翌日
大学へ向かう電車の中、つり革を握りながら考える。
昨日の少女の事だ。
俺が視えたソレと少女の距離から推測すると、恐らく10日前後くらいが死期だろう。
ただ、あの少女に憑いていたモノは、今まで視たソレとは違う、異質なモノだった。
確かに黒い人影なのだが、アレは『影』と形容するにはあまりにも強烈な姿だ。
表現するには難解なソイツは、何と言うか、人型ではあるものの、中身は異次元空間のような歪んだ黒色をしていた。
そんなもの、今まで視たことがない。
因みに俺には霊感のようなものは無い。黒い人は視えるものの、幽霊とかUFOなどというものに出会ったことは無い。だから、少女に憑いていたアレは、そういう類いのモノではなく、やはり死期の近い人間に憑く『黒い人』であることに間違いはないはずだ。
ならば助けなければ、と考えるものの、当の本人が話さえ聞いてくれないのだから厄介だ。
だが、諦めない。彼女が着ていた制服から、高校は分かっている。幸い、今日の講義は昼には終わる。そうしたら、電車を乗り継いで桜華女子へ向かう。必ず助ける。
そう、新たに決意した、その時ー
キキキキーーーーーーーー‼︎‼︎‼︎‼︎
キャーという悲鳴と共に、身体が勢いよく左右に揺れた。
俺はつり革をしっかり握っていたため何事もなかったが、後方に立っていたサラリーマンは思い切り前方に倒れた。
「大丈夫ですか!?」
「あ、ああ。大丈夫みたいです。ありがとう」
駆け寄った俺に軽く会釈し立ち上がるサラリーマン。額を摩っているが、特に外傷は無く無事なようだ。