作戦
初めてあの女騎士を見た時、
まるで映像作品を見ている気分だった。
作戦室のモニターに映る彼女は
銃弾を胸に受けても目標に切りかかっている。
全盛期では
弾に当たる事もなかったとテロップが流れる。
私も神から剣を授かった。
だが、明らかに違う。
確縛の剣は私をこの地位まで引き上げてくれた。
正に神からの贈り物だった。
しかし、今は後悔している。
作戦では私が、
剣を使える距離まで接近しなくてはならない。
援護は銃撃だけだ。
死ぬことのない彼女をせめて動けなくさせる。
その為に命をかけるのか。
悔いても、もう遅い。
昔の皇帝は
部下の命を危険に晒すことだけはしなかった。
それが今では侵略と征服を掲げた
大国に成ろうとしている。
人が変わったかの様な激変だった。
今回の作戦も皇帝の助言があったのだろう。
私が死んだ時は部下が剣を引き継ぐ。
全員死ぬより先に女騎士をつき刺せばいい。
酷い消耗戦だ。
私にも家族がいる。
部下にもだ。
現地に到着した私は即座に奇襲作戦を
密かに計画した。
もっと信用できる仲間達にだけ話し、
あとはなる様になるだけだ。
これが成功したら、
誰も死ぬことなく女騎士を確保できる。
当初の作戦から大きく外れるが、
目標が達成されれば大丈夫だろう。
私と部下達は町の中心部でその時を待っていた。
剣を打ち出す為の旧式の大砲を磨きながら。