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第三話 まだ見ぬ恋の金平糖***

私はまだ恋をしたことがない…と、思う


そもそも、恋とはどういう気持ちなのか、私にはよく分からない


でも、きっと


昨日、先生に初めて連れていってもらった、恋心の墓場で見た光景を思い出す


色とりどりの金平糖が、部屋いっぱいに、

キラキラピカピカ輝いて


まるでそこだけは、世界から切り離されたような、

特別な空間だった。


恋をしたら、世界中があんな風にキラキラと輝いてみえるのかな…

そして、甘くって、ふわふわなケーキみたいな気持ちになるんだろうか


物思いに耽りながら、暖かいココアを口に含む


ここは、カフェ『フロランタン』


アイスボックスクッキーで出来た、お洒落な壁

虹色に輝く、水飴のステンドグラス


落ち着いた雰囲気のこの場所は、私の行きつけだ


「ふぅ…」



「おや、どうしたんだい?」


ふくよかな女性が、奥からひょっこり顔を出した


彼女はこの店のオーナーだ


「オーナーは、恋ってした事ありますか?」


「そりゃあ、若い頃は数え切れない程恋したもんさ」


「え!」


私は思わず、身を乗り出した


「それって、どんな感じでしたか!?」


「なんだい突然…そうさねぇ、恋すると女は綺麗になるって言うくらいだしね、そりゃあ、いいもんさ」


やっぱり、毎日がキラキラと輝いて、楽しいことばっかりで、素敵なものなのだろうか


続けてそう聞こうとした時、窓の外で、一際輝く水色が流れ落ちるのが見えた


「あ!私、行かなくちゃ!」


急いでお会計を済ませ、駆け出す


その後も、あちこちで金平糖が流れ落ち、街中を走り回ることなったのだった




「ふぅ…忙しかった…」


マシュマロのベッドに包まれて、ひと呼吸


今日はもうくたくただ


結局、恋についてもよく分からなかった


キラキラして、ドキドキして、ふわふわとした心地なのだろうか


ふわふわ…

ふわふわする気持ち…


その時、頭を撫でる暖かい手のひらが一瞬浮かんだが


重たくなるまぶたに逆らうこともできず

そのままゆっくり夢の中へと沈んでいった

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