部活動開始
初めて利用するので使い勝手がわかりません^^;
とりあえず二話目です
──夢壱岐高等学校。
臨界超越を発症した超越者のみが入学を許された学校だ。
周りは緑に囲まれ、閑静な住宅街の近くに建っていることもあって外界からの騒音も少ない。さらに各教室には冷暖房完備、と勉強するにはうってつけの環境である。
ただし、超越者ならば誰しも入学できるという訳ではない。
ちゃんと定員は決まっているし、もちろん入学試験だって行われる。平均倍率はなんと毎年八倍以上だ。
人並み程度、もしくはそれ以下の学力しか有していない大斗がそんな難関を突破できたのは、単に入学試験を免除されたからである。
単に、といっても、そんな特例は過去に例を見ない。
必然的に周りは勉強のできる秀才ばかりで。
自分だけオーラが違う。
異例というだけで好奇の目線を向けられるのは、世の常ではあるけれども。
言うなれば大斗は、同じ家族かすらわからないまま生まれ落ちた毛色の違う狐の子。ゆえにクラスから浮いてしまっていた。
そんな中で勇音が発足した、桜庭諜報部。
勇音の「自分がいたっていう足跡が欲しいのよ」という身勝手な思いから生まれた部だ。
主な活動内容は、勇音から聞いた限りだとボランティアのようなものだった。
しかし新規の部活動が承認されるには、最低五人の入部届を担保にしなければいけないとのこと。
そこで勇音は早速昼休みの放送室をジャックして、入部希望者を募った。昔からすごい行動力だと思ってはいたが、まさかそこまでやるとは……感服する他ない。
本人としてはダメ元だったらしいが物好きはいるもので、翌日には早くも三人の入部届が集まった。
なぜか入部することが前提だったらしい俺を含めると、ちょうど五人。晴れて既定の条件を満たし、何をするかも具体的に決まっていないまま、桜庭諜報部はぐずぐずと活動を開始した。
部長は当然、桜庭勇音。
臨界超越は『即席騎士』。
本人はこの名前を嫌っているが、能力的には一級クラスである。
簡単に説明すると、勇音の身長以下の物体を特定の形に変化させる能力だ。
右手で触れれば真剣、左手で触れれば盾。しかし物体の特性は変わらないので紙の盾などは役に立たないし、自分の身長以上の物体、そして生物は変化させることはできない。
たとえば高層ビルやマンション、犬や猫などは変化の対象外である。
しかし変化のタイミングを自分で選べるところは、そんな制約を補って有り余る利点だ。
なぜなら意表を突きやすいから。
現に俺も、木の枝が突然真剣に変わって斬られかけたことがある。思い出したくない過去だ。
部長補佐は俺、赤坂大斗。
臨界超越は……わかっていない。そもそも臨界超越かどうかすらもわかっていないのだ。
のんきに私立の高校に進むはずだったところがこれである。両親は喜んでいるから、悪態など付けることもできない。
こうなってしまった以上、楽しむしかないだろう。
嗚呼、可哀想な俺。
副部長は斑鳩重玄。
とにかく前髪が長い。目がすっぽりと隠れていて、性格は寡黙だが意外と熱い心の持ち主。
あらゆる武術に精通しているらしく、体型は細いが、がっしりしている。
臨界超越は『幻想衝撃』。
自分が相手に与える衝撃を数倍に引き上げることができる能力だ。四倍もすれば確実に致死的ダメージを与えられるらしい。
ただし、衝撃を大きくすればするほど反動のダメージは大きくなって体を傷つける、諸刃の剣。
能力を使わずとも十分に強いので問題はないが。
書記に、西宮神奈。
小柄な白髪の少女だが、声は不思議とよく通る。言動は少し固くて難しい、というよりは電波的なものに近いのかもしれない。正直俺には何を言っているのかよくわからない。
臨界超越は『陰陽導師』。
風水をパワーアップしたような能力で、運勢を操ることができる──が、結果的に人に危害が及ぶ運勢にすることはできない。
加えて、天災を操ることもできないらしい。要するに日常の中の些細なことのみ干渉できる能力だ。まさに人間版の座敷童といったところか。
持ち主の思念を辿って無くし物を探すことも得意らしく、かつて迷宮入りした事件を見事解決に導いた経歴を持つ。
霊媒体質らしいが、とりあえず虚空を凝視するのだけは本当にやめてほしい。
会計は薙沢柊子。
今時と言っては難だが丸眼鏡をかけていて、少し人見知りをするが、非常におっとりとした性格をしている。
臨界超越は『完全解析』。
物事の本質を瞬時に見抜き、理解できる能力だ。
昔は本が好きだったらしいが、臨界超越を発症してからは全く読まなくなったらしい。
なぜなら、最初の一文を読むだけで結末がわかってしまうから。
多くの超越者は臨界超越を任意のタイミングで発動することができるのだが、ごく稀に柊子のような常に発動しているタイプの超越者、常時発動者が存在している。
この常時発動者は常に能力と共に生活しているため、臨界超越を限界まで使いこなすことができる貴重な存在だ。そういう意味では大斗も常時発動者であり、親近感を抱いた柊子とは早くに打ち解けることができた。
よく何かに躓いては転んでいる柊子からは想像もできない能力ではあるが。
活動は放課後。
そうして今日も終礼のチャイムが鳴る──。
説明パートって読むのめんどくさいですよね(汗
本格的な話は次話からになります^^
プロットが完璧ではないのですが行き当たりばったりにならないよう頑張ります…!