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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

向こう側

作者: にとろ

R18にはあたらないと思うのですが問題があれば削除やレーティングの変更を考えます

「向こう側」、一般的には三途の川や走馬灯とも呼ぶだろう。


 そう、これは世界のあっち側の話、用意するのは赤い錠剤を数シート、一人になれる時間と空間、たったこれだけ。

 これは多少の肝細胞を犠牲に「あちら」を見た体験談。


 目の前にはリスが木の実を貯めるがごとくため込んだ真っ赤な錠剤、今となっては製造されていない薬、それがまだ作られていた頃のお話。


 世界が嫌いだった、神を信じていなかった、誰も信じられなかった、きっかけが何かは分からない、ただ絶望に飲み込まれて処方された錠剤を前に悩んでいた。


 人は死なない。

 比喩とか意志が受け継がれるとかそう言った話ではない。ただ人は一般的に思われているほど死ぬことは無い。


 そう、きっとこの錠剤を飲んでも死ぬことはないだろう。

 それでもとある市販薬を五〇錠で死んだ例もあるので絶対死なないとは言えないのだが。


 錠剤を飲み下していく、意識はここで途絶える。


 ただ何も存在しなかった、真っ暗、いや暗くさえなかった。

 そこにあるのはただ無だった。


 そこから意識は病院に飛ぶ。

 錠剤を全て飲み込んだのは確かだ、そこまでの記憶はある。


 だがそこでメモリ空間がゆがんだかのように記憶がすっぽり抜け落ちている。


 数日後、病院のベッドで目を覚ました。

 目が覚めた日は起き上がることができなかった。

 ただひたすら何も食べず点滴の滴だけが早く早く落ちていた。


 そうして意識がつながってから数日後、血液検査をした。

 どうやら多少肝臓の値が悪くなっていたらしい。


 とはいえ生きているのだからたいしたことではないのだろう。


 こうして今も自分の恥をこうして無事に投稿できている、やっぱり人はそうそう死なないのだ。


 さてこれは「小説」である。

 何はなくともオチが必要なのだろうが残念ながらこれはフィクションではなくただ記憶をたぐって書いているだけなのでオチらしいものをつけられないことを謝罪しておく。


 今悩んでいる人へ言いたいことは「人間は案外大丈夫」ということだ。

 別に悩みの解決に協力することができるわけではないが、ただ言いたいのは「気持ちが死にたがっていても体は抗う」ということだけだ。


 死後には何もないかもしれない、ただ生きる意味が無いとしても、体が生を求めているのならそれは生きる理由になるのではないだろうか。

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