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補足
「今日はここまで。」
地面から
頭だけ出している兄に宣言する。
「は、早く出してくれ。」
苦しそうにする兄を慌てて掘り出す。
「はあ、今日のこれには何の意味があるんだ?」
兄の怨みのこもった質問が斬りかかる。
「何度も言うけど、恐怖をなくすためよ。」
私はいつも通りの盾で弾く。
だが、兄も少しは感じているだろう。
少しずつ、
身体能力が上がっていることに。
恐怖によるストッパーが無くなった体は、
自分の予想以上の力を出す。
脳もまた、
大胆な思考が占める割合が大きくなる。
筋肉だけではなく、
骨や皮膚も操ることができる。
恐怖によって縛られていた体は
自分が自由だったことを思い出したかの様に、
軽くなる。
兄もその段階まで行ければ良いのだが。
私は兄に合わせてゆっくりと歩き出した。