表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
欲なんて安っぽいものか  作者: まっきよ
11/12

ゴンの独白

ワシはゴンじゃ。ついさっきまではは齢90というところの、年老いた数字が積もった、ただのおいぼれ奴隷じゃった。


ワシが入れられたんは、宰相として前王の国を導くやり方に不満を持ち、その旨を申し出たところ、反逆罪だとしてここに来た60の頃じゃった。


ここというものは、もちろん奴隷商じゃが、ここの生活は最悪じゃった。


閉鎖的空間というのかの、何も入ってくる情報がない。喋る爺にわざわざ奴隷商も相手にしてくれんわい。


しかし、ここ最近の出来事で、王が変わり、前王は処刑されたと、奴隷商がつぶやいていたのを聞き、ワシはそれが聞けただけでワシのかつての重いがかなったものだと歓喜した。


新しい王になったころから奴隷商は、奴隷に対してあまりきつい態度もとらんなった。今の王は有能じゃとワシは思った。


そこから数月刻すぎてお客さんが来たようだ。長い間の情報封鎖じゃったから、相手の服を見ただけで何をやってるんかはわからんかった。だが、奴隷商が慌てておる。それほどの御仁なのだろうか。


そやつは、どうやら複数奴隷を欲しているらしく、物好きか知らんが、ワシも奴隷商の商品として連れていかれた。


その客は当然私よりも若く、しかし、ワシの目にはそ奴を守るようにして魔力が存在するのが分かった。


その客、男は結局ワシを含め五人ほど買いおって、そのまま歩いていくようだの。


家、あまり目立たない建てもんにワシらは次々入れと入れられる。動くのも久しぶりじゃからもう何をする体力もないのじゃが。


その男は、その手に何かをもってワシら奴隷のところにくると、口を開けさせ、何かを飲ませ始めた。


その、説明もないよくわからん黄緑な液体を抵抗する力もなく飲ませられた。


すると、その瞬間から先ほどの疲労というものが消え、体力がないといっていたのがウソのように活力がみなぎっておる。


男は、なにやら難しい顔をして、鳥頭が人間の頭になった少女を見ている。たしか、鳥人間じゃったはずだが。


ミンという女子も咳き込みがひどいものだったが、その何かを飲ませられた後にはすっかり良くなっておった。


この時点でワシはさっきの回復薬だと考えた。しかし、それだけでなく今も体に残り続け作用するような不思議な感覚があるのじゃが、これは何なのじゃろうか。


男はワシを見ると、それぞれの世話は協力し補えとでもいうような言葉を残し、ワシらがいる部屋を出ていった。


ワシを見たんはおそらく、子供の世話を見ろという感じじゃろうか。まぁワシが見てきた中でも人間としてあそこまで冷えた目つきをしたやつはおらんな。


元宰相ということはいっておらんが、それをいったら、いいように使われるかもしれんな。死んだ奴のことなど思い出してもしょうがないが、あれは嫌な日々じゃった。


そんなことをするくらいなら、子守りの一つや二つくらいどうってことはないもんじゃ。男手もいるのでな。


じゃが、鳥人間だけは、何か言ってくれてもよきことではないかの、主人よ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ