速外
んん
静かだ。
テーブルの陰から窓の外を見る。
ビルや家々の明かりがこちらを覗いている。
妹が出て行って数分は経っていた。
暗い闇からガチャガチャと鎧の音が近づいてくる。
恐ろしくも、
それは妹だった。
家の壁や屋根を飛ぶように来ている。
本当に人間か?。
家にたどり着いた妹は息を切らしながら急かした。
「この家から出なきゃ。お兄ちゃん早く。」
妹に手を引かれ、
慌てながら財布や貴重品をバックに詰める。
自分のちょっとしたミスが、
家を捨てることに繋がった。
これからは、
失敗は許されない。
暗い細道を歩きながら、
前にした質問を再度試みる。
「お前に刺さってる剣とかさっきの動きとか、
どうなってんだ?」
軽い質問に返ってくる声は重いものだった。
「実は、私は死なないんだ。」
「私がもつ剣は(絶生の剣)と呼ばれている。
この体に刺さった物も何らかの力があるのだろう。」
「こういった剣は、まとめて約束の剣とよばれる。」
「でも、。」
妹は言葉をつまらせる。
「剣の力を使うには十中八九、
命を代償にしないといけないんだ。」
妹の話は、
妹が死なない理由として不思議な説得力があった。
ということは、妹に剣を刺した人はもう…。
だが、俺を驚かせたのは次の言葉だった。
「壁を蹴って走るのは誰でもできるよ。
頑張ればね。」
不思議だね〜