速爆
「これが入り口かよ」
俺たちの前にあるのは、
広い中庭が覗く大きなドアだった。
「ドアの中にさらに家があるのか?」
どうやら、
この家は箱庭の様になっているらしい。
「ほら、入って入って。」
主人の声とともにドアが開いた。
少し強引に家の中に引き込まれる。
「ここで、待ってるんだよ。」
ソファーに俺たちを座らせた主人は
慌てた様子で隣の部屋に消えた。
「良い人そうで、良かったね。」
妹の言う通り、
素直に感謝すべきなのだろうが。
これまでの旅で立ち寄った町では
人を信じることはなかった。
それ故に、
今回も完全には信用しきれないのだ。
バタバタと足音が聞こえ、
主人が戻ってきた。
俺たちと対面する位置に座った主人は
紅茶を振る舞った。
そして話し始める。
「お前達はこの町の現状を知らないのか?」
重い問いかけだ。
「まだ、ついたばかりなので。」
無難に答える。
「そうか。」
「それなら、早くこの町を出た方が良い。」
俺は聞き返した。
「なぜですか?」
主人は目線をティーカップに落とす。
「町の中心部。
あそこには帝国の軍事工場がある。」
俺は焦っていた。
「そして、私の家族はみな
人質として中心部で暮らしている。」
最悪だ。
自然資源で高い独立性を保っていたこの町なら
帝国の手も及ばないと思っていた。
だが、違った。
帝国は資源を軍事に使い、
権力者の家族を人質として反乱を封じた。」
俺たちは帝国の手の中に自ら踏み込んだのだ。
この家にたどり着くまでも、
目撃されているだろう。
早くここから出なくては。
俺は眠っている妹を起こそうと
肩に手をかけようとした。
しかし、
その行動は中止しなければならなかった。
妹側の壁が爆発したのだ。