バン……!!
「はいはーい。そこのお二人さん! なんかラヴラヴ? 良い感じのとこ失礼?」
「え゛!?」
「そんなに驚かなくて良くない? アンタの親友でしょ?」
「ノーサンキュー! 遠慮しとくわ。アンタの親友になんてなった覚えは無いんだけど?」
せっかく、私と楓が、良い感じだったのに……。
全部、ブチ壊し。
さっき、フロントでウロウロ出入りしてた黒ホットパンツなアレな露出狂「たゆんたゆん」女。
楓が、ほんの一瞬でも、たまらない気持ちになってたアレな女の娘。
胸の部分が大きく開いたV字の黒セーターを素肌にそのまま「たゆんたゆん」着ている。
今どき?
たぶん、このホテルで、気に入った男を喰いまくってる。
空気読まない。壊し屋。
けど、「たゆんたゆん」度は、私だって負けてない。
いや、私の方が上。
なんか、私の視界の端っこで、黒いのが揺れてるなーって、嫌な予感はしてたんだけど。
近づいて来るなーって、想ってたら案の定、彼女。
黒音だ。
私より、ふたつ年上。
本名は、明かさない。
なんでも、本名は明かさないっていうのが、この世に留まるアレな私たちのルール。
とかなんとか、黒音が、言ってたのを最近聴いた私。
本当の名前は、口にしてはイケない。
とは言え、ほとんど……て言うか私は、あんまりアレな皆さんとはお話シたこと無かったので、ほとんど誰も私の本当の名前を知らない。
黒音にだって、半分しか教えていない。
まあ、アンタは賢くなさそうだしとか、余計なこと言われたけど、黒音に黒音って、教えてもらったから、私も言っといた。
伝わるんだ。
例え、相手がアレでも。
嘘ついて無いって。
って言うか、アレな相手がアレな私に話しかけて来るのは、珍しい。
普通は、警戒し合うのが、アレな私たちの常識。
けれど、似たような波長を持つ者に対しては、アレであろうとなかろうと、親近感は感じる。
たぶん、黒音が、私に話しかけて来たのも、そんな理由。
「あ! 楓くんって言うんだ? 私が、慰めてあげよっか?」
「い、いきなり何っ!? 黒音っ!?」
「あ、私だって、彼に自己紹介まだなのに? ヒドくない? 夢葉?」
「くっ……!! あーっ!! もうっ!!」
わ、私の名前……!!
私が、良い感じで、楓に自己紹介しようと想ってたのに……。
あーっ! もう! めちゃくちゃだっ!!
こんな感じで、何もかもブチ壊して来る黒音。
逆に、アレになる前は、どんな娘だったのか?
さっきから、楓が、黒音の「たゆんたゆん」に包まれて、食事も忘れて呆けている。
「楓っ!!」
「は、はいっ!!」
私が楓の名前を叫ぶと、楓が、ビクッとする。
やっぱり、名前は『力』を持つ。
教えては、イケないんだ。
それより、霊感の無かったはずの楓にも、黒音の姿が、さっきから視えている。
私の影響?
それに、黒音が、この世のものに干渉可能な時間は、秒にも満たない一瞬のはずだけど。
私と同じアレなはずの存在としては、レアな特異能力。
誰しもが、持とうと想っても簡単に持てるモノでもない。
それこそよく言う、才能と呼ばれる感覚に近い。
努力して、どうこう出来るものでもないらしい。
アレな存在でも……。
だから、私の『5秒間』というのは、驚異。
公園のベンチのアレなお爺ちゃんが、言ってた。
なのに……。
たゆんたゆん──
──パフパフ。
たゆんたゆん──
──パフパフ。
もはや、目の前の楓の顔が、黒音の「たゆんたゆん」と合体しているではないか──!?
「か、か、楓ーっ!!」
「うぶっ!? は、はいっ!!」
アレな黒音の過激な楓へのご挨拶?
彼女も楓のことが、気に入った?
ら、ライバルっ……!!
「ご、ごめん!! い、いや、でも、黒音ちゃんの『たゆんたゆん』が……」
「は?」
黒音の「たゆん」は、脅威。
「アハ! 驚いた? 夢葉? 胸だけならアンタより長くイケるんじゃない?」
「全然っ!? 黒音より、私の方が凄いんだからっ!!」
黒音が私に言いたいのは、黒音自身の胸で「たゆんたゆん」すれば、私より長時間、この世のものと干渉し合えるってことらしい。
それにしても……。
それよりも……。
「楓……。なんで、私より先に黒音の名前呼んじゃうかな……」
「い、いや。なんか、目の前にアレな黒音ちゃんの『たゆんたゆん』が迫って来て、パフパフと顔に触れて……」
「楓くんと、私の方が波長合うんだよ?」
「は? ちょ、黙っててよ? 黒音。ウルサイ!!」
バンっ──!!
──私が叫ぶと、透明なグラスが目の前で、突然はじけ飛ぶように割れた。
それと同時に、黒音も消えた──
七海糸さんが、描いてくださいました! 本作ヒロイン夢葉のFAです!!
七海糸さん!! 本当に、ありがとうございますっっっっっ!!!!!!!!(*´▽`*)(っ´ω`c)(∩´∀`∩)♡♪☆彡




