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宮ラブ 〜後宮入りは、全力で阻止します!〜  作者: 無乃海
序章 開始の合図
3/123

3。モブとしての覚悟

 今回も、まだ後宮入りしていません。


主人公が、ゲーム設定について考えている状態でして、思ったより説明が長くなってしまいました…。

 男性が主人公で選ばれるのが女性という点は、男女の立場が逆転している以外、乙女ゲームとそう変わらない。但し、乙女ゲームよりも女性が受動的なので、後宮が舞台というのもあり、相手の女性が主人公を拒むことは少ないと思われる。


相手側の女性は、後宮に入った貴族女性以外も選択出来るので、後宮に入った貴族令嬢の世話係の侍女や、舞を踊る芸子も選択可能とし、総勢50人弱の中から選べると男性にはウケが良かった。


但し、最終的に選択可能なのは、1人だけだ。後宮に入ったと言っても、この怜銘のいるこの現実と同様、集団お見合いの為の後宮入りだった。皇子(みこ)が自らの妃として1人選ぶと、後は後宮の女性達は解放されていた。あの頃はゲームだからと特に気にしていないが、これが現実であれば別問題である。


ゲームの設定が一夫一妻制になっていて、本当に良かった…。でなければ、この現実ではゲームの強制力とやらで、一夫多妻制になっていたかもしれないよね…。


こうして段々と、ゲームの設定を思い出して来た怜銘(れいめい)だが、流石に攻略可能の女性全員を覚えている筈もなく、思い出せたのはメインキャラとなる一部だけだった。メインとなるのは勿論この場合、貴族のご令嬢達とその令嬢に付く侍女だ。侍女は主に商家の家の娘が選ばれるが、それだけでは足りないので、庶民からも募集を掛けている筈だ。


侍女にもランクが細かく分かれ、商家の中では身分が別れていなくとも、家の裕福さで左右されていた。最も裕福な家も娘が、侍女でも一番上の身分となり、家の裕福さ次第で侍女のランク付けをされて行く。その商家の中でも特に上位となる家柄が、『(しゅ)』家・『(ちゃ)』家・『(ぼく)』家の3家であった。


怜銘が覚えているのは、王族を含めた貴族の5家と商家の3家までだ。主人公側に庶民が1名含まれているが、彼もゲーム開始時点では、既に商家の養子となっている為、如何やらギリギリ思い出せたようだった。


しかし、ゲームでは何故か『(せき)』家が含まれていないのだ。怜銘が存在しないというよりも、赤家自体が存在していない。だから自分はこれからどうなるのか、予想もつかないのが現状である。


赤家を他の家としてすり替えた、というのも当て嵌まらない。本来の高位貴族は、6家あるからだ。然も、王族の2番手の権力者を登場させないのは、態とではないかと考えるのが、妥当なのだ。


 「もしも、これがこの世界からの転生者が、私の前世に転生して来たとすれば、()()()()()()()()()()、赤家を態と外したのかもしれないわね…。」


そう考えるのが自然なことだろうと、怜銘は思っている。ゲームの世界が存在するのならば、全く同じ背景になっても良い筈だ。不自然にそういう背景が変わっているのならば、()()()()()()()()()()()()()()、という考えた方がいいだろう。


 「悪役令嬢が登場しない代わりに、敵役キャラが存在した筈…。主人公を1人選択すると、選択した主人公ルートでは、残りの主人公候補達はライバルキャラとなるのよね…。攻略対象の女性達の中には、単に性格が悪いだけの悪役令嬢風の女性もいたっけ…。私は、モブキャラの方がいいけど。」


女性がうん十人も居れば中には、美人なのに性格ブスとか、美人じゃないけど性格美人とか、色んなタイプがいたりする。現実ではないからと顔で選ぶプレイヤーもいて、それは女性側も男性側も同じようだ。乙女ゲーでイケメン悪役男性を好きになったりするのと、同じ心理だということだ。


反対に、ゲームでも現実と同様に性格で選ぶプレイヤーもいて、そんなプレイヤー達の為に用意されているのだろう。乙女ゲーの場合、美人じゃないけど性格美人を攻略可能なのは、あまり見かけない仕様だ。偶に攻略出来ないイケメンモブキャラを、推しとするプレイヤーは居ても、多分女性側では性格が良い平凡男性は、殆ど需要がないだろう。そういう意味では女性の方が、()()()()()()()()()()()()プレイしているのかも、しれないが。


怜銘はほんの少し空しく感じながらも、自分が思い出せるキャラを紙に書き出していく。この世界の言語は、文字も発音も日本語と全く同じである為、別に転生者ではなくとも読めてしまう。だからこの紙の保管には、十分に気を付けなければならない、書き進めながらもそう思った怜銘は、今の自分がお嬢様で良かったと感じるのであった。そうでなければ、個人の部屋も与えられないし、誰かに見つからずに書き留めるのは難しいだろうから。






    ****************************






 悪役令嬢が不在ならば、婚約破棄や断罪などの公開処罰の可能性は低い。現に覚えているルートでも、刑務所のような所に入る罰はあったとしても、死刑になったり追放になったりの処罰は、無かったと思う。


罪を犯した者が罰を受けるのは当然で、乙女ゲーのように誰かを暗殺しようとする場面は、怜銘の記憶にはなくとも、軽い虐めの場面はあっただろう。選択したのが身分の低い主人公の場合、ライバル達から軽い嫌がらせの言動があり、選んだ攻略対象の女性のルートによっては、相手女性が他の高位貴族の女性から虐められる。それでも、暴行や暗殺までではない為、乙女ゲーの方が余程エグイと言えた。


乙女ゲーでは、逆ハーレムも隠し要素で存在し、中にはそれを楽しみに攻略する女性が存在しても、現実で逆ハ―を望む人は少ないだろうと思われる。但し、現実だと自覚しない場合は、逆ハーしたいと思う女性も、一部存在することだろう。


ギャルゲーにはハーレム要素を含むものも多く、途中段階の『宮ラブ』でもそういう要素もあり、最終的には1人に絞らなくてはならず、選択時に優柔不断な態度を取り続けると、バットエンドに向かってしまう。バットエンドでは主人公が結婚出来ない上に、仕事にも失敗して家に…若しくは、田舎に帰ることになる。意外と平和的な終了なのだ。


乙女ゲーのバットエンドだと、主人公(ヒロイン)()()()()()()()()()()()()()であり、最悪のケースでは死亡することもあったりする。こうやって見れば乙女ゲーの設定は、相当に鬼畜な仕様だと思えてくる。怜銘は思わず書く手を止めて、頭を抱え込みたくなった。


代わりにギャルゲーには、戦闘要素が含まれることも多く、戦争や紛争などで死亡する場合もある。処罰されて死亡しなくとも、戦争などでは大勢が亡くなることになり、どちらが良いとも言えないが、同類であるという気もする。今の怜銘には、現実での死を迎えるよりはマシなのだと、そう思うことで完結させた。勿論のことそれは、自分の死に関してだけではなく、他者の者達に関しても…である。


日本人としての記憶のある怜銘には、自分が死亡してから転生したのだと知ってはいても、自らの死が身近に感じられていないのだから、仕方がないだろう。そういう理由からも、誰も死んでほしくないと思うし、自分ももう死にたくないと思っていたのだ。


 「こうしてみると、乙女ゲーでは必ず婚約者が決まっていても、『宮ラブ』では婚約者が決まっていない方が、多いのね…。」


乙女ゲーを熟していた時には考えてもみなかったが、婚約者が決まっているということは、その婚約者から奪略するということで、悪役令嬢達が怒り狂う様に怒るのは、当然な言動だ。それなのに、奪略したヒロインは幸せになっていて、悪役令嬢が罰を受けるのは、冷静に考えれば考えるほど、本来ならば有り得ないことだと分かって来る。


但し、攻略に失敗した場合は、ヒロインが罰を受けるバットエンドとなる。リスクもあるのだからそれでも良いのでは…と、単純に考えがちではあるけれど、やはり現実に例えて考えれば考える程、有り得ない状況だと理解出来る。


それに…浮気をした筈の男性攻略対象が、悪役令嬢やヒロインほどに罰を受けていない場合が、何とも多いことであるか…。中には、ハッピーエンドではヒロインと結ばれ、バットエンドでは悪役令嬢と結ばれる、という全く罰のない状況の設定もあったりして。()()()()()()()()()()()()罰だと言うならば、悪役令嬢は気の毒過ぎる…と言わざるを得ないだろう。


やはり全体的に、悪役令嬢の罪だけが重過ぎる。ヒロインがバッドエンドとなったとしても、悪役令嬢が幸せになるとは限らなくて、前世ではゲームの影響で作られた小説などの物語には、『ざまあ返し』が流行っていた。ヒロインが悪女の場合には、悪役令嬢が周りの人間を虜にし、断罪された時には周りの人間が、守ったり仕返しをしたりしてくれる…というものだ。


こういう場合のヒロインは逆に罪が重くなり、攻略対象も加担していれば、悪役令嬢に見捨てられ罰を受けることとなる。典型的な勧善懲悪からなる、断罪劇でもある。これが現実ならば、強制力があるかないかで状況も変わってくるし、誰を味方に付けるかでも変わるようだ。


それに比べれば、ギャルゲーである『宮ラブ』は、何ともユルイことだろうか…。ルートによっては処罰は一切ないし、虐めもルートによって軽かったり、初恋が実るルートもあるようだったし…。どれもこれもあっさり解決されており、乙女ゲーほど悪質な状況にはならないようだった。


女性がそれだけに複雑な人間関係を楽しんでいる、ということもあるかもしれないが、それは飽くまでゲームだからに過ぎない。当然ながら怜銘も、乙女ゲーのような状況は全く望んでいないし、当人からすればまた『宮ラブ』の世界も、其れすら望んでいない訳であり。


 「何としてでも…皇子との婚姻を、避けなければ。私のことは忘れてくれていると、いいけれど…。私が今後()()()()()()()()()()()()、皇子以外の攻略対象キャラか、若しくはモブキャラと結ばれるしか、ないのよね…。」


こうして後宮入り前に、怜銘の覚悟は…決まったのであった。

 怜銘以外登場しないという、寂しい展開となりましたが、愈々次回は後宮入りとなりそうです。

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