10/24
鈍夕
また、
夕日を見ている。
兄には私がさせている行為が、
どう思われているのだろう。
嫌われてるかもしれない。
しかし、
恐怖をなくすことは何よりも大事なことだ。
戦場では筋肉は重りにしかならない。
人間には多くの急所がある。
そこをつくことで一撃で倒すことが可能だ。
恐怖のない剣は、
鍛えられあげた肉体を貫く。
私には死の恐怖がない。
自覚をすることで、
更に感覚を研ぎ澄ます。
だが、兄は死を知っている。
頭と体は死の恐怖を、
産まれ落ちた時から感じている。
積み重ねられた恐怖は習慣となる。
兄はもう手遅れだろう。
だが、少しでも希望があれば。
私もまた、夕日を見れるかもしれない。