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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: 破魔 七歌 
序章 始まり……。『ウィズ ファントム ハート』
16/88

キス……。




「それじゃあ、行きますか……」


 

「う、うん……」



 朝食(モーニング)を食べ終えた(カエデ)が、言う。


 私は──



 ──エレベーターの時みたいに、アノ部屋から出て行くのを、まだ少し躊躇(ためら)っている。



 引っ張られる。

 一度、出て行こうと、決めたのに?

 (カエデ)に、憑いて? ついて行こうと、決めたのに……。


 そそくさと、朝食(モーニング)の食器を片付ける(カエデ)

 朝食(モーニング)は、ビュッフェスタイルなので、片付けもセルフサービス。


 (カエデ)が、私の分の食器も片付けている。


 私は……。


 

(何か、(カエデ)にしてあげれることはないかな……)


 

 私の目が、ウロウロと泳ぐけど、特に(カエデ)にしてあげられることは、無い。



「あ、大丈夫だよ? 俺、片付けるから」



「う、うん……」



 何だか、申し訳ない。

 逆に、気を使う。


 けれど、(カエデ)の言うように、特に私が(カエデ)にしてあげれることはなくって。



「あ、お、美味しかったね! 私も、ご飯食べれたの久しぶりだったよ?」



「うん。美味しかったね。会社の予約したホテルにしては、美味しかったね」



 私が言うと、(カエデ)が笑う。

 好きな人と、一緒にいられるのって、こんなに幸せなんだ……。

 

 私は……。

 (カエデ)と、結婚したい。

 もしも、夢が、叶うなら……なんて、想うけど。

 

 もしも、私が、生きてたなら──


 ──(カエデ)を幸せに出来るのに。



 私は、アレな存在だ。

 もしかしたら、生きてる(カエデ)には、何の役にも立たないかも知れない。

 

 けど──


 ──せめて、アレだけは毎晩、(カエデ)にシてあげようと想う。


 (カエデ)が、疲れてるなら……(カエデ)の生きる『力』になれるように。


 私のアノ部分が、「たゆん」と揺れる。

 私も、自分のアノ部分を「たゆん」と、見つめる。



「ゆ、夢葉(ユメハ)……ちゃん?」



「え゛っ!? な、何!? (カエデ)!?」


 

 (カエデ)の声が、耳もとに届いて、私が顔を上げる。



「か、(カエデ)!?」



 (カエデ)が、デレデレしながら、私の顔と「たゆん」と揺れる私のアノ部分を、交互に見つめている。


 さっきまで、夢葉(ユメハ)とか言ってたくせに、「ちゃん」付けで。

 


「な、何!? (カエデ)!? えっちっち! だよ?」



「あ、ご、ごめん。 いや、なんか夢葉(ユメハ)……ちゃんが、なんか思い詰めてたから、どうしたのかな? って……」



「もう~! 夢葉(ユメハ)で、良いよぉ~」



 私は、(カエデ)との何でも無い会話が、好きだ。

 この時間が、好き。



「んと……。ね? 私ってさ? このホテルのアノ部屋にいたじゃん?」



「うん……」



「でさ。ちょっとだけ、一瞬。私が、(カエデ)に憑いて? ついて行ってしまっても、良いのかな……? なんて、想って」



「ふんふん。それで……?」



「ま、確かに色々あって、アノ部屋にいたけどさ?」



「うん……」



「なんか、ずっとアノ部屋にいても、このままだし。色々あるけど……。なんか、(カエデ)に憑いて? 行こうかな? なんて……想ったりしたワケで……」



「うん……」

  


「正直、コワいよ? 怖くない? 何かが、変わるのって……?」



「うん……。そうだね……。僕も、怖い。そんな時は。特に。けど、君が居てくれるのならって……。一緒に。って、あー! 俺、何言ってんだろ?」



「アハ! (カエデ)も、一緒? そんな風に、想うんだ?」



「う、うん。そ、そう……。だ、だから……。一緒に、僕と……い、いや、俺に憑いて……ついて来てくれないかな? 夢葉(ユメハ)……」



「!? んー!! (カエデ)!! 好きっ!!」



 私のアノ部分が……。

 「たゆん」と、揺れて……。

 

 

 私は、(カエデ)に、抱きついた──


 ──キス。(カエデ)……。



 

 好き。好き……。大好き。(カエデ)……。


 私は、(カエデ)に抱きついて、(カエデ)(くち)へとダイレクトに私の霊力(エネルギー)を流し込む。


 好き……。


 目を閉じてシた、5秒間。


 精一杯の5秒間。


 5秒間が、アッと言う間に過ぎて、(カエデ)の身体と口唇(くちびる)が、私からするりと抜け落ちた。



「んん……」


 

「大丈夫!? (カエデ)……!?」


 

 (カエデ)が、何とも言えない幸せそうな顔で、その場にへたり込む。



「んん……。会社、行けないかもれしゅ」



「何言ってんの!? し、仕事ぉ!! 会社でしょ!?」



「んん……。で、でも……。ち、力が抜けちゃいまひて……。し、幸せ……」



「か、(カエデ)ー!!」



 この世のモノとは想えないほど、安らかな顔をしている(カエデ)

 もはや、昇天している。

 

 いや、まだ、天には召されないでほしい。

 私と一緒に? なんて、一瞬想ってしまったけど、私は生きてる(カエデ)を応援するって、心に決めたんだ。

 何とか、立ち上がってほしい。(カエデ)……。



「んふっ。よいしょっと。あー……。なんだろ? まだ、頭がホワホワする……。ありがと。夢葉(ユメハ)。ぼ、僕……いや、俺も夢葉(ユメハ)のこと、好き……だよ」



 ほわ~……。

 (カエデ)に、私のこと、『好き』って言われて、私の頭の中もホワホワする。

 ついでに、身体の中も。

 

(たゆん……)


 揺れてるなー。私の「たゆんたゆん」。なんか、別の生き物みたい。私と連動してる。



 私と(カエデ)は、(カエデ)の車が停めてあるホテルの駐車場へと、ヨロヨロとホワホワと、歩き出す。

 二人そろって。



「ジャーン!! お待たせー!! って、待ちくたびれたよ? おふたりさん? なになに? まーた、良い感じなワケ? ()けちゃうなー。特に、夢葉(ユメハ)には。ウフッ」


 

「え゛っ!?」



 黒音(クロネ)だ。黒音(クロネ)が、いる。

 またしても、黒音(クロネ)が、いる。

 

 なんで、(カエデ)の車が分かったの? 

 チェックアウトの時? 秘かにフロントの何処かで、聴いてたの?

 それとも、こっそり、私と(カエデ)の後を憑いて来てて、私と(カエデ)が、シてる最中に先回りして?



黒音(クロネ)……。なんで……」



「あら? 良いじゃない? 私だって、アンタと(カエデ)くんに憑いて? ついて行くんだから」


 

「ぐむむむ……」



 私の霊気(オーラ)が、また(はじ)けそうになる。

 けど、さっき黒音(クロネ)に放ったほどの怒気(パワー)は、ない。


 黒音(クロネ)だって、長年取り憑いたこのホテルを出ようとしている。

 一時的に、自分の気に入った場所を離れることはあっても、どうしてもまた戻って居着いてしまうのが、アレな私たちの性質(タチ)みたいなものだから。

 

 それを、意を決して、自分の気に入った長年取り憑いたこの場所から、半永久的に離れようとしている。


 理由は聴かないけど、黒音(クロネ)の魂の波長というか、震えみたいなのが、私にも伝わって来る。


 怖いんだ。

 不安。

 けど、ここに来た。

 黒音(クロネ)


 私と違って、(カエデ)との『縁』は、まだ薄い黒音(クロネ)

 黒音(クロネ)は、一人きり。

 このまま、ここにいても、黒音(クロネ)は、一人きりなままだろう。

 だけど、意を決して自分の運命か何かを変えるようにして、黒音(クロネ)黒音(クロネ)自身の運命の糸口を引き寄せた。


 それが、分かった。

 


「い、良いよ……」



「ヤッター!!」

  


 不本意では、あるけれど。

 黒音(クロネ)自身の気持ちが、分かってしまった私は、そう言うしか他に仕方が無かった。



 喜ぶ黒音(クロネ)のアノ部分が、「たゆん」……と、揺れてた。

















 








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― 新着の感想 ―
[一言] こういう明るい幽霊に会いたいものです( ´∀` ) いやそれ以前に幽霊に会った事は無いですが(;'∀') そして、ついに居ついてた場所サラダバー!(ぇ
[良い点] わぁ、夢葉ちゃん積極的ですね(*ノωノ) キスで力が入らなくなる楓くん、可愛くて意地悪したくなっちゃいます( *´艸`) 夢葉ちゃんのアノ部分が別の生き物みたいに「たゆんたゆん」と揺れるの…
2022/03/07 13:19 退会済み
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[良い点] 霊力のキスは心をとかすのか!? そして黒音がこわがりながらも着いてきた(*'ω'*) 三人の行方が気になります☆彡
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