速想
寝
あのあと、
崖での訓練を経験した俺は。
次の日はいったいどんな恐怖を味あわせられるのか。
恐怖に顔を引きつらせていた。
だが、妹から言い渡された今日のトレーニング内容は一味違った。
瞑想をしろというものだ。
そして、妹はひとつの議題を出してきた。
それは、
生きることについて考えろというものだった。
目を瞑ると瞼が太陽に透けて赤く見える。
生きることのイメージカラーは赤になった。
生きていれば辛いことも楽しいこともあるよな。
俺は妹と2人だけだが生きてこれた。
しかも、
妹は誰にでも誇れる騎士だったのだ。
これは幸せだと思った。
今、逃亡する生活は妹にとって辛いものだと思う。
人生はまだまだ、
幸せなことの方が多い。
では、生きることの行き着く先は?。
死だ。
それでも、
死を共に迎えることのできる人がいてくれたら。
それもまた、幸せなことだと思う。
だんだんと死は生きることの対となるものではなく、
生きることに、
含まれているものだと思い始めてきた。
死ぬことを怖がっているのは、
生きることを怖がっているのと同じだ。
俺は静かに目を開いた。
目の前には昨日よりも鮮やかな夕日が待っていた。
猫