かった。


 そんな私は、アレになる前からオカルト好き。

 

 だけど、(かたよ)りは少ない方だと想う。


 日本の神道やインド由来の仏教はもちろん……他にも西洋から古今東西に至るまで、どんなモノでも好き。


 呪術というのは、それぞれの精神世界の中で発達して来た歴史がある。


 今回、私がやったのは、儒教で発達した『護符』を水に溶いて飲むというお(まじな)いの逆バージョンだ。

 相手に飲ませる。


 『願い玉』は、私が勝手にネーミングした。


 けど、同じこと。


 アレな私たちの身体は、あって無いようなモノだけれど、生きてる時より遥かに明確に『霊気』の流れる仕組みみたいなのが、よく分かる。

 アレな私たちは、『(タマシイ)』そのものだから。


 つまり、私が、(カエデ)くんに飲ませたモノは、私の『(タマシイ)』そのもの。

 

 アレな私の本体は、後部座席に座っている黒音(クロネ)として、夢葉(ユメハ)(カエデ)くんから()えているんだろうけど。


 私の本当の『本体』は、(カエデ)くんの身体の中。ウフッ。


 けど、私は、(カエデ)くんを操らない。

 操ろうと(おも)えば、(カエデ)くんを操れるのかも知れないけど。

 私は、そんなこと願ってない。

 私は、(カエデ)くんと、ひとつになりたいって、願ったから。


 対等な関係。


 けど、(カエデ)くんが私を操りたいと望めば、私は(カエデ)くんのモノになる。

 操られたい。

 あぁ…。


 お互いの自由を尊重する。

 けど、私は。

 私は……。

 (カエデ)くん……。

 あなたのもの……。



 (カエデ)くんの走らせる車が、高速道路の高架下を抜ける。

 会社はすぐソコだと言う(カエデ)くんの話に、夢葉(ユメハ)と一緒に相槌(あいづち)を打つ私。

 (カエデ)くんの職場がどんな場所か気になりながらも、私は妄想し続ける。



 そうそう……。


 アレな存在に出会った時。

 アレな『瞳』を、見てはイケない。


 (カエデ)くんは、私のアレな『瞳』を見てしまった。

 そうなるように、仕向けたのは、私。


 生身の人間は、アレな私たちの強い『瞳力』のせいで抗えなくなる。

 だから、(カエデ)くんが、悪いんじゃない。


 私が、悪い。


 (カエデ)くんのことを想うと、私の胸が「たゆん」と揺れて、オヘソの下のアノ部分が、ビクンとする。


 

 そう言えば……。


 

 私が(カエデ)くんに本気で憑依したなら、私と(カエデ)くんは、どうなってしまうんだろ?


 (カエデ)くんは、私のモノ?


 共有(シェア)……?


 

 イケない想いに、私のオヘソの下がビクンとする。












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― 新着の感想 ―
[一言] おぉう、なんという……オカルトだからこその特殊なシェアの形( ´∀` ) 普通の三角関係じゃないからこそ別の意味でもドキドキしちゃう(意味深
[良い点] 黒音ちゃん視点きたーー!! あらら、なんかすごくえちちちですね(*ノωノ) 楓くんは分かるけど夢葉ちゃんもシェアしたいなんて……GL♡ 「たゆんたゆん」な二人が絡み合うのを妄想したらヤバい…
2022/03/10 22:47 退会済み
管理
[良い点] 黒音も色々考えているんですね。 あれな存在も楽じゃないですね(´・ω・`) 憑依したらどうなっちゃうんだろうか!?
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