イントロダクション
当作品が書籍化されるまでのアイディア盗用を避けるため、話の核心部分に若干触れている「序章 到来」は削除させて頂いております。
何卒ご了承ください。
「遠大な宇宙に存在する知的生命体は我々だけではない」
果てしない星空の大海原に進出した時、初めて私はそれを知った。
我らディエティ族による大いなる旅路の軌跡を残していくうちに幾多の星々に降り立ったことで発見された数々の文明とそこに暮らす種族の栄華と繁栄は、それぞれ表現形態に違いが見られるも我々を驚嘆させ、自分たちの特有の固定観念や常識を覆した。
そこに悪意や侵略といった概念は存在せず、ただ調和と共存の調律が鳴り響き、戦いや紛争を知らない平和な世界が長きにわたって築かれていた。
それらは永続していくはずだった。
いつ果てるとも知れぬ巨大な戦争を我々が持ち込まなかった限りは。
ディエティ族は戦いを始めた。
世界を創造できる太古の秘宝を巡って。
戦いによって我らの故郷であるメラディエム星は戦火に焼かれ、滅亡の一途を辿る運命の道を歩み始めた。
皮肉なことにその火種は我々の種族だけでなく、汚れのない星々にまで飛び火したのだ。
そうして始まったのだ。
「超時空大戦」と呼ばれる、宇宙をまたにかけた史上最大の銀河間戦争が。
その災禍の渦はとどまるところを知らず、幾千もの生命の絶滅が危ぶまれた。それが全宇宙の存亡をも左右する事態にまで及んでしまったことを遅まきながら察知したディエティ族は、戦いに終止符を打つべく母星に戻った。数えきれない犠牲と苦悩をもたらしたこの戦争を終わらせるためには、メラディエム星の存続が必要だった。
我々は、星の再建に尽力してくれる惑星を選ぼうとしたが、母なる母星が今にも滅びようとしているさなかに選択の余地はなかった。
星の命運が尽き果てようとしていたその時、メラディエム星は「呼ばれた」のだった。
遥か遠い彼方の銀河の端くれに位置する太陽系を公転する、ある星に。
そこに住む種族の末路の果てに叫ばれた呼び声に。
それこそが人間と称される種族が寄せ集まる星「地球」だった。
豊かな自然の恩恵が人間同士の不和に影響され、我々の星と同じように断末魔の叫び声をあげていた地球を救うために、彼らは私を選んだのだった。
全宇宙の生命を存続させる使命を背負う秘宝の所有者である私の”力”に最後の希望を見い出すために。
そして、地球とメラディエム星の運命が交錯した新たな歴史を築くために………。