ある一日。
佐々木 卓郎、高校一年生。
俺の一日はいつも窓を開けることから始まる。
“カァーカァー…”
おおぅ…今日も小鳥がさえずってるぜ。
(注・目の前にあるのは一面隣の家の壁。)
「卓郎〜!!!ご飯!!!!」
階下から俺を呼ぶ声が聞こえる。
階段をおりている俺は、自分の異変に気付く。
「……?」
口の中のある一点が痛い。
これは…
まさか…
噂の…
口・内・炎?
【口内炎】(名)
口の中の粘膜・歯肉に起こる細菌性の炎症。
なんでも、ビタミンの摂取が乏しいとなるというじゃないか!!!
この俺がビタミンの摂取が乏しいだって?!?!
完璧な俺がビタミンを摂取しなかっただけで口内炎になんてなる訳がない!!!
って言うかむしろ完璧だから口内炎になんてなるはずがない!!!
じゃあこれは…この微妙すぎる口内の痛みはなんなんだ!!!
左手に茶碗、右手に箸を持った超美麗ポーズで俺は苦悩する。
はッ!
まさか俺の美貌を…いや、知能を…いや、もうむしろ俺の全てを妬んだ悪戯好きの困った妖精が俺の口内を弄んでいるのか?!?!
「卓郎あんたご飯食べないの?!?!」
嗚呼…妖精という存在にまで妬まれるというのか…。
俺はなんて罪な男なんだ…。
俺が存在するだけで他の男共が自分の顔で悩んでしまう…
そんな、人を困らせる美貌なんて、俺はいらないっ!!
「いらないんだよぉぉぉぉっっ!!!!!!!(叫)」
「じゃあお前に食わせる飯はねぇぇぇぇ!!!でてけ!早くお前は学校へ行けぇぇ!!!!!!」
ははっ、どうしたんだよマイマザー。
「イライラは顔によくないぞっ☆だから…」
「その先は言うなぁぁぁ!!!ついでに言うとイライラが良くないのは体だよ!!!!さっさと学校へ逝け!!!!!!!」
「じゃ、行ってきます。」
俺は家を出た。
痛みは未だ治まる気配は無い。
気になるから舌でいじってしまう。
まったく…この痛みはなんなんだ…。
俺を困らせてそんなに楽しいかい?
子猫ちゃんvV
それにしても痛い。
なんなんだ?
Σはっ!!!
も…もしかしてまたも俺の完璧さに嫉妬の炎を燃やした男共が俺に呪いを…?!
言うなれば俺は呪われたお姫さま、いや…呪われた王子さまか…。
悲劇のヒロインもたまにはいいものだな。
全てに似合ってしまう俺自身がまったく以て恨めしいぜ…!
口内の痛みは学校へ着き授業が始まっても俺を悩ました。
なんだ!!!
なんなんだ!!!!
授業に集中出来ないじゃないか!!!
そんなに俺が憎いのか?!?!
これも俺が完璧過ぎる故…。
俺ってなんて罪な男だ!!!
「だから、この《べし》はぁ‥
“ガタンッ!”
「皆‥俺を許して…罪な俺を…!」
「佐々木…皆がお前を許しても先生が許しません。放課後、職員室ね。」
参ったな…
こんな年上の女性にまで誘いを受けてしまうなんて…。
昼休み。
「まだ痛い…」
俺は友達の榊原 秀徳に相談することにした。
名前の画数が俺より多いなんて、なんて奴だ!!!
「なぁ、秀徳よぉ、俺今日朝から何か口の中‥頬っぺたの裏が痛いんだけど…やっぱ妖精かなぁ?」
「お前…時が経つにつれオカシクなっていくな…。」
秀徳…いくら俺が美しいからってその言い様はないだろう…。
まぁ、いい。
今はそんな事よりも口の中の痛みだ。
「い…いや、トニカク甘い痛みが俺をオカシクさせるんだ…。」
秀徳は妙に冷静に対応する。
「どれ。口開けてみ?」
俺のプリティな唇が美しいフォームを描き開く。
もしも此処で秀徳が欲情して俺の唇を奪ってしまったらどうしよう!!!
「うあうあよ?!?!(奪うなよ)」
「はい雑音だーまーれー。」
ヒドイ
俺がおとなしく口を開いていたら秀徳が言った。
「あー…お前コレ口内炎だわ。」
俺はまたも美しいフォームを描き、口を閉じる。
「そんな!そんなはずは無い!!!完璧だから口内炎になるはずはないんだよ?!?!」
「えーと…?馬鹿?完璧な奴だろうがなんだろうが口内炎にゃなんだよ。」
秀徳はまたも冷静に言った。
「そもそもお前完璧じゃないし?」
は?
こいつ、今なんと?
「お前…一つ言わせて貰うけどな‥、通知表の1は一番の1じゃねぇんだぞ?もし一番の1だとしても、その一番はワースト1の1だ。」
「な…に…を…?」
じゃあ俺の通知表はワースト1だらけか!!!
へぇそうか。
ってぇぇええええ?!?!?!?!
だからマイマザーが怒っていたのか…?
俺は完璧じゃ無かったのか?!?!?!?!?!?!
「秀徳…俺…早退…。」
俺はそう告げると学校を出た。
向かった先はそう…
薬局。
チョ●ラβ…
―――――――――終了。
終わり方微妙すぎてすみませんι