血と見合う人材探し
その次の日から、私の研究は理論的なものから、実質的なものに変わることとなった。
一般では、市販の回復薬や、ヒーラーが使える回復魔法では、その傷までしか癒すことはできない。
もちろん、私も回復魔法を使うことができるが、どれも傷を治す、治癒力を上げるだけで、肉体の衰えそのものである不老には効きやしなかった。
しかし、このドラゴンの王の血、大陸有数の実力者にして、長い時を生きる種族の王ともなれば、その研究は捗る一方である。
まずは、トカゲのような小さな生き物から始めて、徐々に哺乳類という風に近づけていった。
まぁ、トカゲにはその血が強大すぎて、逆に早死にしてしまったが、哺乳類なんかは、特にうさぎは、頭の上から鋭い角が生えてきたのだ。
私は、このような凶暴なウサギは見たことがない。ウサギといえば、いつも狩られるいつも側の生き物だ。
しかし、はえてきたその角は、その先を少し触るだけで、私の指の皮を薄く切り裂いていた。
その時は、身体強化をかけてはいなかったが、普通の街中の市民からしたら、下手に殺傷能力をもつウサギなど恐怖の対象になる。
そのようなわけで、哺乳類に聞くというところまで来たのであった。しかし、最終的には自分を強化できるような、副作用のない、完璧な薬を作るのだ。
そのためには、いずれ人間でも試さなければいけない。しかし、私にはそのような人材にあてがある。
私が向かったのは、道具屋が蔓延る街のストリートに、あまり目立たない、下へ続く階段がある。
私は、このように、周りとの競争から手を引くような陰険な場所でのみ行われている商売を知っている。
それは、奴隷だ。なにかしらで、借金の当てにされたり、犯罪を犯したが、殺すのにはもったいないという者を、その首輪でもって管理し、必要とする客に売る。
一般的には、売り子なんかはよく見る例だ。酷くても、性的なお手伝いをされるだけで、無駄に殺されることはない。
なぜなら、この国がそれを禁じているからだ。私としては、特に嘆かわしいとか、むしろもっとやれというような感情はない。
奴隷は基本的に、お金を
持ってないため、養ってもらう人に頭を下げるのだ。
しかし、その奴隷の扱いも、この国の、イイ人気取りの実際いい人に、奴隷の地位が向上させられてしまった。
もちろん、後ろめたい貴族、薄汚い貴族は、反発を下のだが、最終的にその者たちの首を縦に振らせた王の威厳は認めるべきである。
そんな世間の情勢の変わりを受けながら、私は進んでいく。実験動物としての人材を求めて。
そして、一つの木と金属でできた扉を開けた。そこには、地下とは思えない光をともす空間に照らされる奴隷たちがいた。
すると、店主らしき人が声をかけてきた。それに、適当に応じる。
こういう店は大体注文を言えば、イイのを見繕ってくれるのだが、今回は私が直々に選ぼうと思った。
いろいろな人種がいる。それゆえに、いろんな反応が見れそうだ。
まだ値段も相場もわからない私だが、とても気持ちが揺れ動いていたのは言うまでもなかった。