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河原と少女

 闇は、夜が来ると滑り込むように下りてきて辺りから光を奪っていく。光に依存して生きる生き物であった人間は日の落ちた後には家々へと帰るから、暗闇の中でうごめく存在は人間の理から外れた存在であると理解することは易かった。

 だが、それはもう、はるか昔の話だ。人間は科学の力をもってして電気を、光を生み出して闇を征服した。


 そしてそれはここも、この町も同じである。日本の首都の郊外にあるこの町も、街灯と家々の明かりで眩さすら覚えさせる。だが、その中でたった一つの例外があった。

 川だ。

 現代の明かりに照らされながらも、したたかに抵抗するように流れる川の水が、現代が溢れ返るこの町に確かに闇を溶かし込んでいた。街灯の光に負けず。黒く、深く。


 河原に足音が響く。


 足音の主は十代後半の少女。頬の擦り傷を気にもせず、彼女は暗い川を横目に歩き続ける。足音の感覚は短く、急いでいる様子。


「見失った……!」


 小さく呟いてから、彼女は立ち止まる。悔しそうに拳を握って、歯を食いしばる。


「……ごめんなさい……香夜かやさん」


 そう言ってから、苦い表情を見せた。


「……これが、必然だとしたら」


 彼女は河原から、土手を見上げた。深い夜ゆえか誰も歩いていない。しかし彼女はその土手を見上げて、ふと、過去を懐かしむような表情を見せる。


「それでも、どうか二人に、何も起こりませんように――」


 そして、彼女は足早に去っていく。

 あとに残るのは川の流れのみ。整然として、きれいに並び立てられた現代に、何かが染み出していく。それは川の暗さか、少女の呟きか、必然とやらなのか。滲出する毒のように非日常が、人間の理から外れた何かが、ゆっくりと広がっていった。

少しずつでも、しっかりと主人公が成長していくような話にできればと思っております。

最後までお付き合いいただければ嬉しいです。

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