第5話 俺たちの過去
次の日、俺は佐藤のことを考えながら学校に向かっている。
俺が女子を好きなんて...そんなことはありえない。
俺は女子嫌いだ。何故かって?
小学校の頃、女子にいじめを受けていた。これはこれは酷いいじめを...
上靴は隠され、机には悪口をかかれ、掃除で使う水バケツをかけられる。
そんな日々を俺は耐えられなくなり、不登校になった。
もうこんなのは嫌だった。
こんな苦痛な日々を過ごすのが嫌。
それがトラウマになり、女子嫌いになっていた。
なのに俺は佐藤のこと...
ありえないよな...
この俺が女子を好きになるなんて、信じられない。何かの間違いだ。
てか俺のことをなんで佐藤は好きなんだろう。
一目惚れなのか?
こんな俺なのに。なんでだよ...
そう考えているうちに学校に着いてしまった。
はぁぁ〜
教室が入りにくい...
教室の扉をガラガラッと開く。
その音に気づき、佐藤が近づいてくる。
「おっはよー!神谷くん!」
なんでだよ...
すごいドキドキする。
俺佐藤のこと好きなのかな...
俺は違うと信じたい。
俺の心臓に聞いてみたいぐらいだ。
「お、おはよー 佐藤」
佐藤はニコッとして、自分の席に向かっていった。
俺は佐藤に、なんで俺のことを好きなのか聞いてみることにした。
こんな顔は下の上、成績も普通な俺を。
俺は勇気を振り絞り、佐藤に話しかけた。
「佐藤、放課後ちょっと空いてるか?」
「ん?、なんで?空いてるけど。」
首を傾げながらそう言った。
「とりあえず放課後な」
「うん〜」
「佐藤、校舎裏に来てくれ、待ってるから」
「わかった〜」
学校のチャイムが鳴り響く。
放課後だ。
俺は校舎裏で待つ。
すると、佐藤が歩いてきた。
「なに〜?」
「佐藤、なんで俺のことを好きなんだ?一目惚れなのか?」
佐藤は耳が赤くなり、顔が紅潮していた。
「神谷くんは覚えてないかもだけど、私たち昔に会ってるんだよ?
同じ小学校の同級生だったんだよ。
授業で私が教科書を忘れた時、貸してくれたよね。
私誰にも相手にされなかったの。
メガネでブスだったから。
それが私の初恋だよ。
神谷くんがいじめられて、精神が追い込まれてた時、私話しかけたの。
大丈夫?相談に乗るよって、
でも神谷くんは何も言わなかった。
多分届いてなかったと思う。
暗闇の落とし穴に落ちてったみたいな顔をしていた。
私は助けたいと思った。
神谷くんがいない時、女子が上靴を隠してたの。
やめて!これ以上神谷くんをいじめないで!って言ったんだ。
その後、思い切り殴られたけどね。
神谷くんが不登校になって、今度は私が目をつけられた。
いじめを受ける毎日。
すごく辛かった。神谷くんもこんな思いをしてると思うのとすごく辛い。
神谷くんが教室に入ってきた時、一瞬で分かったよ。神谷くんだって。
神谷くんは覚えてなかったけどね〜。」
俺は今どんな顔をしているだろう。
多分驚きと、悲しみいろんな感情が入り混じり、すごい顔をしてると思う。
「そうなのか。それはごめん...
あとありがとう...
気にかけてくれて...」
佐藤は目からポロポロと涙を流していた。
俺も自然に涙が出る。
声がかすれ、泣きながら佐藤はこう言った。
「もう一度いいます。
私と付き合ってください!」
「はい」
俺は瞬時に答えていた。
でも悔いはない。
こんな人の彼氏になれるなら...
俺たちは恋人になった。